今回は、アラビア半島で飲料品となったコーヒーが、イスラムの世界で普及し始めその後弾圧されていくまでを見ていきましょう。
知られざるコーヒーの歴史を、存分に堪能してみて下さい。
秘薬とされていた“バンカム”
イエメン人のイスラム律法学者、シーク・ゲマレディンによってアラビア半島に伝わったコーヒーは、「バンカム」という名で呼ばれるようになりました。
イスラムの世界ではバンカムは秘薬として考えられており、広まった当初は修道者のみが口にすることができたのです。一般の市民がバンカムを飲めるようになったのは、後になってからとされています。
修行に励む“スーフィー”が眠気覚ましとして
バンカムを好んで飲んでいたのは、スーフィズムと呼ばれるイスラム神秘主義の修道者「スーフィー」です。彼らは、夜中に行われる修行(瞑想・祈り)の際、襲われる睡魔と戦うためバンカムを飲んでいました。
バンカムは眠気を減退させ、修行に身が入るということから「神の飲み物」として神聖化されたのです。
「バンカム」から「カフワ」へ
バンカムは次第に欲望を消す飲料品「カフワ」と呼ばれるようになりました。スーフィー達は夜になるとカフワを飲んでいましたが、次第に“嗜好品”としての側面が強くなっていったと言われています。恐らく、カフェインに依存していたのではと言われています。
焙煎の始まりと一般市民への広がり
13世紀に入ると、コーヒー豆は次第に焙煎が行われるようになりました。焙煎が始まったきっかけとして様々な説がありますが、いずれも偶然コーヒー豆が焼かれことにより、焙煎の魅力に気づいたようです。
「焙煎」によってより飲みやすく
焙煎によって香りが強くなったコーヒーは、スーフィーが飲んでいた頃よりも飲みやすく、嗜好品的要素が強い飲み物になりました。その影響からか多くの人々に飲まれるようになり、コーヒーを飲むための容器などの道具が作られていったと言われています。
メッカ事件とコーヒー弾圧
16世紀に入ると、コーヒーは「人々を堕落させるものではないか?」と疑いの目が向けられるようになりました。カイロのモスクなどでは、コーヒーを飲みながら礼拝を行なうスーフィーも多く現れ、イスラムとしてコーヒーを認めるかどうかの宗教的な問題にまで発展したのです。
そして、ついにはメッカの街に「コーヒー禁止令」が出されたのです。
コーヒー禁止令への反発
コーヒーに魅了されていた人々は、このコーヒー禁止令に反発しました。しかし、反発者達は厳しく罰せられ、コーヒー好きへの弾圧が行われたのです。この一連のエピソードは「メッカ事件」と呼ばれ、あろうことかイスラムの一般層にコーヒーが広まるきっかけとなったのです。
秘薬から嗜好品へと変わっていったコーヒー
イスラムの世界で、コーヒーが一部の人間のものであった時代から一般市民へと広がりをみせた時代について紹介していきました。
古い時代からコーヒーには人々を魅了する力があったようです。秘薬から嗜好品として変わっていく課程では、焙煎という新たなキーワードが出てきました。徐々に私達が飲んでいるコーヒーに近づいてきていくようです。
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現在は別のサムネイルに差し替えております。元々こちらのサムネイルを使っていましたが権利者様の画像を誤って使用しておりましたため、それを残します。
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