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【タンザニア】タンザニア南部産「リマAAキボー」

【タンザニア】タンザニア南部産「リマAAキボー」

タンザニアのコーヒーといえば、多くの方はキリマンジャロを真っ先に浮かべますよね。「キリマンジャロ=タンザニア産」と言えるほど、キリマンジャロのある北部地域のコーヒーが、日本では多く流通しています。

今回紹介するのは、タンザニア南部地域で生産されたコーヒーです。北部のコーヒーと似ているようで似ていない、そんなリマAAキボーをご紹介していきます。

「リマAAキボー」は、こんなコーヒー。

  • 今回の焙煎:シティロースト

香り

  • フレグランス(豆の香り)
    ローストナッツのような果実のような、比較的落ち着いた香り
  • アロマ(コーヒーの香り)
    カシス感のある重みのある果実の香り

風味

  • 北部のコーヒーとは、また違う上品さ
  • 深みのある酸味とマイルドさに注目
  • 酸味が苦手な人でも飲みやすい

こんな時にオススメ

  • 落ち着いた時間を過ごしたい時に
  • 読書の時間に
  • 夜に飲みたいコーヒー

タンザニア南部のコーヒーとは?

北部産が有名なタンザニアコーヒー

リマ ①

皆さんが必ず耳にしたことがある「キリマンジャロ」、この山はタンザニア北部・ケニアとの国境沿いにあります。

なぜこの山がコーヒーの代名詞になったのかと言うと、キリマンジャロ山麓(=タンザニア北部)のコーヒーが多く日本に輸入されているためです。そしてロースターで目にする機会の多い「アルーシャ・ンゴロンゴロ・モシ」といったコーヒーは、キリマンジャロ山麓にある地名です。

南部と水資源

タンザニア南部のコーヒーがマイナーたるゆえんは、実は気候が関係しています。キリマンジャロ山麓は水資源が豊かで、美味しいコーヒーが実り、水洗式の精製によって高品質なコーヒーが生産できる環境なのです。そのため、北部地域の高品質なコーヒーが、「キリマンジャロ」というブランドとして流通しました。

一方南部は水に乏しいこともあり、北部産より品質に劣るとみられていました。しかし近年では、灌漑設備や農業技術の導入によって、これらの問題が解決し、今では注目の産地にまでなりました。

その筆頭格が、今回のリマAAキボーなのです。このコーヒーはリマ社(Lima)が、地図の赤い地域Mbeya(ンベヤ)とMbinga(ンビンガ)から買い集めたコーヒー豆です。

ペーパードリップ:深みとマイルドさ

リマ ②

一口目から感じられる、カシスのような少し深みのある酸味が特徴的です。しかしマイルドさやコクも持ち合わせており、ナッツのようなオイリー感があります。その後は、酸味が滑らかさの裏に隠れていき、余韻では滑らかさが際立ったマイルドなエンドを迎えます。

酸味系のコーヒーではあるものの、イルガチェフェのような爽やかなテイストではなく、インパクトの強いコーヒーでもありません。落ち着きと個性を両立している所が、リマのポイントでしょう。そのため、酸味が苦手な方も飲みやすいコーヒーという印象を受けます。

同じタンザニアでも北部(キリマンジャロ山周辺)の物と比べると、上品である点では同じですが、リマのしっとり落ち着いたテイストが印象的な部分で違いが出ています。

今回の抽出方法(HARIO V60ドリッパー)

  • 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
  • 挽き具合:中挽き
  • 抽出温度:80~85℃

ネルドリップ;穏やかなバランス

ネルでは酸味の強さが和らいでおり、ナッツのような滑らかさによって、丸くまとまった感じがします。

タンザニア特有の上品な酸味を求めている方には、若干の不足感があるかもしれません。しかし滑らかさと和らいだ酸味は、また異なる気品を生んでいます。何だか紳士淑女が嗜む、緩くてお淑やかな印象のコーヒーです。

ペーパードリップと比べると、余韻の穏やかさはピカイチです。しかし同時に酸味由来の明るさも持ち合わせているので、飽きの来ない穏やかさでもあります。リマの特徴の中でも、バランスや甘さを上手く引き出したい方は、ネルがお勧めです。

今回の抽出方法

  • 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
  • 挽き具合:中挽き
  • 抽出温度:80~85℃

フレンチプレス:個性が出てくる器具

カシス感ある酸味が良く感じられます。またコクや甘味もしっかりと引き出されている所は、「フレンチプレスならでは」という感じがします。

意外と酸味が良く出てくるため、柔らかさは感じられるものの、中性的なコーヒーではありません。意外と密度があって、しっかりしたテイストになっています。余韻もドリップのマイルドさとは異なり、酸味が長く尾を引いています。

リマの風味を全て余すことなく引き出したい方は、フレンチプレスがお勧めです。しかし、リマ特有の上品さを楽しみたい方には、少し個性が出すぎてしまうかもしれません。

今回の抽出方法

  • 豆の分量:18g(容量350mlのプレスを使用)
  • 挽き具合:粗挽き
  • 抽出時間:沸騰したお湯で4分00秒

水出しコーヒー:滑らかでリッチ

水出しコーヒー特有の柔らかいテイストは、滑らかさと酸味をバランスよく引き出すことができます。

口当たりはシルクのような柔らかさで、滑らかに舌の上を流れていきます。しかし単に柔らかいだけでなく、その中には気品のある酸味がフゥッと香り立っています。余韻は感じられるかどうかくらいの柔らかさの中に、スイートチョコレートのようなリッチで明るい風味が漂います。

柔らかさだけでいうならば、ネルドリップをも凌駕するものを持っています。しかしリマらしい上品な酸味を持っている所は、よくよく味わって頂きたいところです。

今回の抽出方法

  • 豆の分量:150mlあたり10g
  • 挽き具合:中細挽き
  • 抽出時間:6時間

「リマAAキボー」の美味しい飲み方

ミルク・砂糖との相性

  • ミルク:良い
  • 砂糖 :良い

濃いめにすると美味しい

リマ ③

上品さも相まって、あっさりしたカフェオレに仕上がります。

ミルクの風味によって酸味が弱まるので、コーヒーもミルクもマイルドなテイストが目立ちがちになります。そのため、コーヒーの割合を増やすと、しっかりコーヒーの味もするカフェオレに仕上がります。

あるいはフレンチプレスで淹れたコーヒーであれば、比較的しっかりした味わいになるでしょう。一方でマイルドさを出していきたい方は、ネルドリップが良いかもしれません。

南部のコーヒーも飲んでみよう

タンザニアと言うと、キリマンジャロ周辺の北部産のコーヒーが多く聞かれますが、一度南部のコーヒーを飲んでみてはいかがでしょうか。同じ上品な風味でも、北部とはまた違う雰囲気があって、タンザニアコーヒーの楽しみが増えると思います。

コーヒー豆の情報

  • 名称:リマAAキボー
  • 産地:タンザニア南部ンベヤ・ンビンガ
  • 精製:ウォッシュト
  • 今回の焙煎:シティロースト

About the Author

汐井有

モットーは専門化したコーヒーについて、詳細を伝えつつ噛み砕いた説明で興味を持ってもらうこと。 専門的な記事と解りやすい記事の両方を書こうと思っています。