健康志向の方に注目のデカフェ。どのようにつくられているのがご存知でしょうか。今回は、脱カフェイン法の中から「スイスウォーター製法」についてご紹介します。
脱カフェイン法について
脱カフェイン法とは、カフェインを含む飲食物からカフェインだけを除去する方法で、有機溶媒抽出・スイスウォーター製法・超臨界二酸化炭素抽出の3つが主流となっています。
有機溶媒を使用したデカフェは日本国内での販売が禁止されているため、私達が手にできるデカフェはスイスウォーター製法や、超臨界二酸化炭素抽出によるものがほとんどです。
スイスウォーター製法について
スイスウォーター製法とは、1930年代にスイスで開発され、1988年に「スイスウォータープロセス」として商標登録された脱カフェイン法です。
水と有機溶媒を使用してカフェインを除去するのですが、生豆に薬品が直接接触しないので安全性が高いといわれています。
カフェインを除去する工程
スイスウォーター製法の工程を順にご紹介します。
まず、コーヒー生豆を充填した槽に水を通し、生豆からカフェインを含む水溶性成分を抽出します。その後、生豆の槽から水だけを抜き取り、有機溶媒を使用し水相からカフェインだけを抽出、除去します。(この工程は、カフェイン濃度が目標値に下がるまで繰り返し行います。)
※水相とは、水と油のように溶け合わない2相の液体で、水あるいは水溶性の成分が溶けた液体をいいます。
抜き出した”カフェイン以外の成分”を戻す
カフェインを除いた水相は、残留する有機溶媒を取り除いた後、再びコーヒー生豆を充填した槽に戻されます。こうして、いったん取り出されたカフェイン以外の水溶性成分を、循環させて生豆へと戻していきます。
その後、生豆を乾燥させ、焙煎工程へと進み、デカフェが完成します。
スイスウォーター製法の良いところ
スイスウォーター製法は、有機溶媒が直接コーヒー生豆に接触しないので、安全性が高く、カフェイン成分が取り除かれた残りの成分を再び生豆に戻すことから、コーヒーに必要な成分の損失が抑えられるのが特徴です。
また、使用した有機溶媒の再回収が容易なので、経済的な脱カフェイン法だといわれています。
スイスウォーター製法のデカフェはおいしい?
デカフェのコーヒーは、普通のコーヒーよりも香りが弱い、コクがないなどと評価されることもあるようですが、感じ方には個人差があるようです。
大手コーヒーチェーン”スターバックス”では、スイスウォーター製法のデカフェを使用しているそうです。実際に足を運んで、普通のコーヒーとの違いを体験してみてはいかがでしょうか。
脱カフェイン法「スイスウォーター製法」 まとめ
スイスウォーター製法とは、1930年代にスイスで開発された脱カフェイン法のひとつです。コーヒー生豆を水に浸し、水溶性成分を引き出した水を取り出します。その後、有機溶媒でカフェインのみを抽出除去し、残りの水溶性成分を生豆に戻すという方法です。
簡単に言うと、生豆からカフェインを含む水に溶ける成分を抜き出し、その水からカフェインのみを除去し、その他の成分を戻す…という工程をとっているのです。
つまり、生豆から分離させた水に有機溶媒を使用するため、直接生豆に薬品を使用しないというわけです。