ホットコーヒーとして飲むのが普通だったコーヒーですが、現在ではアイスコーヒーとして冷やして飲むことも一般的ですよね。実は、アイスコーヒー発祥の地、日本であるという説もあるのです。アイスコーヒー発祥の各諸説を見ていきましょう。
アイスコーヒー発祥の地は不明?
アイスコーヒーの発祥に関しては様々な説があるため、はっきりとしたことは特定できません。多少の違いはあれど、世界各国において独自の文化として浸透してきた面もあります。
アイスコーヒー発祥のルーツとして、最も有力な説は「マサグラン」というアルジェリア生まれの飲み物です。
酒入りのコーヒー「マサグラン」
マサグランとは、コーヒーを氷で冷やし、砂糖やリキュールを入れたアルコール飲料です。1800年代に、フランス人が植民地支配していたアルジェリアにおいて飲んだものを広めたと言われています。
文献に残っているものとしては最も古いため、アイスコーヒー発祥の有力な説とされています。
日本におけるアイスコーヒー
アイスコーヒーの発祥が日本であるという説は、大正時代にさかのぼります。「大正時代にアイスコーヒーを飲み始めた」という説が有力で、明治時代には喫茶店のメニューとして“氷コーヒー”という記載があることから、既にポピュラーな存在であったと考えられます。
氷で冷やして作ったアイスコーヒー
日本で広まっていたアイスコーヒーは、コーヒーに氷を入れて冷やすマサグランのような作り方ではありません。瓶にコーヒーを詰め、井戸水や氷に漬けて冷やすという方法だったようです。氷の影響でコーヒーが薄まることを避けていたのです。
このような方式のアイスコーヒーにおいては、日本が発祥なのではないかと言われています。
水出しコーヒーの発祥はインドネシア
一方で、水出しコーヒー発祥の地は、インドネシアだと言われています。インドネシアで栽培されていたコーヒー豆は、苦味・エグみの強い“ロブスタ種”だったため、飲み口を良くするために水で抽出する形が広まったのだそうです。この水出しコーヒーを「ダッチコーヒー」と言います。
水出しにすることで冷蔵庫保存も効き酸化しにくくなるため、暑さのあるインドネシアでは一般的な製法だったようです。
アイスコーヒー発祥の地まとめ
以上のように、アイスコーヒーのルーツは様々な国で確認されているため、一概に日本発祥とも言い難いというのが事実です。
日本では、スイカやキュウリを夏場に冷やして食べるという文化があったので、その影響によって生まれたのが日本式のアイスコーヒーなのでしょう。
アルジェリアのマサグラン、インドネシアのダッチコーヒーも同様に、世界各国の文化に合わせて、独自の形で発達してきた結果、アイスコーヒーが定着していったのです。