ベトナムのコーヒーと聞くと、どのようなイメージを持っているでしょうか。ベトナム式コーヒーやレギュラーコーヒーの産地としてご存知の方もいらっしゃるでしょう。今回は、ベトナムのダラットにある「グェン・スワン・サン」というコーヒーをご紹介します。
「ダラット(グェン・スワン・サン)」は、こんなコーヒー。
- 今回の焙煎:中煎り(シティロースト程度)
香り
- フレグランス(豆の香り)
レーズンらしさと滑らかさが特徴的 - アロマ(コーヒーの香り)
フルーティーさと甘さ、栗のような香り
風味
- 深い酸味と滑らかさ
- フルボディ系のコーヒー
こんな時にオススメ
- 落ち着きたい時に
- 夕食後の寛ぎに
- 夜に飲みたいコーヒー
ダラット地方とコーヒー
ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国として知られています。「あまり知られていないのに2位!?」と驚く方もいらっしゃるでしょう。それもそのはずで、ベトナムはレギュラーコーヒーの生産をメインとしており、ブランド力のある銘柄の生産はマイナーなのです。そのため知名度だけで見ると、どうしても低いのです。
そんなベトナムですが、近年では品質改善に伴って美味しいコーヒーが増えています。その一つとして注目されているのが、中南部に位置するダラット地方で生産されているコーヒー豆なのです。
ペーパードリップ:レーズンと滑らかさ
口当たりは柔らかいのですが、そこから徐々にビターな大人っぽさが出てくるコーヒーです。
飲み始めは、滑らかさの中に香ばしい深さと甘さがあり、ローストアーモンドのような感触です。そこから暗さのある酸味が徐々に広がっていって、レーズンのようなテイストへと変化していきます。
その後は酸味が消えていき、滑らかさ・深さ・甘さが残ります。ここから余韻に亘って先程のテイストは、再びアーモンドに似た様相を呈します。印象としては、燻し銀のような渋い大人のコーヒーです。
少し高めで“らしさ”が出る
このコーヒーの特徴の「深みのある酸味やボディ感」は、温度が高めの方が強く感じられます。かえって温度が低いとボディ感は少し曖昧に感じられます。
程よいバランスの良さを楽しみたい方は80~85℃付近が良いでしょう。一方で、ボディ感のある特徴を味わいたい方は、少し高めの85~90℃前後で、お湯を細く注いで、じっくりと抽出してみてください。
オススメの抽出方法(HARIO V60ドリッパー)
- 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
- 挽き具合:中挽き
- 抽出温度:80~90℃
ネルドリップ:柔らかさと水面下のボディ感
飲んだ途端に感じられる、ベルベットのような滑らかさと甘さを主軸としてとして、ずっと続いていきます。その水面下でコクやスモーキーさが渦巻いているコーヒーです。
また、酸味は柔らかさに抑えられていて、ペーパードリップよりかなり飲みやすく仕上がっています。余韻もやはり滑らかで、その中にスモーキーさの残像が薄っすら残っていて心地よさがあります。全体的に優しくも内部に深みを含んだテイストは、チョコレートのような感触がします。
オススメの抽出方法
- 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
- 挽き具合:中挽き
- 抽出温度:80~90℃
フレンチプレス:滑らかな心地よさ
「酸味の和らいだコーヒー」の一言に尽きます。
代わりに、甘みが前面に出てきており、ペーパードリップと飲み比べると同じ豆なのかと一瞬疑ってしまいます。テイストは、甘みにコクとほのかな苦みが混ざっていて、どこかチョコレートみたいな滑らかさがあります。そして、余韻はその滑らかさが長く続きます。
他の抽出方法のような大人のビターさが弱い点は、なかなか面白い所です。
オススメの抽出方法
- 豆の分量:18g(容量350mlのプレスを使用)
- 挽き具合:粗挽き
サイフォン:酸味とスモーキーさ
サイフォンは高温で淹れるためか、酸味の部分が突出した風味に仕上がります。甘みや滑らかさはありますが、他の淹れ方より弱めです。やはりサイフォンらしい素直さが出ています。
その酸味の後は、朧げな滑らかさにふんわりとスモーキーさが漂って、ハードボイルドな風味なのに緩いアフターテイストが感じられます。
ちなみに、冷めるにつれて強い酸味は弱まっていくので、朧げな緩さやスモーキーさを堪能したい方は、少し冷ますとオススメですよ。
「グェン・スワン・サン」の美味しい飲み方
ミルク・砂糖との相性
- ミルク:とても良い
- 砂糖 :良い
クリームや濃厚ミルクでカフェオレに
コーヒーが持つボディ感と甘い滑らかさは、カフェオレにしても負けない強さを持っています。そのため、生クリームを使っても、コーヒーの味がしっかり残ってくれます。
例えば、ウィンナーコーヒーのようにホイップを浮かべると、ホイップの柔らかさとコーヒーのボディ感のコントラストを楽しむこともできます。また濃厚な大人の風味は、ウィスキーとの相性も良いですから、アイリッシュコーヒーに仕上げるのも良いでしょう。
これから期待のベトナム産アラビカ
レギュラーコーヒーの陰に隠れているだけで、意外と美味しいコーヒーが眠っているのが、ベトナムです。
とは言っても、今回のグェン・スワン・サンのような美味しいコーヒー豆は、まだ多くはありません。しかしベトナム全体的な生産を見ても、品質はどんどん向上してきています。
ベトナム産のスペシャルティコーヒーが出回るのも、そう遠くはないかもしれませんね。
コーヒー豆の情報
- 名称:グェン・スワン・サン
- 産地:ベトナム・ダラット地区
- 精製:ウォッシュド
- 今回の焙煎:中煎り