皆さんが普段から口にする「コーヒー」という言葉、どうやって誕生したかご存知でしょうか?この言葉には意外と知られていないルーツがあるのです。
ではどのような経緯でコーヒーという言葉が誕生したのか見ていきましょう。
コーヒーの言葉を辿ってみよう
エチオピア起源のコーヒー
英語でCoffeeという言葉をコーヒーの生まれた地であるエチオピアへ向かって、辿っていくことにしましょう。
ご存知の方も多いと思いますが、英語の “Coffee” という言葉はフランス語で “Café” です。そして “Café” はイタリア語になると “Caffe(カッフェ)” です。ここまでは何となく想像がつくかもしれません。
中東ではなんと呼ばれていたのか
次はイタリアからトルコへ辿っていきましょう。
コーヒーはオスマン帝国のヨーロッパ進出や交易の中で、イタリアに伝わった歴史があります。そこでイタリア語とオスマン帝国発祥の地トルコ語で比べてると、イタリア語の“Caffe(カッフェ)”はトルコ語で “Kahve(カフヴェ)” です。似ていると思いませんか?
さらにアラビア語と比べてみましょう。アラビア語でコーヒーは “قهوة(カフワ)” と言います。実はこの「カフワ」がコーヒーの由来なのです。
コーヒーはエチオピア起源、でも言葉はアラビア語起源
エチオピア語源じゃない!?
コーヒーはエチオピア起源と言われているため、言葉もエチオピア発祥と考える方は結構多いのではないでしょうか?
またエチオピアのコーヒーの生産地域には「カッファ」という町があります。そのため「カッファ由来説」が唱えられることがありますが、実は裏付ける証拠がなく、現時点では一種の都市伝説のような扱いになっています。
「バン」という飲み物
古代エチオピアでは「バン」を茹でて食用していたという記述があります。実はこの「バン」はコーヒー豆のことで、古代エチオピアでは「コーヒー豆=バン」という認識だったと考えられています。
そしてコーヒーはエチオピアから対岸のアラビア半島南部イエメンでも「バン」という名前で言及されています。さらに9世紀にはアラビア人医師が「バンカム」という名前で飲み物として飲用した記述もあります。
つまりエチオピアからアラブにコーヒーが伝わる時点では「バン」が由来になっていたのです。
ワインが語源のコーヒー
コーヒーの語源である「カフワ」が、エチオピアの町「カッファ」ではないと言うのなら、カフワの語源は何なのでしょうか?
なんと古代アラビア語で「カフワ」というと、ワインや香りのするお酒を意味していたのです。それがコーヒーに至る「カフワ」の由来なのです。
お酒がタブーのイスラーム教
イスラーム教でお酒を飲むことは、タブーとされています。そこでイスラーム教徒は、興奮作用を持つカフェインを含むコーヒーを、お酒の代用品として飲用したことに由来するのではと考えられています
また香りのよいコーヒーをあらわす単語として、ワインを借用したという説もあります。
ワイン由来の名残
そして現在でも、その名残が見られます。例えば日本人が居酒屋でお酒を飲む感覚で、アラブでは喫茶店でコーヒーやチャイ(≒紅茶)片手に飲み会をしていることがあります。
また中世のアラブ地域では、カフェインがアルコールと同類と見なされて、たびたびコーヒー禁止令が出されていたという文献があります。
「コーヒー」という言葉の語源とは?まとめ
では改めてここでコーヒーの言葉の語源と変化をまとめてみましょう。
- カフワ(アラビア語:ワインが語源)
- カフヴェ(トルコ語)
- カッフェ(イタリア語)
- カフェ(フランス語)
- コーヒー(英語)
このようにまとめて見ると、「コーヒー」という言葉がどのような道をたどってきたのか、見えてくるのではないでしょうか。
名前の起源を辿ると、コーヒーの名前が中東発祥で由来の秘密まで見えてきます。そんな様々な地域や文化を歩いてきたコーヒーが、面白い飲み物だと思えてきませんか?