「コーヒーが余ってしまった」、「常温でコーヒーをずっと放置してしまった」
こんな経験はないでしょうか?そして困るのが、そのコーヒー豆の対処方法です。香りが劣化していたり、ときには湿気を吸っていたり、どうしようか迷うものです。
美味しくはないけど捨てるのは勿体ない、そんなコーヒーの対処方法をこれからお話ししたいと思います。
前提は「味をごまかす」こと。
言うまでもないもですが、鮮度が落ちてしまったコーヒーはあまり美味しくありません。
そこで重要になることが「ごまかす」ことです。とはいっても闇医者のような変なことをする訳ではなく、不味くなってしまった部分を「調和」させてごまかすのです。
抽出を調整する
オススメの淹れ方①:ドリップ(高温で豆を多くする)
コーヒーは、高温で抽出すると苦味やコクが強く出ます。反対に低温であれば苦味やコクは弱まり、鮮度の落ちたコーヒーでは酸化し劣化してしまった味が目立ってしまいます。つまり高温で抽出することで、苦味やコクで酸っぱさを覆い隠してしまうという方法なのです。
温度は90℃前後で、粉は中細挽きが良いでしょう。ただし一つご理解いただきたい点は、この方法はあくまで誤魔化す処置であって、美味しいコーヒーが飲める、というわけではありません。やはり美味しいコーヒーは、美味しい状態、つまり新鮮なコーヒー豆が必要です。
オススメの淹れ方②:モカエキスプレス
モカエキスプレスは直火式エスプレッソと呼ばれるだけあって、非常に濃いコーヒーが抽出されます。そのため鮮度の落ちたコーヒーでもある程度美味しく飲むことができます。
特に、モカエキスプレスはドリップと異なり技術を必要としないので、失敗する確率は低い点はオススメです。またエスプレッソは苦味が強いため、通常は砂糖やミルクを加えて飲むので、劣化味や飲みづらさを緩和できるというメリットもあります。
オススメの淹れ方③:ベトナムコーヒー
ベトナムコーヒーは、ロブスタ種のコーヒーで淹れることの多いベトナム独自のコーヒーです。
この方法はコーヒーの劣化味を強い苦みで消し、練乳で甘々に仕上げます。元々ロブスタ種を美味しく飲む方法であり、鮮度の落ちたコーヒーでも味があまり変わりません。
かなりマイナーな方法ではありますが、鮮度落ちを感じにくくする淹れ方ですのでオススメです。
避けたい淹れ方:フレンチプレス
鮮度の落ちたコーヒー豆で淹れるときに避けていただきたい方法が、フレンチプレスです。
フレンチプレスは“コーヒー粉を直接湯に浸す”という器具の特性上、コーヒー豆の風味をダイレクトに引き出します。そのため高品質なコーヒー豆を用いることで豆の個性を引き出し美味しく飲むことができますが、裏を返すと品質が悪ければ美味しくはありません。
そのため、鮮度の落ちてしまった豆はフレンチプレスは避けたほうが無難でしょう。
ミルクを混ぜよう
コーヒーで嫌われやすい風味(酸化による酸っぱさ、エグ味、雑味など)は刺激的な風味です。そしてそれらの嫌な刺激に最も効果的な対処法が「ミルクを加えること」です。
カフェ・オ・レのように、コーヒーにミルクを加えると、まろやかで飲みやすくなります。つまりミルクは、刺激とは正反対の効果を持っているのです。そのためミルクによって嫌な風味を中和してあげることで、かなり飲みやすくなります。
どんなミルクが良いのだろうか?
ミルクといっても、乳脂肪分が高いものから低脂肪乳まで、あるいは生クリームという選択肢もあります。問題は嫌な味を中和するには、どのようなミルクを用いるのが最も効果的か?ということです。
結論から言うと、「牛乳以上の濃度のもの」がベスト。一般的にミルクは乳脂肪分が高いほどまろやかな味わいのため、酸っぱさ、エグ味、雑味を緩和してくれます。反対に低脂肪乳はスッキリしたテイストのため、不味いと感じてしまうそれらを消しきれない場合があります。もっとも、脂肪分が高すぎても、重すぎて飲みづらくなる可能性もあるので注意です。
アイスコーヒーにしてみる
よく聞く話かもしれませんが、人間の舌は冷たいほど味を感じづらくなります。つまり逆手をとって「キンキンに冷やしたアイスコーヒー」にすることで、劣化味を感じづらくするという方法もあります。
ただし、アイスコーヒーで飲むには幾つかの条件があります。
条件①:濃いめに入れる
通常コーヒーは一杯当たり10g前後で淹れる場合が多いでしょう。しかし苦味を出しておいたほうが、冷やした時に劣化味を感じづらくなるため、豆を多くして高温で抽出したほうが良いでしょう。
※詳しくは前述のドリップの欄をご覧ください。
条件②:中深煎り以上の焙煎
アイスにすることで弱まる風味は、劣化味だけではなく苦味やコクも同じです。そのためエグ味や雑味より苦味やコクを強くしておかないと、飲みづらさが残ってしまいます。
仮に浅煎りのコーヒー豆を用いた場合、苦味やコクが冷やされることで感じづらくなり、結果的に不味さだけが感じられることもあります。できれば中深煎り以上でアイスコーヒーにすることをオススメします。中煎りの場合は、豆の量を多めにしたほうが良いでしょう。
飲む“以外”に使ってみる
コーヒーの使用用途はただ飲むだけではありません。例えばクッキーや蒸しパンなどの食べ物の味付けに使う手もあります。これらの食べ物は甘く味付けをして、そこから焼きあげる(あるいは蒸す)ため、エグ味や雑味があっても美味しく戴けます。
レシピはクッキーや蒸しパンだけでなく、ティラミスやロールケーキのクリームに使ってみるのも良いかもしれません。
コーヒーゼリーは避けよう
お菓子の中でもコーヒーゼリーは避けたほうが良いでしょう。理由は単純で「コーヒーを固めた」ものですので、コーヒーの風味がダイレクトに出てしまうためです。そのため、鮮度の落ちたコーヒーを用いると、雑味のあるゼリーに仕上がってしまう恐れがあります。
鮮度落ちしたコーヒーにも充分楽しめる飲み方がある
鮮度が落ちた以上、新鮮なコーヒーのように美味しく飲むことは難しいです。そのため前提として「どうやって誤魔化すか」を、念頭に置いておくことが必要です。そしてそのようにすると、基本的には濃厚なコーヒーや、コーヒー以外の物(ミルクやお菓子)などを用いたものになるのです。
最善策は「鮮度を落とさないこと」
ただし、最善策はもちろん「鮮度が落ちる前に飲み切ること」と、「飲み切れる分量だけ購入すること」です。コーヒーが余ってしまい、鮮度が落ちてしまった場合にのみ、この記事を参照して頂ければと思います。
また鮮度を落とさず保存する方法は、以下の記事に書いてありますので、併せてお読み頂けると幸いです。