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【インドネシア】薫る複雑さ「スラウェシ・ママサ」

【インドネシア】薫る複雑さ「スラウェシ・ママサ」

スラウェシ島のコーヒーと言えば、トラジャコーヒーという印象が強いかもしれません。しかし今回は、タナ・トラジャ県の西に隣接するママサ県のコーヒーをご紹介します。

「スラウェシ・ママサ」は、こんなコーヒー。

  • 今回の焙煎:ハイロースト
  • 精製方法 :スマトラ式

香り

  • フレグランス(豆の香り)
    トロピカルフルーツのような明るさと、カルダモンのような爽やかさ
  • アロマ(コーヒーの香り)
    シナモンやジンジャーのような複雑な香り

風味

  • カルダモンのような爽やかなスパイシーさ
  • 深いコクと柔らかい苦み
  • バランス良く個性が出ている

こんな時にオススメ

  • 思索に耽りたい時
  • ゆっくり落ち着きたい時
  • 夜に飲みたいコーヒー

ママサ?スラウェシ?

まずはレビューの前に、スラウェシ・ママサについて知っておきましょう。

スラウェシ・ママサを「セレベス島」の名前でご存知の方もいるかもしれません。場所はカリマンタン島(ボルネオ島)の東にある、一言で表すと「変な地形の島」です。

そんなスラウェシ島の西部(西スラウェシ州)の内陸部にあるのがママサです。このママサ県はタナ・トラジャ県ではないため、「トラジャコーヒー」として販売できないことになっています。しかし、隣接する同じ標高の地域で栽培されており、名前は違えどトラジャに近いコーヒーなのです。

ペーパードリップ:複雑な苦みと爽やかさ

深いコクと甘みの複雑さが特徴的なコーヒーです。口当たりは滑らかで、ガツンと来る刺激はありません。しかし一言では言い難い深みを、香りやコク・甘みが醸し出しています。

深いコクは甘みを伴っているため、曖昧さがあります。一方で、柔らかな苦みが背反するように存在していて、その「どっちつかず」がコクに着地点のない深淵さを与えています。

そして、冷めてくると、インドネシアらしいスパイシー感が表面に出てきます。ジンジャーやカルダモンに似た爽やかな印象がします。余韻は若干表れてくるスパイシーさと、ダークチョコレート(カカオ80%近く)のような柔らかく深いコクと苦みが長く続きます。

淹れ方はお好みで

ママサのペーパードリップは、深いコクと爽やかさと正反対の二つの要素を持っています。そのため、どちらを出したいかによって、淹れ方も変わってきます。

例えば、深いコクを出したいのであれば、少し高めの温度(85℃前後)でお湯をゆっくり注ぐと濃密なコーヒーに仕上がります。一方で、爽やかさを出したい場合、中温(80~85℃程度)で、サッとお湯を注いであげると爽やかさが出やすくなります。

オススメの抽出方法(HARIO V60ドリッパー)

  • 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
  • 挽き具合:中挽き
  • 抽出温度:80~85℃

ネルドリップ:円やかな風味とスパイシーさ

ネル特有の落ち着きによって、相対的にスパイシーさが感じられます。

苦みは抑えられており、口当たりから飲み始めはかなり円やかです。そして、一息置いてから、せり上がってくるスパイシーさによってコーヒーに波を持たせています。また、スパイシーさをより満喫したい方は少し冷めるまで待つと、より強く感じられるようになるでしょう。

余韻ではコクはフェードアウトしていくため、スパイシーさが舌先に残ります。このように、後から出てくるスパイシーさや消えていくコクなど、飲み始めより余韻で味が出てくるコーヒーなので、飲んだ後の雰囲気を満喫できます。

オススメの抽出方法

  • 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
  • 挽き具合:中挽き
  • 抽出温度:80~85℃

フレンチプレス:個性の均整

複雑さが上手く調和しながら感じることができるコーヒーです。

スパイシーさは程よく抑えられていて、コク・苦み・甘みとのバランスが上手く取れています。そのコクは、モカらしい爽やかさとマンデリンのような深みのバランスが良く、個性の均衡が取れたコーヒーです。

苦みは“ほろ苦い”程よさで、ちょっとした心地よいアクセントを与えてくれています。またスパイシーさもドリップほど主張が強くはなく、個性を保ちながらママサの良さを堪能することができます。余韻はコクの深さを中心に、ほのかな甘みとスパイシーさがやんわりと響きます。

ママサのテイストそのものを味わいたい方は、フレンチプレスで淹れるとオススメです。

オススメの抽出方法

  • 豆の分量:18g(容量350mlのプレスを使用)
  • 挽き具合:粗挽き
  • 抽出時間:沸騰したお湯で4分00秒

水出しコーヒー:爽やかアイスコーヒー

ドリップとは全く異なる、面白い表情を見せてくれます。

爽やかさが目立っている一方で、複雑さもあって何とも言えない混沌さを持っています。カルダモンのような爽やかなスパイシーさを中心に、甘さ・柔らかなコクを混ぜたテイストです。余韻はとても華やかで、そのカルダモンらしさが散らばって消えていきます。

ママサの水出しコーヒーは、コクの深さで知られるインドネシアのコーヒーを想定していると、その爽やかさにきっと驚くでしょう。ただ、驚きと同時に病みつきになってしまう爽やかさでもあります。

オススメの抽出方法

  • 豆の分量:150ml当たり10g
  • 挽き具合:中細挽き
  • 抽出時間:6時間

「ママサ」の美味しい飲み方

ミルク・砂糖との相性

  • ミルク:人それぞれ
  • 砂糖 :良い

ミルク:スパイシーさとミルキーさの融合

カフェオレにすると、スパイシーさとミルキーさが入り混じったテイストになります。そこが、ママサのカフェオレの面白さでしょう。ただ深みがないのでカフェオレに円やかさを求める方には、いま一つかもしれません。

もしママサで飲み応えのあるカフェオレを作りたい方は、乳脂肪分の高いミルクを使うとオススメです。一方で、スパイシーさを前面に出したい時は、低脂肪乳を使うのも一つの手段です。

飲み方次第で楽しめる、スラウェシ・ママサ

深いコクであったり、スパイシーな爽やかさであったり、はなまたカフェオレの一風変わったテイストであったり、――ママサは楽しみ方次第で様々な表情を見せてくれます。

インドネシアのコーヒー豆は、酸味や甘味がブームの今日では若干陰に隠れがちですが、スラウェシ・ママサはインドネシア産コーヒーの広さを実感させてくれる一杯です。

コーヒー豆の情報

  • 名称:スラウェシ・ママサ
  • 産地:インドネシア、西スラウェシ州、ママサ県
  • 精製:スマトラ式
  • 今回の焙煎:ハイロースト

About the Author

汐井有

モットーは専門化したコーヒーについて、詳細を伝えつつ噛み砕いた説明で興味を持ってもらうこと。 専門的な記事と解りやすい記事の両方を書こうと思っています。