「有機溶媒抽出」という言葉、聞き馴染みはないと思います。これは有機溶媒を使って、コーヒー生豆からカフェインを除去する脱カフェイン法のひとつです。今回は「有機溶媒抽出」についてご紹介します。
脱カフェイン法について
脱カフェイン法とは、精製した生豆からカフェインを除く方法で、有機溶媒や水、超臨界流体化した二酸化炭素などの溶媒に生豆を浸し、カフェイン成分だけを抽出する方法です。抽出されたカフェインは、精製して医薬品や工業用に使用されます。
海外では有機溶媒を使った脱カフェイン法がポピュラーですが、日本では、有機溶媒を使用したデカフェの販売が禁止されているため、スーパーなどで目にするもののほとんどは、スイスウォーター製法による”水”で抽出されたデカフェです。
有機溶媒抽出について
有機溶媒抽出(chemical method, chemical process)とは、1906年にドイツで開発された世界で最初の脱カフェイン法です。蒸気で膨潤させたコーヒー生豆を抽出槽に充填し、有機溶媒を豆に直接通してカフェインを抽出、除去します。
以前は、ベンゼン・クロロホルム・トリクロロエチレンなどの有機溶媒が用いられていましたが、残留する可能性が問題視され、現在ではジクロロメタンが用いられることが多いとのことです。
有機溶媒抽出の問題点について
有機溶媒抽出は安価な脱カフェイン法のひとつですが、有機溶媒を生豆に直接接触させるため、安全面が問題視されています。有機溶媒抽出に用いられるジクロロメタンは、長期間高濃度ばく露すると、胆管がんが発症しうると医学的に推定されています。
このことから、ジクロロメタンを用いる有機溶媒抽出のデカフェにも発がん性があるのではないかと疑われています。実際に人体への影響はまだでていないと言われていますが、味についてもカフェイン以外の成分の損失が大きく、生豆の風味が劣るといわれています。
有機溶媒抽出のデカフェは購入できる?
日本では、薬品を使用したコーヒー豆の輸入が禁止されているので、有機溶媒抽出のデカフェを購入することはできません。
デカフェのコーヒーなら、スイスウォーター製法のもの、デカフェの紅茶なら、超臨界二酸化炭素抽出のものが購入できます。
脱カフェイン法「有機溶媒抽出」とはまとめ
有機溶媒抽出とは、1906年にドイツで開発された世界で最初の脱カフェイン法です。
蒸気で膨潤させたコーヒー生豆を抽出槽に充填し、有機溶媒を通してカフェインを抽出、除去します。
有機溶媒にはジクロロメタンを用いることが多く、生豆に直接接触させることから安全性が問題視されています。有機溶媒抽出は海外ではポピュラーな脱カフェイン法ですが、日本では薬品を使用したコーヒー豆の輸入が禁止されているため購入することができません。
味の特徴としては、カフェイン以外の成分の損失が大きいため、生豆の風味が劣るといわれています。日本では購入できないので、味わうことができませんが、いろいろな脱カフェイン法で作られた‘デカフェ’を試してみたくなりますね。