町に溶け込む「柔らかい鉄」なコーヒーショップ
私事ですが、大学時代は小田急線に揺られ新宿から湘南台まで通っていたのですが、豪徳寺という駅は快速急行が止まらないため、その存在を知ることなく4年間を過ごしました。
最近豪徳寺に降り立つキッカケとなったのは、やはりベーカリー兼カフェのuneclef(ユヌクレ)さんの存在が大きいのですが、そんな豪徳寺に新しいコーヒーショップがオープンした、というお話を各所から聞く機会がありましたので、早速に行ってきました。
IRON COFFEEは小田急線豪徳寺駅から徒歩3分ほど、2016年4月にオープンしたばかりの新店です。駅からお店に向かう道中は、肩肘張らない感じの地元感が溢れる長閑な町並みです。
もはや説明不要なオーストラリア発のカジュアルダイニング「bills」に在籍されていた方がオーナーを務めており、周りにコーヒーショップがないところを探している中、豪徳寺にお店を構えることにしたそうです。
コーヒー豆は両国に焙煎所を構えるSingle O Japan。こちらはコーヒーイベントで出店することは有りますが、直店舗は持っておらず、billsでも採用されているものの、都内で取り扱っているお店は多くはありません。
お店自体はコーヒースタンドと形容したほうが適切なスタンディングのカウンターのみ。4,5人程で満席となってしまいますが、訪れるお客さんはテイクアウトされる方が多い様子です。
お店のデザインは飲食店や住居の内装設計を手がける「無相創(ぶあいそう)」によるもの。コンクリートと鉄、木の空間は配色こそミニマルですが、どこか温かみのある質感です。
メニューはラテやアメリカーノ等エスプレッソを主体としたものと、ハンドドリップ。2杯目以降は100円引きでいただくことができます。
扱う豆は豊富で、ハンドドリップはエチオピアのGUTITIを、エスプレッソ系のメニューはレザボアブレンドを、本日のコーヒーはスマトラを、といった拘りで、コーヒー好きな方も繰り返し足を運んでみたくなるバリエーションです。
ドイツはMahlkoning社製のEK43というグラインダーで豆を挽きます。
ラテはミルクの甘さとコーヒーの苦みがバランス良く合わさりながらも、コーヒー豆自体のフルーティさも感じられる優しい味わいです。
エスプレッソはよりコーヒー豆の果実味をダイレクトに感じることができますが、決して「苦い!」という感じはなく、あくまでフルーツ的な酸味、そして後から飲み応えのあるコクがやってきます。
コーヒーももちろん美味しかったのですが、これからの暑い日にはジンジャーエールもお勧めです。スターアニス(八角)、クローブ、シナモンスティックといったスパイスが乾いた喉を潤してくれます。
地元のお客さん、特に比較的高齢の方が多く、訪れた日は3,4人が一度に来られるタイミングもありましたが、とてもオープンして1週間とは思えない息のあった手際よい動きで、待っている間も全くストレスに感じませんでした。
クッキーやマフィンなどのフードも置いていますので、コーヒーと一緒にテイクアウトして、豪徳寺までぶらりと散歩に出かけてみるのも良いかもしれません。
「豪徳寺」「IRON」「無相創」といった無骨な名前が沢山出てきましたが、お店のお二人は非常に気さくで街の雰囲気に合った温かい方でした。
「IRON=鉄」というと「硬い」「無機質」なイメージが先行しますが、少し調べてみると「熱で柔らかくなり、形を変えやすい」性質があるそうです。IRON COFFEEの温かさが豪徳寺という町に溶け込み、訪れる人々の表情を柔らかくさせる日はさほど遠くないと思います。
IRON COFFEE 店舗情報
住所: 東京都世田谷区豪徳寺1-18-9
移動時間: 小田急線豪徳寺駅から徒歩3分
営業時間: 平日 7:30-20:00 土曜 10:00-20:00 日曜祝日 10:00-18:00 *日曜日が祝前日の場合、土曜日と同じく20:00まで営業
定休日: 不定休
wifi: なし
電源: なし
喫煙: 不可