「コーヒーの本場」というイメージが強いイタリアでは、どのようにコーヒーが楽しまれているのでしょうか?エスプレッソやカフェラテなど、イタリアには日本でも人気のあるコーヒーがたくさんありますが、イタリア人の楽しみ方とは少し異なるようです。
ここでは、イタリアのコーヒー文化とその特徴について見ていきましょう。
エスプレッソの本場イタリア
多くの方がイメージする通り、イタリアのコーヒーといえばやはりエスプレッソ。バール(日本でいうカフェのような場所)には必ずエスプレッソマシンが置いてあり、多くの方がエスプレッソを楽しんでいます。
バールはイタリアのほぼ全土に点在しており、16万件はあるのではと言われています。また、エスプレッソの取り扱いだけでなく、雑誌やフード、たばこなども販売しているバールも多いそうです。
「エスプレッソ」の意味
濃いめのコーヒーとして日本でも定着しているエスプレッソですが、そもそもなぜエスプレッソと呼ばれているかご存知でしょうか。これは、イタリア人のコーヒーの楽しみ方そのままの意味から捉えることができます。
「エスプレッソ(espresso)」の意味は“急行列車”。つまり、瞬時に飲み干すコーヒー、ということになります。イタリアでは、バールでエスプレッソを頼み、さっと飲み干してゆっくりすることなく店を後にするそうです。日本のカフェでの楽しみ方とは真逆の飲み方が、エスプレッソという言葉そのものを表しているのです。
憩いの場「バール」
日本でいうところのカフェ「バール」は、イタリア人の生活とは切っても切り離せないもの。とある調査ではイタリア人の9割以上がバールを利用しており、出勤前、昼食後、仕事終わりと、イタリア市民は頻繁に行きつけのバールを訪れエスプレッソを嗜むそうです。
また、さっとエスプレッソを飲むスタイルだけでなく、16〜17世紀の知識人たちの情報交換の場としての名残りで、社交場としての役割を現在でも担っています。
バリスタの需要
頻繁に訪れるからこそ、そこで働く「バリスタ」は最高のコーヒーと接客でもてなさなくてはなりません。日本ではあまり職業として定着していないバリスタですが、イタリア人にとっては非常に馴染み深い存在。最近では、エスプレッソだけでなくフォームドミルクを使ったアレンジも人気のようです。
エスプレッソの楽しみ方
日本ではエスプレッソはブラックで飲むものという認識がありますが、本場イタリアでは違います。多くの方が砂糖を入れてエスプレッソを楽しんでおり、その量も様々。大量に入れる方、スプーン一杯分軽くいれる方など自分好みのカスタマイズを持っており、そこに決められたルールはありません。もちろん、ブラックを好んで飲まれる方もいます。
エスプレッソとドルチェ
また、イタリアではスイーツのことを「ドルチェ」と呼び、エスプレッソとのペアリングの定番として親しまれています。
アイスクリームにエスプレッソをかけて楽しむアフォガードや、クッキーに似た固く焼き上げたビスコッティ。フランスでいうところのクロワッサンのようなコルネットなどと組み合わせ、エスプレッソを楽しんでいるそうです。
ミルクの量によって異なるメニュー
日本でも人気のあるカフェラテやカプチーノ。これらの名前は、エスプレッソに含まれるミルクの量と種類によって決まります。
カフェ・マキアート
エスプレッソに少スチームミルク(蒸気で温めたミルク)を入れたもの。
- エスプレッソ:60%
- スチームミルク:40%
カプチーノ
エスプレッソにスチームドミルクとフォームドミルクを入れ、シナモンを少々振ったもの。
- エスプレッソ:30%
- スチームミルク:30%
- フォームドミルク:40%
- シナモン:少々
カフェ・モカ
エスプレッソ2割、スチームミルク7割にモカシロップを加えたアレンジ。
- エスプレッソ:20%
- スチームミルク:70%
- モカシロップ:10%
カフェラテ
エスプレッソに多量のスチームドミルクを注いだもの。表面に少々のフォームドミルクをトッピングすることも多い。
- エスプレッソ:20%
- スチームミルク:80%
カプチーノは朝に飲むもの
日本では、夜、カフェに立ち寄った際にカプチーノを頼むことが多いそうですが、イタリア人からしてみればその光景は違和感を感じるといいます。
実は、イタリア人にとってカプチーノは「朝飲む物」として認識されているからです。お昼前までは飲む方もいるようですが、午後になると全くと言っていいほどオーダーされないのだとか。
納豆、味噌汁、白米と言われて“朝食”をイメージする日本の文化のようなイメージなのかもしれません。
イタリアのコーヒー文化と特徴 まとめ
イタリアでのコーヒー事情について見てきました。カプチーノを朝にしか飲まないというのは、知らない方も多かったのでは?
また、エスプレッソは日本でも馴染み深いコーヒーではあるものの、楽しみ方はやはり少し違うようです。世界規模で“味”へのこだわりを持つイタリアでは、水の量や質から温度、使用している豆まで追求しており、まさにコーヒー大国としてふさわしい国柄なのです。
ちなみに、最近では家庭用のエスプレッソマシーンを持っている家庭も多いのだとか。