カフェイン含有量が少ないカフェインレスコーヒー。コーヒー豆からカフェインだけを抽出除去したものをカフェインレスコーヒーと呼びますが、はじめからカフェインを含まないコーヒーノキを作る研究がすすめられています。今回は、カフェインレスコーヒーノキ(遺伝子組み換え)についてお話しします。
カフェインレスコーヒーと育種の研究について
カフェインレスコーヒーとは、通常のコーヒー豆からカフェイン含有量を減らしたものです。代表的な脱カフェイン法は「有機溶媒抽出」「スイスウォーター抽出」「超臨界二酸化炭素抽出」の3種類ですが、通常のコーヒーに比べて風味の損失があることが問題視されています。
これに替わる方法として、はじめからカフェインを含まないコーヒーノキを育種する試みがおこなわれています。現時点で遺伝子組み換えと人工交配による‘カフェインレスコーヒーノキ’の作製に成功していますが、実用化には至っていないようです。
遺伝子組み換えによる研究
2003年、奈良先端大の研究グループが、初めて遺伝子組み換えによるカフェインレスコーヒーノキの作製に成功しました。葉中に含まれるカフェインはカネフォラ種で70%、アラビカ種で50%程度減少していましたが、目標としている数値はまだクリアできていません。
また、カフェインレスコーヒーノキは、果実をつけるところまでは成長していないため、収穫してみないと実際のカフェイン含有量がどうなのかわからない状態なのだそうです。
栽培環境の難しさ
カフェインレスコーヒーノキは、日本国内では環境が合わず、野外栽培ができないのも問題となっています。また、コーヒーノキは他の個体の雌性生殖器官につく「他家受粉植物」のため、温室であっても結実が困難な難しい植物なのです。
今後は結実に向け、ベトナムへと場所を移し果実のカフェイン減少率や安全性の確認を行う予定とされています。
遺伝子組み換え食品は問題が山積み?
遺伝子組み換え食品は、安全性が立証されていないことから不信感を持つ方が多いといわれています。遺伝子組み換えを行うには、組み換える遺伝子を外部から細胞内に搬入するため細菌類を使用することがあります。
使用される菌自体にも遺伝子があり、その無害性をひとつひとつ立証するのは難しいのです。また、生育状況などで成分構成が変わることがあり、一定の成分の検出が困難なのも問題視される理由のひとつです。
まだまだ課題が山積みの遺伝子組み換え食品ですが、カフェインレスコーヒーノキが育ち、果実を収穫できるようになることが、次の段階へと進む一歩となりそうですね。
カフェインレスコーヒーノキ(遺伝子組み換え) まとめ
カフェインレスコーヒーを作るひとつの試みとして、はじめからカフェインを含まない‘カフェインレスコーヒーノキ’の育種による研究開発がすすめられています。
遺伝子組み換えによるカフェインレスコーヒーノキから、コーヒー豆が収穫され、私達のもとへ届くまでまだしばらく時間がかかりそうですが、脱カフェイン法を使ったカフェインレスコーヒーよりおいしいコーヒーが飲めることを期待しつつ、楽しみに待ちたいですね。