シアトル系のカフェが人気を呼び、家庭用のマシンも開発され、日本でも一般的になってきているエスプレッソ。名前は知られていますが、その正しい飲み方まで知っている人は多くないかもしれません。
エスプレッソの本場であるイタリアではどのように飲まれているのか、見てみましょう。
エスプレッソとは
イタリアでは最もよく飲まれているコーヒーです。イタリアでCaffèはエスプレッソのことを指します。使用するコーヒー豆は深煎りにし、極細挽きにします。そして、専用のマシンなどを使い、高い蒸気圧を発生させ、その圧力でお湯を瞬間的にコーヒー粉の中に通して抽出します。
高い圧力がかかることによって、コーヒー成分は凝縮し、油分もうまく混ざり合い、苦味がありながらまろやかでとろっとした口当たりになります。短時間抽出により雑味の少ない味わいになるのです。
エスプレッソに浮かぶ泡の役割
エスプレッソの魅力は表面に浮かぶ「クレマ」と呼ばれる細かい泡にもあります。このクレマは、コーヒー豆のタンパク質や油分に由来し、甘さのもとになるだけではなく、豊かな香りを閉じ込め、口当たりを柔らかくし、保温にも一役買っているのです。
良質なクレマほど、細かく厚みがあり、すぐには消えません。
ドリップコーヒの約1/5の量
エスプレッソ一杯当たりに使用する豆の量は約7~8g(ドリップコーヒーは約10g)、抽出する量は約30ml(ドリップコーヒーは約140ml)です。
コーヒー豆は深煎りにすると言いましたが、細かく分けると、シアトル系のカフェではフレンチロースト(深煎り)~イタリアンロースト(極深煎り)で、イタリアではシティロースト(中深煎り)~フルシティロースト(やや深煎り)がよく飲まれているそうです。
イタリアでのエスプレッソの正しい飲み方
- 飲む前に香りを楽しみましょう。カップに鼻を近づけ、目を閉じ、静かに香りを堪能します。「五感で楽しむ」これはエスプレッソの醍醐味とも言えます。
- スプーン2杯ほどの砂糖を、表面を覆うクレマを沈めてしまわないようにゆっくりと入れます。そして、スプーンでかき混ぜるのも数回のみ。砂糖は溶かしきらなくてもよいのです。
- 風味が飛んでしまいやすいので、ゆっくり少しずつではなく、素早く3~4口で飲んでしまいます。コクのある味わいと口の中に広がる芳醇な香りを感じ、余韻を楽しんでください。
- 飲み終えたら、溶けきらずにカップの底に溜まっている砂糖を、スプーンですくって食べましょう。日本では行儀が悪いように見えますが、イタリアでは正式なエスプレッソマナーなのです。
エスプレッソの無作法な飲み方
小指を立ててカップの取っ手を持ってはいけない
エスプレッソ用のカップは小さく、取っ手も非常に小さくなっているため指の置き場に困りますが、小指を立てて飲むのはマナーに反します。
正しい持ち方は、親指・人差し指・中指で取っ手をしっかりと持ち、小指・薬指は折りたたんでおきます。
砂糖を入れて何度もかき混ぜてはいけない
砂糖を溶かそうと何度もかき混ぜてしまうと、エスプレッソの魅力である香りを損なってしまいます。
また、イタリアではカップに残る砂糖を食べることをエスプレッソの最後の楽しみとしているのです。
スプーンの置き場所にも注意
かき混ぜたスプーンをそのまま直にテーブルやカウンターに置いていませんか。ソーサーに置くと、カップを上げ下げするたびに当たったりするのが嫌だと思われるかもしれませんが、エスプレッソに限らず、スプーンはソーサーに置くのがマナーです。
エスプレッソの正しい飲み方まとめ
味だけではなく、香りも大切にし、苦みの後の砂糖の甘さまでも堪能するイタリア流エスプレッソの飲み方はいかがでしたか。
砂糖のあたりは驚かれたかもしれませんが、新しいコーヒーの世界を覗いてみるのも良い経験ではないでしょうか。