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エスプレッソの楽しみ方と味の変化

エスプレッソの楽しみ方と味の変化

エスプレッソを「少量で濃く“苦い”コーヒー」と片付けてしまってはいけません。本場イタリアはもちろん、フランスや多くの欧州でも、エスプレッソは“砂糖を入れなければエスプレッソの味は完成しない”とも言われるほど、砂糖を入れることが当たり前になっています。
エスプレッソの世界をより深く知り、エスプレッソ本来の楽しみ方をしてみてはいかがでしょうか。

エスプレッソの苦さに慣れるべき?

「コーヒーは苦さに慣れてから初めて本来の味がわかる」と聞いたことがある人も多いと思います。コーヒーの苦さに慣れろといっても、エスプレッソの苦さは別格。とても無理と思うかもしれません。

しかし、苦さに慣れようだなんて、そんなイメージはこの際忘れてしまいましょう。コーヒーは世界中で様々な飲み方があり、エスプレッソに砂糖を入れることもその一つ。美味しさを楽しむのに先入観はいりません。

エスプレッソの苦さのもと

エスプレッソが濃く苦いといっても、エスプレッソカップに注がれたコーヒー全てが濃く苦いわけでもありません。
エスプレッソの重要な要素のひとつ“クレマ”。コーヒー表面を覆うこのクリーム状の泡そのものは苦みがとても強いものです。

しかし、このクレマの苦みもエスプレッソを構成する大事な味の一つ。クレマなくしては味に深みが出ません。そしてコーヒーとクレマの味を引き立てる役割を、砂糖が担っています。

エスプレッソに入れる砂糖の適量は?

エスプレッソ_砂糖の量

砂糖はどれぐらいが適量なのでしょうか。エスプレッソはおよそ20~30ccと少量ですが、そこに少なくともティースプーン1杯の砂糖、4~5gは必要です。
これは角砂糖1個と同等で、エスプレッソ用の袋入り砂糖も4~5gとされているのが一般的です(日本でよく見かけるスティックシュガーはちょっと少なめの3gです)

砂糖がエスプレッソの美味しさを引き出す

最近流行の酸味の強いエスプレッソなら、砂糖はティースプーン1~2杯でもよいかもしれません。苦みの強い濃厚なエスプレッソであれば、さらに1杯追加してもいいでしょう。合計で1~3杯が目安になりますが、砂糖の量に決まりはありません。
大切なのは、砂糖を追加することで隠れていた美味しさを引き出すことです。

エスプレッソはかき混ぜ方も重要

砂糖を入れたらすぐにかき混ぜます。エスプレッソは温度が高すぎても味が壊れてしまうため、お店では適温で提供されます。エスプレッソが温かいうちに砂糖を急いで溶かしましょう。
この時、表面のクレマも一緒に混ざりあいますが、これが重要です。コーヒーとクレマと砂糖がしっかり混ざり合い、エスプレッソの理想的な味わいになるのです。

エスプレッソの味の変化

エスプレッソ_味の変化

一口にエスプレッソと言っても、提供されるカフェや喫茶店によってタイプが異なり、楽しみ方も変わってきます。
では、どんな味に変化するのでしょうか?エスプレッソをより深く楽しむためにも、知っておいて損はありませんよ。

バランスの良いライトなエスプレッソ

砂糖を入れる習慣がない日本人にむけて調整された、苦み・酸味ともにバランスの取れたエスプレッソを飲めるカフェがじわじわと増えています。これらのカフェでは、ストレートでも美味しくいただけます。

このタイプのエスプレッソに砂糖を入れていくと、なめらかで艶やかな舌ざわりに変化し、舌の上で転がしたくなるようなコーヒーに変化。ただし、砂糖を入れすぎるとコーヒーらしさが早々に消えてしまうこともあります。

酸味がメインのエスプレッソ

流行のサードウェーブ系では、酸味が強いエスプレッソがとても増えています。その中には「フルーティで果実を思わせる香り」と言われるものもあります。
ストレートではきつく感じることもありますが、砂糖を入れて甘みを増やすことで、果実らしさが増加しぐっと飲みやすくなります。完熟して落ち着いた甘い果実を思わせるフルーティさに変化することも。

伝統的で濃厚なエスプレッソ

厚いクレマで苦みを濃厚に出す、伝統的なエスプレッソがあります。そのまま飲むとクレマの苦みで舌が痺れてしまうほど。
そういった濃厚なエスプレッソは、思い切って「多すぎかな?」と思うほどのお砂糖を入れてみましょう。不思議なことに、カカオを感じさせるビターチョコレート風味に変化します。
伝統的なエスプレッソなら、甘党が多い欧米人のように砂糖を多めにしても問題ありません。もはやコーヒー味の飲むお菓子ともいえます。

あまり変化しないエスプレッソもある

今は多くのカフェやレストランで全自動式のエスプレッソマシンを見かけます。これらはクレマが少なめの比較的あっさりしたエスプレッソを抽出し、泡は出るもののクレマは濃くありません。
こういった場合、砂糖を入れても普通に甘いコーヒーになります。

バリスタの作る甘いエスプレッソを楽しもう!

やはり、しっかりしたバリスタが淹れるエスプレッソのほうが、砂糖によって劇的な味に変わる可能性を秘めています。元々のエスプレッソが美味しくなければ、砂糖を入れても美味しくなりません。
カフェブームで個性的かつ美味しいエスプレッソを提供するバリスタはとても増えています。定番のカフェラテだけではなく、甘いエスプレッソの世界にチャレンジしてコーヒーの奥深さを楽しんでみてはいかがでしょうか。

About the Author

下総さん

昭和の東北出身。サイフォンで遊びながら育ち、バブル時代に上京。シアトル系カフェの日本上陸直前ぐらいから珈琲文化に興味を持ち始める。現在は都内のカフェ巡りをしつつ、コーヒーに関するあらゆる話題を収集する事が楽しみ。