スペシャルティ・コーヒーが広まる以前から、喫茶店でも見かける機会が多かった「モカ」。一時は喫茶店からモカの姿が消えたこともありました。
日本において、他のイルガチェフェやマンデリンなどの銘柄とは全く異なる道を歩んできたモカについて、意味や特徴などを知ってみませんか?
モカとは?
そもそも「モカ」の由来をご存知ですか?
モカとは、イエメンの都市の名前です。しかしモカという町でコーヒーが生産されていたわけではないのです。どういうことなのでしょうか。
出荷港だったモカ
アラビア語で(ムーハ)と呼ばれるモカは、昔コーヒー豆の出荷港で大いに栄えていました。コーヒー豆生産地イエメンの中でも、アラビア半島の先端部に位置しており、対岸も生産国のエチオピアでした。また船を使えばエジプトへもインド洋へも行ける好立地だったのです。
イエメンにもエチオピアにも存在するモカ
通常、コーヒーの銘柄と言えば、一つの国内(または地域)で生産されていることが多いです。例えばキリマンジャロはタンザニア、マンデリンはスマトラ島といったものです。
しかしモカはイエメンでもエチオピアでも生産されています。そこには二つの理由があります。
理由①:歴史的な理由
実は近代までモカ港では、エチオピア産もイエメン産も混ぜて出荷されていました。そのためどちらの国で生産されたか解らず、出荷港の名を取って「モカ」と呼ばれていたのです。
また当時は現代と違い国境がなかったため、地域が厳密に隔てられていませんでした。そのため「国が違うから、銘柄も違う」という考えも薄かったのではとも言われています。
理由②:産地ではなく特徴
歴史的な理由で生まれたモカですが、現代ではまた違う理由でモカが定義されています。それは「種類として」のモカです。
エチオピアにはモカとイルガチェフェが存在します。しかし歴史的な理由だとイルガチェフェもエチオピア産のため、モカと呼べてしまいます。そこで、現代ではコーヒー豆の特徴でモカと定義される場合が多くなっています。
では、そのモカの特徴を見ていきましょう。
モカの特徴
見た目が異なる
モカは見た目に大きな特徴をも持っています。それは他のコーヒー豆と比べてかなり小粒なのです。その小ささも「比較的」ではなく、誰もが一目でわかるくらい小粒です。
モカフレーバ―
モカのファンの方々の中には、モカが持つ独特の風味の複雑さに惹かれている方も多いのではないでしょうか?その複雑さは時に「モカフレーバ―」とも呼ばれるくらいモカだけが持つ珍しい特徴なのです。
酸味とコクの中にフワッと漂う複雑さがあり、種類によりますが「複雑なウィスキー」とも例えられることがあります。
モカを使うときの注意点
モカは他の銘柄と比べると、不良品のコーヒー豆である欠点豆の混入が多く見られます。
時には小石が混ざっていて機械や抽出に支障をきたすことがあるので、まず「ハンドピック」と言ってひとつひとつ欠点豆を取り除く選別をしていくことをオススメします。
モカの種類
モカと言っても様々な種類があるので、代表的な種類を挙げておきます。
もともと複雑なフレーバーのコーヒー豆で違いは解りづらいかもしれません。しかし華やかさやコク、そして余韻に違いを垣間見ることが出来るので、飲み比べてみると楽しいです。
エチオピアのモカ
- モカ・シダモ
日本ではモカコーヒーの中で最も見かける種類の一つです。 - モカ・ハラー
シダモと並んで見かけることの多いモカです。 - モカ・ジンマ
- モカ・レケンプティ
イエメンのモカ
- モカ・マタリ
イエメンのモカといえば「マタリ」というくらい有名です。 - モカ・ハラーズ(ハラーと似ているので注意してください!)