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【タンザニア】老舗と品質のキリマンジャロ「モンデュール農園」

【タンザニア】老舗と品質のキリマンジャロ「モンデュール農園」

タンザニア北部、アルーシャ州に位置するモンデュール農園は、ケニアとの国境近くMonduli地区にあります。

この農園は、キリマンジャロ山麓のコーヒーの中では外すことのできない農園の一つです。というのも、モンデュール農園は1931年創業の老舗農園で、さらにタンザニアきっての高品質なコーヒー豆の生産で知られているのです。

昔からクオリティを追究してきたモンデュール農園のコーヒーには、キリマンジャロの純粋な美味しさが詰まっています。

「モンデュール農園」は、こんなコーヒー。

  • 今回の焙煎:ハイロースト

香り

  • フレグランス(豆の香り)
    和らぎと華やかさを併せ持った、花畑のような香り。
  • アロマ(コーヒーの香り)
    優しく華やか。フレグランスよりしっかりした安定感がある

風味

  • 全体的に上品さがある
  • 軽快な酸味と安定感のあるコクの絶妙なマッチング
  • 淹れ方で結構違いが出てくるコーヒー

こんな時にオススメ

  • 和みたい時に
  • 明るい気持ちになりたい時に
  • 昼間に飲みたいコーヒー

老舗×クオリティのコーヒー

モンデュール農園は、1931年にイタリア人一家がエチオピアから持ち込んだコーヒーから始まりました。そして彼らはモンデュリ山の標高1600~1800mの優れた土壌で、近代的な手段で栽培を始めました。それが老舗とクオリティの起源でした。

動画にあるように、完熟チェリーを水洗式で処理して、スタッフによるカッピング検査を行うなど、品質には細心の注意が払われています。その結果、スペシャルティコーヒー黎明期の1999年と2001年にタンザニアのコンクールで金賞を獲りました。

こうして高品質なキリマンジャロの先駆者として、今もなお高品質なコーヒーを生産し続けているのです。

ペーパードリップ:軽快×安定感

モンデュール ①

柑橘系のキュンっと締まりのある明るい酸味が印象的です。

酸味は強いですが、透明感があるため、すぐに消えていきます。また、酸味の背後には、ナッツのような重厚なコクと甘みが潜んでいて、明るい酸味を下支えしています。そして余韻では、軽快な酸味・コク・ほのかな苦みが融合して、グレープフルーツのような雰囲気を出してくれます。

総じて見ると、軽快な酸味が個性を主張している一方で、重厚なコクと甘みの安定感もあります。そのため、どこか均整の取れた様相も呈していて、個性があるのに飲みやすいテイストに仕上がっています。

柔らかなテイストを出せると美味しい

このコーヒーの最大の特徴は酸味かと言うと、そうとは断言できないでしょう。柑橘系の酸味と安定感あるコクの、「絶妙なマッチング」こそが最大の特徴です。そのため、この絶妙さを如何に引き出せるかがポイントとなってきます。

お湯の温度は80℃~85℃(まろやかさを出したいなら78℃前後)で、個性も飲みやすさもバランスよくすることでと、その良さを引き出しやすくなります。また、お湯を細く注いでじっくり淹れるより、大胆に注いでサッと抽出した方が飲みやすく軽快さも感じられやすくなります。

オススメの抽出方法(HARIO V60ドリッパー)

  • 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
  • 挽き具合:中挽き
  • 抽出温度:80~85℃

ネルドリップ:フェザータッチな安定感

ペーパードリップより落ち着きがあり、酸味に刺すような強さはさほど見られません。とはいえ、酸味の軽快さは健全です。また、重厚なコクと甘みも落ち着きを持っているので、フワッと柔らかいフェザータッチな舌触りが特徴的です。

