ペーパードリップは喫茶店などのお店でもよく使われるコーヒー抽出法です。
ペーパードリップで使われるドリッパーには、底に1つだけ穴が開いている1つ穴式、2つ3つと複数の穴が開いている複数穴式、円錐形で底に開いた穴からペーパーフィルターの先を出して使う円錐型など種類があり、それぞれ淹れるコーヒーの味わいも変わってきます。
今回はその中から複数穴式に着目し、複数穴式ドリッパーの特徴やそれに適したコーヒー豆の挽き方をご紹介しましょう。
複数穴式ドリッパーの特徴
複数穴式のドリッパーには2つ穴や3つ穴などがありますが、中でも有名なものは、扇形(台形)3つ穴式の「カリタ」です。カリタはコーヒー機器を製造する日本のメーカーです。
底に3つの穴があることから1つ穴式のメリタよりもコーヒーの濾過速度が速く、軽やかでさっぱりとした味わいになります。湯はコーヒー粉の状態を見ながら複数回に分けて注ぐため、湯の量や注ぎ方、注ぐタイミングなどを考えなければならず、1つ穴式ドリッパーに比べるとやや難しくなります。
その一方で、湯の注ぎ方で風味を調節できる自由度の高さが魅力でもあります。
コーヒー豆の挽き方(粒度)の段階
「豆を挽く」と一言で言っても、その細かさは様々あります。粉の細かさは「粒度(メッシュとも言う)」と呼ばれ、粒度によって適した抽出時間や器具、そして味わいも異なってきます。
大まかに言うと、粒度が細かいほど抽出されるコーヒー液の濃度は濃く苦味も強くなり、粒度が粗いと濃度は薄く酸味が出やすくなるという特徴があります。
粒度の段階はお店によっても異なりますが、大きく分けて4段階に分けられます。
- 極細挽き
白砂糖ほどの大きさ。この大きさまで挽くには専用のミル(グラインダー)が必要になります。苦味が強く出るので、エスプレッソに最適です。 - 細挽き
グラニュー糖ほどの大きさ。ウォータードリップ(水出しコーヒー)やドリップ式で苦味やコクを強めたいときに向いています。 - 中挽き
ザラメ糖とグラニュー糖の間くらいの大きさ。挽き具合としては最も一般的です。ペーパードリップやネルドリップ、コーヒーメーカーに向いています。 - 粗挽き
ザラメ糖ほどの大きさ。お湯で煮だして抽出するパーコレーターなどに向いています。
※これをさらに分けて、極細挽き、細挽き、中細挽き、中挽き、中粗挽き、粗挽きなど5~6段階に分けているお店が多くあります。
複数穴式に適したコーヒー豆の挽き方
複数穴式では中挽きと相性が良いと言われています。挽き方が細か過ぎるとペーパーフィルターが目詰まりを起こし抽出に時間がかかり、余計な苦味や渋味まで出てしまいます。
反対に挽き方が粗いと、穴が多いことも重なって湯がより速く通過してしまい、コクや旨味を十分に引き出せないまま、さらに湯が追加されていき、薄いコーヒーになってしまう恐れがあるのです。
とはいえ、基本的にはどの挽き方にも合うドリッパーなので、必ず複数穴式でなくてはならない、というわけではありません。
複数豆式ドリッパーは中挽きとの相性が良い
粗く挽きすぎるとコーヒーの旨味が抽出されにくくなり、細挽きすぎると苦味・渋味までドリップされてしまいます。そのため、どんな挽き方にも合うとはいえ、おすすめは”中挽き”となります。
複数穴式は穴が多いため、湯がコーヒー粉を通過しサーバーに落ちる時間は短くなりますが、数回に分け湯をゆっくりと注いでいく分、抽出されるコーヒー液が濃くなり過ぎないよう挽き方には気を配りましょう。
また、穴の数が2つか3つかで抽出の速さが変わってきますので、それに合わせて微妙に挽き具合も調節すると、よりおいしいコーヒーが楽しめると思います。