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【ブラジル】セルトン農園「百年樹コーヒー」

【ブラジル】セルトン農園「百年樹コーヒー」

樹齢100年のコーヒーノキ、そんなもの存在するのかというと、実在するのです。コーヒーの樹木は通常10年、長くて数十年ですが、実はもっと長く生きるのです。今回は、ブラジルにあるセルトン農園の100年以上の樹齢を誇るコーヒーノキから採集されたコーヒー豆をご紹介します。

「百年樹コーヒー」は、こんなコーヒー。

  • 今回の焙煎:ハイロースト

香り

  • フレグランス(豆の香り)
    フルーティーだが、どこかヴィンテージ感のある香り
  • アロマ(コーヒーの香り)
    ブラッドオレンジのような濃いシトラス香

風味

  • ブラッドオレンジのようなジューシー感
  • 甘みのある風味

こんな時にオススメ

  • 充足感を感じたい時
  • ヴィンテージ感あるコーヒーが好みの方に
  • フレンチプレスでコーヒーを淹れる時

セルトン農園と百年生きるコーヒー

コーヒーノキは通常10年、長くて数十年と言われることが多いのですが、これらは決してコーヒーノキ本来の寿命ではありません。この年数はコーヒー豆が多く収穫できる時期のことを指しています。あるいは、農薬を使っていると10年少々で枯れてしまうこともあります。

コーヒーノキも、丁寧に手入れをして育てることで、ペット同様に長く命を保つことができます。そうは言っても100年を超える樹木は老木ですから、収穫できるコーヒー豆は少量です。

さて、今回のセルトン農園の百年樹コーヒーですが、植えられているのはブルボン種で、古い株では1912年まで遡ります。このような100年を超えて育てられる優れた環境と生産者の技術の賜物が、今回の「百年樹コーヒー」です。

ペーパードリップ:枯れた美味しさ

①

滑らかな舌触りから始まって、凝縮した果実感・しっとりしたコク・柔らかい甘みが特徴的なコーヒーです。果実感はブラッドオレンジに似た締まりのあるジューシーさですが、コクと甘みの穏やかさも相まって、ヴィンテージ感のある美味しさを持っています。

加えてもう一つ特徴的な点が、余韻の軽さです。ジューシーな風味の後は、フッと霧のように散って消えます。厳密には甘みの余韻が残りますが、ジューシーさから穏やかな甘みへの落差が大きいので、一瞬で消えるような感覚です。

今回の抽出方法(HARIO V60ドリッパー)

  • 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
  • 挽き具合:中挽き
  • 抽出温度:83℃

ネルドリップ:円く単調

ネルの柔らかさが、しっとりしたテイストを引き立ててくれています。他方でジューシーさが抑えられているので、丸みを帯びたコーヒーに仕上がります。口に含むと、丸み以外にもコクとほのかなジューシーさの枯れた感触があり、その後は円やかさから軽い余韻へとフェードアウトしていきます。

ただし、円さと枯れた味は、裏を返せば平坦ということでもあります。円やかさを上手く引き出せる一方で、単調さゆえの飽きやすさも持っていて、淹れる時はその点に気をつけたほうが良いかもしれません。

今回の抽出方法

  • 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
  • 挽き具合:中挽き
  • 抽出温度:83℃

フレンチプレス:溢れ出るフレーバー

他の淹れ方より明るさが良く出ています。

コクは軽めに出ておりジューシー感も和らいでいますが、様々なフレーバーを含んでいて、柔らかながらも秘めたるものの多いコーヒーです。ぜひフレンチプレスで飲むときは、このフレーバーに気を付けて味わっていただきたいものです。果実のようなチョコレートのような、不思議なフレーバーです。

甘みは程よく効いており、フレーバーと重なって穏やかな表情を見せてくれます。この穏やかさは、緩やかな余韻となってフェードダウンにしていくので、ペーパードリップとはまた違う印象を得られます。

ペーパードリップが個性に特化し上手く引き出しているのに対して、フレンチプレスはコーヒーの持つ全ての味を引き出してくれます。その違いを飲み比べてみるのも、一つの楽しみ方かもしれません。

オススメの抽出方法

  • 豆の分量:18g(容量350mlのプレスを使用)
  • 挽き具合:粗挽き
  • 抽出時間:沸騰したお湯で4分00秒

水出しコーヒー:滑らかさのコーヒー

ベルベットのような舌触りで、滑るように流れていきます。ほんのり感じるジューシー感とゆるゆるのコクを感じる程度で、あとはひたすら滑らかなコーヒーです。余韻に至っては、どこからどこまでなのか境が解らないくらい滑らかです。

とても飲みやすいのですが、滑らかさ一辺倒で個性を引き出しづらいところは欠点でしょう。コーヒーの個性を味わいたいという方は、ドリップかプレスで淹れて冷やした方が良いかもしれません。

今回の抽出方法

  • 豆の分量:150ml当たり10g
  • 挽き具合:中細挽き
  • 抽出時間:6時間

ミルク・砂糖との相性

  • ミルク:良い
  • 砂糖 :良い

充足感あるカフェオレに

ドリップのジューシー感やプレスのフレーバーが、カフェオレにした時に充足感を与えてくれます。そして、コクのしっとりさが、ミルクとコーヒーの間を上手く取り持ってくれるので、とてもバランスの良いカフェオレに仕上がります。

飲みやすいうえに、一杯で充足感を感じる美味しいカフェオレになるので、物足りないときにお勧めです。

希少な百年樹コーヒー

②

百年樹コーヒーはその高齢さから収穫量が少なく、貴重なコーヒーでもあります。

そして、収益効率の観点からすると不効率なため、100年も大切にコーヒーを育てている農園は、とても少ないのです。一方で、見方を変えれば100年も生きられるくらい丁寧に育てているため、その生育環境の良さや生産者の優れた技術を示しているとも言えるでしょう。

この百年樹コーヒーは単なる希少性ではなく、その背景から優れた農園であることを物語っているコーヒーでもあるのです。

コーヒー豆の情報

  • 名称:セルトン農園百年樹コーヒー(ブルボン)
  • 産地:カルモ・デ・ミナス地区、ミナスジェライス州、ブラジル。
  • 精製:パルプドナチュラル
  • 今回の焙煎:ハイロースト

About the Author

汐井有

モットーは専門化したコーヒーについて、詳細を伝えつつ噛み砕いた説明で興味を持ってもらうこと。 専門的な記事と解りやすい記事の両方を書こうと思っています。