そして余韻は、グレープフルーツらしさをほのかに感じさせつつも、フェードアウトしていく儚さを持っています。

ペーパードリップと併せて飲み比べると、「同じドリップでもこれほど違うんだな。」と実感させてくれる一杯です。

オススメの抽出方法

  • 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
  • 挽き具合:中挽き
  • 抽出温度:80~85℃

フレンチプレス:ドリップとは違う朧げさ

華やかさに関しては、他の抽出方法よりわかりやすく表に出てきます。口に含むと四方八方に散らばるように、酸味が広がっていくところが醍醐味です。

ドリップとは異なる不透明感・そして丸みを帯びた緩いコクのため、軽快な酸味を持つ一方、朧げな側面も持っています。例えるならば、“緩い”グレープフルーツといったところでしょう。そして余韻は、この緩く広がった酸味が心地よく響き、その後は雲散霧消してしまいます。

ペーパードリップのスッキリした飲みやすさと比べると、不透明感やコーヒーオイル滑らかさといったフレンチプレスならではの特徴が出ていて、また違う飲みやすさを楽しむことができます。

オススメの抽出方法

  • 豆の分量:18g(容量350mlのプレスを使用)
  • 挽き具合:粗挽き
  • 抽出時間:沸騰したお湯で4分00秒

サイフォン:中庸な上品さ

程よく強い酸味に、これまた程よいコクと甘みが特徴的。個性があるはずなのに、どこか中庸に感じられるテイストは不思議です。モンデュールが持つ軽快な酸味と重厚なコクが、絶妙なバランスで感じられます。

ただし、この絶妙な味わいは淹れたての状態で感じられる風味で、他のコーヒー豆と同様、冷めるにつれて、酸味が目立って感じられるようになってきます。そのため、淹れたてが飲むベストタイミングでしょう。

そして余韻もまた絶妙で、酸味由来の明るさとコク由来の円やかさによって、何とも言えない優しさを醸し出しています。

「モンデュール農園」の美味しい飲み方

ミルク・砂糖との相性

  • ミルク:GOOD
  • 砂糖 :GOOD

ミルク:上品なカフェオレ

モンデュール ②

カフェオレにすると酸味は弱まりますが、上品さが目立った気品あるカフェオレに仕上がります。その反面、柔らかく重厚なコクと甘みがミルクに負けない濃厚さを持っているため、カフェオレとして飲みごたえもあります。

また、カフェオレのミルクは通常の牛乳が最もオススメです。低脂肪乳ではコクの良さを引き出すことができません。一方で、濃厚なミルクでは上品さを消してしまいかねません。

アイス:濃い紅茶?のような上品さ

モンデュール ③

アイスコーヒーにすると苦みや酸味は感じづらくなり、かなりマイルドなコーヒーに感じられるようになります。そのため濃く出したアイスティーのようなテイストがします。

この風味もまた上品と呼ばれるキリマンジャロならではの良さですが、コーヒーらしさを出したい方は、コーヒー豆の量を増やして濃く淹れると良いでしょう。また、氷で直接冷やすより、間接的に冷やすと薄まらないのでオススメです。

美味しいキリマンジャロを楽しめる

このモンデュール農園は、キリマンジャロコーヒーの本場アルーシャの中でも一目置かれている存在だけあって、余計な味がなくキリマンジャロらしさを存分に楽しめます。

個人的にはペーパードリップで淹れるとクリア感が出て、「キリマンジャロを飲んだ!」という満足感を感じられたように思います。

キリマンジャロが好みの方・気になっている方には、ぜひ試してもらいたい農園です。

コーヒー豆の情報

  • 名称:モンデュール農園(Mondul Coffee Estates)
  • 産地:タンザニア・アルーシャ州
  • 精製:ウォッシュト
  • 今回の焙煎:ハイロースト
  • 農園ウェブサイト:http://mondulcoffee.com/ (English)

 

About the Author

汐井有

モットーは専門化したコーヒーについて、詳細を伝えつつ噛み砕いた説明で興味を持ってもらうこと。 専門的な記事と解りやすい記事の両方を書こうと思っています。