コーヒーを飲むとがんになりやすい?いえいえ、発がん予防になるのでは?そんな発病系の議論は古くから行われています。今や嗜好品であるコーヒー。毎日欠かさず飲む方も多いでしょう。実際のところ、コーヒーに発がん性があるのでしょうか。コーヒーと発がん性の関係について掘り下げていきます。
コーヒーを飲んでもがんにはならない?
結論から言うと、コーヒーに発がん性があることは否定されています。現在では多くの研究者が実験を重ね、コーヒーを飲むことによる発がんの非有意性を証明してきています。
また、コーヒーには古くより「病を治す」不思議な力があると言われており、かの有名なシーク・オマールの伝説によると、疫病に苦しむ人々を救ったというお話があります。
発がん性とコーヒーの成分
一旦、少し難しい話になりますが、「国際がん研究機関」による発がん性の分類を元に、コーヒーに含まれる成分と発がん性の関係を見てみましょう。
分類は「 1 > 2A > 2B > 3 > 4 」となっており、1が「人に対して発がん性がある」、4が「人に対しておそらく発がん性がない」と言われています。
コーヒー成分① アクリルアミド(分類:2A)
分類2A。2Aは「人に対しておそらく発がん性がある」とされています。
アクリルアミドとは、アミノ酸の一種であるブドウ糖とアスパラギンが高温で反応(焙煎時など)することで生成されます。アクリルアミドは、コーヒーにはごく微量しか含まれていません。
ただし、このアクリルアミドは実験薬としてのアクリルアミドであり、コーヒーに含まれる成分としてのアクリルアミドは、あまり影響がないという見解もあります。
コーヒー成分② カフェイン(分類:3)
分類3。3は「人に対する発がん性については分類できない」とされています。
「コーヒー」そのもの
コーヒーそのものはアクリルアミドが含まれる関係からか、2Bに分類されています。つまり、現在でも解明されていない面もあり、未だに完璧な証明には至ってはいない…という見方もできてしまいます。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸
では、もう少し詳細にコーヒーと発がん性の関係を調べてみましょう。
コーヒーには、抗酸化作用効果を持つ「ポリフェノール(クロロゲン酸等)」が多く含まれています。抗酸化作用…つまり、身体の酸化を抑えてくれる効果があるとのこと。
現在、発がんの原因のひとつとして見られているのは、体内の脂肪が酸化し、発がんのきっかけとなる「フリーラジカル」が作られ、突然変異が起きがんになると言われています。
クロロゲン酸が身体のサビつきを防いでくれる
酸化…つまり、酸素に触れてサビていく鉄で例えられるように「身体のサビつき」が発がんの原因とされているのです。このサビつきを防ぎ、フリーラジカルの生成を阻害してくれるのが、抗酸化作用を持つポリフェノールとのこと。
この「サビつき防止」「発がん物質の生成阻害」の2つの仕組みは、実際の実験で実は証明されています。
コーヒーと発がん性の研究は進められている
「ポリフェノール(クロロゲン酸)」は抗酸化作用により、がん発生率を抑えられるという実験・研究や、コーヒーを1日に複数杯(3杯であったり5杯であったり)飲む人の方ががんの発生率が低かったという研究結果があります。
世界がん研究基金が発表した「食事とがんの総括的なレビュー」では、ほとんどの研究結果においてコーヒーの一般的な飲用とがんは関係がない、ということが述べられています。
また、直近の世界がん研究基金のレポートでは、コーヒーを飲むことが肝臓がんの減少と強い関係があることが述べられています。
「発がん性を抑えられた」実験結果が多い
全日本コーヒー協会の記事を参考にさせていただきました。
ラット・ハムスターを用いた実験では、発がん物質だけを与えた場合と、発がん物質とクロロゲン酸を同時に摂らせた場合で、がんの発生率が大きく低下しているとのこと。
また、男女9万人の追跡調査でも、コーヒーを毎日飲む人・飲まない人の発がん率に大きく差が出ているようです。その発生リスク比率は、1日5杯以上飲む人:ほとんど飲まない人の対比で、なんと1/5にも抑えられるのだとか。
参照:http://coffee.ajca.or.jp/webmagazine/health/health_qanda/q-5
コーヒーとがんの関係 まとめ
上記で紹介した分類・研究結果も絶対ではありません。発がん性の疑いがある物質が含まれていても、必ずしもがんになるわけではありません。発がん性のある物質の種類よりも「含まれている量や摂取の仕方」が重要になってくるのでしょう。一概には言えませんが、このことから、コーヒーと発がん性の関係はほとんど無いと思われます。
どんな食品でも摂取しすぎれば、健康に害を及ぼします。コーヒーに含まれる成分には、がんの発生を抑える効果や健康によい効果をもたらしてくれるものもあります。適量を飲むのであれば、コーヒーは体に良い効果をもたらしてくれる飲み物だと言われています。
「酸化」に注意してコーヒーを楽しもう
抗酸化作用を持つコーヒーといえども、あまりオススメしない状態の豆もあります。
煮詰まったコーヒー、焙煎不良や酸腐した豆から淹れたコーヒー、くず豆がたくさん入ったコーヒー豆などは、抗酸化効果が現象するだけでなく、逆に胃腸に負担をかけてしまいます。
また、熱いコーヒーを飲んで食道や胃を火傷することで粘膜が損傷し、異常細胞の増殖を招くとも考えられてます。
どちらにせよ、大量に飲むなどしなければ、さほど影響がないと考えていいでしょう。とても身近にあるコーヒーですが、飲み過ぎに注意し、上手に付き合っていきたいですね。