特別な気象・地理的な条件によって栽培され、高品質・徹底管理された「スペシャルティコーヒー」。スペシャルティコーヒーを管理する団体があるのをご存知でしょうか。今回はSCAAアメリカスペシャルティコーヒー協会についてご紹介します。
SCAAについて
SCAAとは、Specialty Coffee Association of Americaの略で、アメリカスペシャルティコーヒー協会のこと。「教育と情報交換を通じて素晴らしいコーヒーを育成すること」を目的とし、1982年に小数のコーヒー専門家集団によって設立されました。
SCAAは世界で最も早く設立されたコーヒー団体です。そしてこれに続くように1991年にはブラジルスペシャルティコーヒー協会(BSCA)、1993年にはコスタリカスペシャルティコーヒー協会(SCACR)、1998年ヨーロッパスペシャルティコーヒー協会(SCAE)が設立されました。
SCAA誕生のきっかけ
スペシャルティコーヒー誕生のきっかけは、アメリカの高級コーヒー豆の第一人者であったエルナ・クヌッセン女史が、1978年にフランスで開かれたコーヒー国際会議でティー&コーヒートレンドジャーナル誌のインタヴューで、スペシャルティコーヒーの概念を自らの造語で提唱したことから始まったといわれています。
スペシャルティコーヒーとは、特別の気象・地理的条件化で栽培され、生産地や輸送経路を徹底管理し、高品質かつユニークな風味を持つコーヒーのことです。
当時の時代背景
1960年代のアメリカでは焙煎業者の価格競争が激化し、競争を乗り切るためにブレンド豆に低価格・低品質コーヒーを使用する業者が増えました。このトレンドがしばらく続いたことでコーヒーの品質は低下し、コーヒー豆の消費を減少させました。
新しいコーヒースタイルの登場
1970年代になると、コーヒーの低価格・低品質というイメージを払拭させるため、高級豆志向の業者が登場し始めます。
スターバックスが1号店を開店させたのもちょうどこの時期でした。当時はカフェスタイルではなく、高級豆と器具を販売するお店でしたが、品質の高いコーヒーを流通させるために努力を続けた流通業者・焙煎業者の努力で、アメリカ全土に高級コーヒー豆の消費が増え始め、SCAA設立へと繋がっていくのです。
SCAAの活動
SCAAは、高級コーヒー豆市場を拡大するため、スペシャルティコーヒーの開発と促進を行っています。
おいしいコーヒーの抽出基準や最適な焙煎の研究、エスプレッソなどの訓練教育、スペシャルティコーヒーができるまでの各プロセスの認定制度の導入や生産地連携を行い、SCAAの基準に合った高級コーヒー豆を市場に提供し続けます。
SCAAのイベント Re:co (Regarding:coffee)
SCAAは、スペシャルティコーヒーの世界で情熱的で影響力のある人々のためのディスカッションRe:co (Regarding:coffee)というイベントを行っています。
これは、専門的なコーヒー市場や直面する課題、その解決策について成長と発展の機会を見出すことを目的としており、革新的なコーヒービジネスについても話し合われる場となっています。
この他にもコーヒースキルをアップさせるバリスタチャンピオンシップ、ブリュワーズカップ、ロースト選手権、全米各地のコーヒー文化に合わせて行われるカップテスティングチャンピオンシップなど、様々なイベントを開催し、スペシャルティコーヒーの普及に貢献しています。
SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)とはまとめ
SCAAとは、Specialty Coffee Association of Americaの略で、1982年に設立されたアメリカスペシャルティコーヒー協会のことです。SCAAはスペシャルティコーヒーの開発と促進のために様々なイベントや、おいしいコーヒーの抽出基準、焙煎の研究、エスプレッソなどの訓練教育、各プロセスの認定制度の導入や、生産地連携など、積極的に活動を行っています。
スペシャルティコーヒー市場は順調に成長しつつあり、2003年には日本にもSCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)が誕生しました。常に世界のスペシャルティコーヒーをけん引し続けるSCAA。スペシャルティコーヒーが市販のコモディティコーヒーに代わり当たり前になる日も近いかもしれません。