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スペシャルティコーヒーの概念とは

スペシャルティコーヒーの概念とは

スペシャルティコーヒーは、4つのグレードの中で最も評価の高いコーヒーです。聞いたことはあるけれど実際は良く知らない、という方も多いのでは?今回はスペシャルティコーヒーの概念についてご紹介します。

スペシャルティコーヒーについて

スペシャルティコーヒーとは、生産国での栽培管理・生産処理・品質管理などが適正に行われた欠点の少ないコーヒー豆で、適切な焙煎、抽出が行われた時に産地ごとの特徴的な風味特性を味わうことのできる高品質なコーヒーのことです。

また、安価で広く流通しやすいコモディティグレードやローグレードに対し、生産者や栽培環境、加工情報、流通の経路まで追うことのできる“トレーサビリティ”の要素を持っているのもスペシャルティグレードの特徴です。これにより、食の安全性が求められている現在のコーヒー需要の面から見ても、品質優位なその特異性がわかります。

スペシャルティコーヒーが生まれたきっかけ

コーヒーの歴史〜アラビア半島への普及〜

70年代から80年代。アメリカでは消費者のコーヒー離れが深刻な問題となっていました。量を買うことで行われていた生産地支援も、コーヒーの需要が増えなければ低迷するばかり。そこでアメリカ国内消費を増やすために考えられたのが、相場の影響を受けない付加価値の高いコーヒー「スペシャルティコーヒー」です。

1982年にスペシャルティコーヒー・オブ・アメリカ(SCAA)が設立され、その後ヨーロッパ、日本へと活動が広がっています。

SCAJによるスペシャルティコーヒーの定義

2003年、SCAAに続き、日本でもスペシャルティコーヒーの普及を目的とした、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が設立されました。SCAJでは、スペシャルティコーヒーについて、以下のように定義しています。

  • 淹れたコーヒーが素晴らしい風味と美味しさを持っており、消費者が美味しいと評価し満足すること。
  • 際立つ印象的な風味特性を持っており、爽やかで明るい酸味と消えていくコーヒー感に甘みが感じられること。
  • コーヒー種子からの栽培、収穫、精製からカップに注ぐ瞬間まで、一貫して品質向上のための管理が徹底されていること。

スペシャルティコーヒーの評価方法について

池尻大橋コーヒータウンフェスティバル ハンドドリップ講座

スペシャルティコーヒーの評価方法は、テイスティングの前に「粉の香り」「粉に湯を注いだ香り」「粉をかき混ぜた香り」の3つの香りを確認し評価します。コーヒーサンプル1に対して5つのカップが用意され、カッピングしていきます。具体的な評価項目は以下の通りです。

  • フレーバー
    コーヒーの風味。口に含んだコーヒーの鼻で感じる香りと味を評価します。
  • アフターテイスト
    コーヒーを飲みこんだ後の、口の中の余韻を評価します。
  • アシディティ
    コーヒーの酸味。クエン酸・リンゴ酸・酢酸・リン酸など、酸味の系統を評価します。
  • ボディ
    コーヒーの厚みやコク。リッチさやオイル性、ミネラル感などを評価します。
  • バランス
    風味、酸味、コクのバランスと、コーヒーの個性などを評価する。
  • ユニフォーミティ
    5つのカップの安定性や、バラつきがないかどうかを評価する。
  • クリーンカップ
    コーヒーに、欠点の味、雑味、汚れがないかどうかを評価します。
  • スイートネス
    水1 リットルに対して、砂糖5 グラムほどを入れたような甘さを感じるか評価します。
  • オーバーオール
    コーヒーの全体像を評価し、購入を前提にした評価も行われます。

ポジティブ・チェックでコーヒーを評価

従来より、コーヒー豆は輸出する前に自国で欠点などのネガティブ・チェックが行われてきましたが、スペシャルティコーヒーではネガティブ・チェックの後、ポジティブ・チェックが行われています。ポジティブ評価を行うことにより、コーヒーの新たな魅力や楽しみ方を提案し、愛好家を増やすことで市場の拡大を試みたものと言われています。

カップ・オブ・エクセレンス(COE)

生産者のモチベーションをあげる取り組みとして、カップ・オブ・エクセレンス(COE)と呼ばれるスペシャルティコーヒーの国際品評会があります。この称号を得たコーヒーは、公平なネットオークションで世界中のバイヤーによって取引されることになります。

評価の高いコーヒーは、生産者にプレミアムが支払われるため、生産者の生活や地位向上につながるほか、良いコーヒーを作り続けるモチベーションにもつながる仕組みです。

スペシャルティコーヒーとは高品質かつ安全性の高い個性的なコーヒー

スペシャルティコーヒーとは、生産国での栽培管理から精製処理、果ては目の前にコーヒーが注がれたカップが置かれるその瞬間まで、可能な限り徹底した管理を施したコーヒー豆のことを指します。

その精査はとても厳密で、市販されているコモディティコーヒーとは一線をひいています。とはいえ、市販化されているコーヒーが美味しくない、ということではなく、品質の安全性のほか、“その農園の産地独特の風味特性を味わうことができる”という点が、スペシャルティコーヒーたる所以と言えます。

よりコーヒーを楽しむために…

私たちの楽しむ一杯のコーヒーが、生産者が美味しいコーヒーを育て続ける源になり、さらに美味しいコーヒーの供給へとつながります。日本でもスペシャルティコーヒーの普及は広がりつつありますが、アメリカほど浸透していないのが現実。スペシャルティコーヒーの面白いところは、より深く味わいながら、さらにコーヒーの世界に潜っていくことで新しい風味に出会えることです。

スペシャルティコーヒーに出会ったら、淹れたてのコーヒーの、香り、風味、後味まで。まずはしっかりと目の前のコーヒーと向き合ってみてくださいね。

About the Author

AMIAMI

愛知県生まれ。親族がコーヒー卸売業を営み、幼少より喫茶店とコーヒーに親しみがある。ブラジルコーヒー鑑定士・SCAAカッピングジャッジなどの受講経験、焙煎経験あり。コーヒーは焙煎したてより、寝かせてから飲みたい派。猫と、物作りが好き。