「ンゴロンゴロ」という名のタンザニア産のコーヒー―― なんとも気になる名を関する銘柄です。このンゴロンゴロはタンザニアのアルーシャ州、つまりキリマンジャロ山周辺にある地域を指しています。
キリマンジャロ周辺の豊かな土壌と標高など環境の良さと相まって、近年ではタンザニア産の美味しいコーヒーとして注目を集めています。その「ンゴロンゴロ」をこれからご紹介していきます。
「ンゴロンゴロ」は、こんなコーヒー。
- 今回の焙煎:フルシティロースト
香り
- フレグランス(豆の香り)
上品で穏やか。深煎りだと穏やかな分、スモーキーさが目立ちます。 - アロマ(コーヒーの香り)
穏やかで甘い芳香。上品さがあって心和めます。
風味
- 力強くも心地よいコク
- 豊かさと上品さの調和
こんな時にオススメ
- 飲み応えのあるコーヒーを飲みたい時
- 充足感を得たい時に
- 朝のモーニングコーヒーに
「ンゴロンゴロ」って何だ?
エコツーリズムが好きな方でしたら、「ンゴロンゴロ保全地区」ご存知かもしれません。「保全地区」の名前から解かる通り、様々な野生動物や伝統的な牧畜がおこなわれています。その周辺部で作られているのが、今回の「ンゴロンゴロ」です。
ンゴロンゴロの生産地域はタンザニア北部、キリマンジャロから100kmほど西にある標高1500m前後の地域にあります。ちなみに、ンゴロンゴロ(Ngorongoro)とは、放牧を営むマサイ族の“コロンコロン”というカウベルの音が由来と言われています。
ペーパードリップ
ンゴロンゴロをペーパードリップで抽出すると、しっかりした味わいとバランスの良さがポイントとなってきます。
酸味とほのかな甘みは瑞々しさを持っていますが、それだけではありません。何といってもコクから感じられる旨味が、ンゴロンゴロの特徴です。力強さが特徴的ですが、決してストロングという訳ではなく、飲み応えがありながらも全体の調和が上手く仕上がっています。
スモーキー&コク深さに注目
また、苦みは比較的マイルドで、スモーキーさを適度に与えてくれています。フルシティ以上の焙煎では、このスモーキー感とコクのボディ感が混ざった大人の余韻を味わうことができるので、注目したいところです。
クリアなテイストが特徴のペーパードリップでは、ンゴロンゴロが持つ個々のテイストが明確に分かれて現れてきます。その個性を堪能したい方にはオススメです。
しっかりした味を出すと面白い豆
ンゴロンゴロはこのように、力強さや豊かさが特徴的なコーヒー豆です。そのため、淹れる時のポイントは、どうやってそれらの味を強く引き出すかというところに懸ってきます。
例えば、多めにコーヒー豆を使って細挽きにするだけでも、仕上がりの味が濃厚になります。他に技術的な部分では、蒸らしの時間を長めにとってみたり、高めの温度でコーヒーを淹れてみたりすると良いでしょう。
「味を強く出す」というところに注目して淹れると、ンゴロンゴロの良さを引き出せるでしょう。
今回の抽出方法(HARIO V60ドリッパー)
- 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
- 挽き具合:中挽き
- 抽出温度:85℃
ネルドリップ
ネルと言えば「柔らかさ」です。ンゴロンゴロも例外なく柔らかさが増し、酸味とコクが柔らかさでマイルドに中和されています。それと反比例するように、甘みが強く感じられ、また深めの焙煎ではスモーキーさが相対的な形で目立っています。
ハッキリ出るペーパードリップと異なり、ネルドリップでは全体が調和した福福しいテイストが特徴的です。個々の味を楽しむのであればペーパードリップですが、ンゴロンゴロ全体の豊かさを楽しむにはネルドリップはうってつけです。
今回の抽出方法
- 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
- 挽き具合:中挽き
- 抽出温度:85℃
フレンチプレス
ンゴロンゴロをフレンチプレスで淹れると、他の淹れ方より明るい酸味が目立つ、快活な印象の一杯になります。
コーヒー豆そのものの味が出るフレンチプレスだけあって、酸味とコクが存分に出ています。しかし、ペーパードリップのように明確に分かれておらず、コクと酸味が混ざったグラデーションといった様相です。一方で、甘みやスモーキーさも感じられますが、コクと酸味にやや押され気味にも感じます。
そのため、東アフリカのコーヒーでよく言われる「個性の力強さ」がダイレクトに感じられます。今回は精製がウォッシュトですが、ナチュラルに負けじと劣らない強さは面白いです。
オススメの抽出方法
- 豆の分量:18g(容量350mlのプレスを使用)
- 挽き具合:粗挽き
- 抽出時間:沸騰したお湯で4分00秒
水出しコーヒー
ンゴロンゴロを水出し抽出すると、程よい強さのコク・穏やかな甘みと酸味、個性と飲みやすさのバランスに優れたコーヒーに仕上がります。水出しコーヒーは円やかに仕上がりやすいので、安定感と力強さを持つンゴロンゴロがピッタリなのかもしれません。
その飲みやすさ故に、余韻は焙煎によって異なるフレーバー楽しむことができます。浅めの焙煎では上品さが、深煎りだとスモーキーさがフレーバーとして感じられます。
飲むときはこのバランスを崩してしまうと勿体ないので、氷を混ぜて飲むより、コーヒーとグラスを冷やして“薄まらないようにして飲む”のがオススメです。
今回の抽出方法
- 豆の分量:一杯当たり10g
- 挽き具合:中挽き
- 抽出時間:6時間
ミルク・砂糖との相性
- ミルク:良い
- 砂糖 :良い
濃いミルクがオススメ
ここまで繰り返しお話ししてきたように、ンゴロンゴロは力強いコクを持っています。そのため、ミルクはその強さに負けない濃厚なものがオススメです。低脂肪乳では力強さに負けてしまって、不均衡感が否めません。
使用するミルクはジャージー牛乳のような元から濃厚なものだけでなく、ミルクと生クリームを割ったものを使っても良いでしょう。
深煎りで楽しみたい「ンゴロンゴロ」
ここまで何度も「力強い」と表現してきましたが、それを堪能するには中深煎り以上の焙煎がオススメです。実際にロースタリーへ赴くと、シティロースト以上の焙煎で売っているのを多く見かけることができます。
ぜひンゴロンゴロを飲まれる際は、その味の力強い豊かさに注目してみてください。そうすることで、ンゴロンゴロをより楽しむことができますよ。
コーヒー豆の情報
- 名称:ンゴロンゴロAA++
- 産地:タンザニア、アルーシャ州
- 精製:ウォッシュト
- 今回の焙煎:フルシティロースト