イエメン産のコーヒー豆というと、「モカマタリ」を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。そんなモカマタリの中で、最も良質な産地とされるバニーマタル地方のモカをご紹介します。
「バニーマタル」は、こんなコーヒー
- オススメの焙煎:ハイ~フルシティ
香り
- フレグランス(豆の香り)
甘みと深みによる、どこか蜂蜜のような複雑な香り - アロマ(コーヒーの香り)
ジャスミンのような、甘くフローラルな香り
風味
- 深みと甘みと複雑さのモカフレーバーが心地よい
- 独特なのに、どこか飲みやすいコーヒー
こんな時にオススメ
- 夜に飲むコーヒーに
- モカが好きな方に
- 思索に耽りたい時に
抽出前に、ハンドピッキングを!
イエメン産のモカの特徴として、貝殻豆を中心とした欠点豆の混入が多い点が挙げられます。これはイエメン産モカの特徴でもあります。
イエメンでは、コーヒー豆の精製(果実から豆を取り出す過程)において、古来の伝統的な方法を用います。結果、先進的な機械を用いたコーヒー豆と比べて、欠点豆の混入率が高くなってしまうのです。
そのため、欠点豆を取り除く「ハンドピッキング」を行うことを、強くオススメします。面倒かもしれませんが、この伝統こそがイエメンの味を作る大きな要因です。そこは美味しさのために我慢しましょう。
ペーパードリップ:温度で変わる面白いコーヒー
中高温(85℃):不思議なバランス
瞬間的にモカの独特なコクが、襲い掛かるように立体的に感じられます。酸味は程よく抑えられていて、苦みも程よく感じられます。これらの程よい味がコクをさらに豊かにしていますが、余韻は爽やかで、モカらしさを存分に感じられます。
「キャラメル×ブランデー×ダークエール」を掛け合わせたような、何とも言えない複雑怪奇な風味です。それでいて、なぜか飲みやすい不思議なバランスが、とても面白いコーヒーです。
低温(78℃):モヤモヤ感が醍醐味
フレーバーは、モカ独特の甘みとコクをベースに、酸味を感じることができます。コクは重みがある安定感であるのに対して、酸味は爽やかで活き活きしている印象です。余韻はフレーバーと味は変わらず、独特な風味に反して率直が感じられます。
活発な酸味と穏やかなコク・独特な風味と率直さ、この二つのモヤモヤ感が最大の個性で醍醐味でしょう。しかしこのモヤモヤ感は、人によって好みが分かれそうです。
オススメの抽出方法(HARIO V60ドリッパー)
- 豆の分量:一杯当たり13g(一杯120mlで計算)
- 挽き具合:中挽き
- 抽出温度:75℃~87℃
温度によって様々なフレーバーが生まれるため、好みの温度を探してみてください!
ステンレスフィルター:これぞモカという余韻
コクの奥深いモカフレーバーの中に、爽やかな酸味を感じることができます。ペーパードリップとネルドリップの中間のような味わいです。モカ独特の個性はペーパードリップに近く、ネルのように滑らかな風味です。
余韻は深くも爽やかで、「これぞモカ」という印象を受ける、とても面白い余韻です。
オススメの抽出方法
- 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
- 挽き具合:中細挽き
- 抽出温度:80℃
ネルドリップ(85℃):ネルに合うモカ
コクの深みと甘みが、ネルによってさらに引き立てられています。そこに爽やかさも相まって、特有のモカフレーバーはバランスが良く、余韻まで心地よく感じられます。またマイルドさが安定感を生んでいるため、数ある抽出方法の中では最も飲みやすいです。
コーヒーの味とネルの特徴が最も引き出されていて、ネルドリップに最もオススメしたいコーヒー豆の一つです。
中高温がオススメ
ネルドリップは味に柔らかみがでる特徴があります。そのため、敢えて中高温のお湯で強めに味を出しても、比較的飲みやすく仕上がります。柔らかさの中にモカフレーバーが際立っていて、モカらしさが上手く引き出せている印象です。
低温での抽出も美味しいのですが、モヤモヤ感に柔らかさが加わった味になります。そのため多少もたついたコーヒーで、あまりオススメできません。
オススメの抽出方法
- 豆の分量:一杯当たり13g(一杯120mlで計算)
- 挽き具合:中粗挽き
- 抽出温度:80~87℃
フレンチプレス:栗のような芳醇さと柔らかさ
酸味とコクは抑えられ、甘みが際立ったコーヒーに仕上がります。
その甘みとコーヒーオイルの滑らかさが、モカフレーバーを柔らかく包み込んでいるようで、どこか栗やマカダミアナッツのような印象です。余韻は滑らかさに加えて特有の爽やかさが、綺麗にフェードアウトしてくれます。
モカらしさという点では、少し欠けていることは否めません。しかし飲みやすさと穏やかさの点では、決して見逃すことのできないコーヒーです。
オススメの抽出方法
- 豆の分量:18g(容量350mlのプレス)
- 挽き具合:粗挽き
- 抽出時間:4分00秒
ブラックで飲みたいバニーマタル
ミルク・砂糖との相性
- ミルク:高温はGOOD、低温はほどほど
- 砂糖 :GOOD
香りを数滴・スパイス少々
バニーマタル最大の武器であるモカフレーバーを活かすには、どうすれば良いでしょうか?それは「風味を引き立てる」ことです。
芳醇な風味を引き立てたい方は、数滴ウィスキーやブランデーを加えてみてください。アラビアンな異国情緒に浸りたい方は、カルダモンやシナモンを少々加えてみてください。
モカフレーバーが活かされたコーヒーに仕上がります。
バニーマタルで豊かな時間を
数あるモカマタリの中でもバニーマタルは、最高峰と称えられることの多いです。それはモカマタリの由来になったことからも、垣間見ることができます。
イエメンのモカを堪能したいのであれば、バニーマタルはうってつけのコーヒー豆です。モカフレーバーを存分に楽しんでみませんか?
コーヒー豆の情報
- 名称:バニーマタル
- 産地:バニーマタル地域、イエメン
- 精製:ナチュラル
- 今回の焙煎:ハイロースト