トラジャ・サパンは、トラジャコーヒーの中心地ランテパオより届いたコーヒー豆。このサパン、今回は中煎りです。インドネシアというと深めの焙煎という印象があるかもしれません。しかし中煎りのトラジャもまた面白い表情を見せてくれます。そんな面白い一面を中心に、今回はご紹介させていただきます。
「トラジャ・サパン」は、こんなコーヒー。
- 今回の焙煎:ミディアムロースト
香り
- フレグランス(豆の香り)
少し野生さのある甘酸っぱい野イチゴの香り - アロマ(コーヒーの香り)
完熟イチゴのような甘々で瑞々しい香り
風味
- イチゴのようなフルーティーな甘味
- 比較的スッキリしていて飲みやすいテイスト
こんな時にオススメ
- スイーツのお供に
- 日中のんびりしたくなった時に
- 昼間に飲みたいコーヒー
高い場所にあるトラジャ
サパンの産地であるトラジャは、標高の高い所に位置しています。
この写真を見ていただくとお解りになるかと思いますが、目線と同じ位置に雲があります。およそ標高1500mとコーヒー栽培に適した標高なのです。そして、気候も熱帯のインドネシアにありながら、エアコンなしで過ごせる快適な気候です。
熱帯のインドネシアと思いきや、トラジャ地域はそこまで暑くなく、コーヒーに適した場所なのです。
ペーパードリップ:甘々と明るさ
フレーバーは甘いストロベリーのような風味が印象的ですが、一瞬の間を置いて、ピンクグレープフルーツのような締まりの良さが追ってやってきます。中でも甘みが特徴的で、ボディ感と絡み合って“甘々”というような印象です。しかし余韻では、ほのかな甘みと酸味を残しつつスッキリさもあるので、滑らかな感触がします。
全体的に見て、「瑞々しい完熟フルーツ」といった印象のコーヒーです。
中低温でサッと抽出すると美味しい
サパンの特徴である明るさを際立たせるには、温度が低めであるのが良いのですが、そうすると甘みも弱めになります。そのため、心持ち低い程度の温度、およそ75℃~80℃あたりがオススメです。するとコーヒーの均整を保ちつつ明るさと甘さを上手く引き出すことができます。
また明るさという点では、点滴法などでじっくり抽出すると濃いめに仕上がってしまいがちです。そのため、サッと淹れてしまった方が、爽やかさも出て美味しく飲める印象です。
オススメの抽出方法(HARIO V60ドリッパー)
- 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
- 挽き具合:中挽き
- 抽出温度:75℃~80℃
ネルドリップ:緩さと曖昧さ
ネルの柔らかさが加わった滑らかな甘みに、程よくキュンと来る酸味が心地よいです。しかしペーパードリップほどキリっとしているわけではなく。甘さと酸味のバランスは、ちょうど良いかもしれません。
締まりのないグレープフルーツというと残念な印象ですが、その締まりの無さに、甘味の緩さ・酸味と苦みのほのかな刺激が絶妙です。ただ少し曖昧さがあるので、ハッキリした味が好みの方は、ペーパードリップやサイフォンが良いかもしれません。
オススメの抽出方法
- 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
- 挽き具合:中挽き
- 抽出温度:80℃
フレンチプレス:果実感とゆったりさ
ベリー系の果実のような風味が感じられます。スウィーティーと言いたくなるような上品な甘みと、若干感じられるフレッシュ感あふれる酸味は、イチゴやラズベリーに近いなと一瞬で解ります。「コーヒーはフルーツなんだな」と改めて実感できるくらいです。
余韻はスッキリした酸味と緩やかにフェードアウトする甘味で、スーッとキレイに消えていく印象です。どちらかというと甘味のほうが強いので、ゆったりしています。
今回の抽出方法
- 豆の分量:18g(容量350mlのプレスを使用)
- 挽き具合:粗挽き
- 抽出時間:沸騰したお湯で4分00秒
サイフォン:甘さとスッキリさ
全体的にスッキリ透明なコーヒーという印象は、やはりサイフォンだからかもしれません。ただ、サイフォンは非常に高温のため、淹れたての時は個性があまり感じられません。しかし時間を置いてから飲むと一気に風味が表れてきます。
サイフォン特有のスッキリさとのコントラストで、ドッシリした甘みが前面に押し出されています。そこに締まりのある酸味が感じられて、ペーパードリップよりも完熟感が増して感じられます。
思った以上に甘さと重さが出てきている所が、とてもおもしろいです。
今回の抽出方法
- 豆の分量:1杯あたり15g
- 挽き具合:中挽き
「トラジャ・サパン」の美味しい飲み方
ミルク・砂糖との相性
- ミルク:ほどほど
- 砂糖 :GOOD
何も加えず、完熟のフルーティーさを堪能
サパンの持つ、イチゴやグレープフルーツのようなテイストは、ブラックだからこそ堪能できるテイストです。ミルクを加えてしまうと、この甘みや爽やかさは曖昧になってしまいます。
できれば一度ブラックで飲んでもらいたい一杯です。あるいはフルーツ系のエッセンスなどで軽く香りづけしてみるのも良いかもしれません。味を引き立ててくれそうです。
甘々なサパンは、中煎りが美味しい
どうしてもインドネシアのコーヒー豆というと、深煎りの先入観があるかもしれません。しかしコーヒー豆と言っても、産地によって千差万別です。このサパンの場合は、中煎り程度が最も美味しい印象です。
そんなインドネシアらしからぬ甘々のサパンを皆さんにも、ぜひ堪能していただきたいものです。
コーヒー豆の情報
- 名称:トラジャ・サパン
- 産地:サパン村、タナトラジャ県、インドネシア。
- 精製:セミウォッシュト
- 今回の焙煎:ミディアムロースト