インドネシアで生産されるコーヒーは、ロブスタ種が主流ですが、アラビカ種も生産していることはご存知でしょうか。今日は、希少なコーヒーのひとつであるインドネシア産のコーヒー「マンデリン」についてご紹介します。
マンデリンについて
マンデリン(Mandheling)は、インドネシアスマトラ島で栽培されるアラビカ種のコーヒーです。マンデリンという名前は、スマトラ島のマンデリン族に因んで付けられました。
マンデリンコーヒーの特徴
マンデリンコーヒーは、酸味が少なく強い苦味成分が特徴です。ストレートでも、ブレンドでも人気があり、深煎りで楽しまれることが多いコーヒーのひとつです。ミルクと合わせても、しっかりしたコクとコーヒー感が得られます。
マンデリンコーヒーの精製方法
コーヒー豆の精製は主に「ナチュラル」、「フルウォッシュド」、「パルプドナチュラル」の3つに分けられますが、マンデリンコーヒーの味わいはそれとは異なる「スマトラ式」という精製方法によって完成されます。
1. 収穫されたチェリーを水槽に入れ、異物や未熟豆を除去した後、果肉を除去。
2. パーチメントを剥き、種子の状態で乾燥させて完成。
水槽で浸された生豆は柔らかい状態で乾燥期間に入ります。
乾燥が進むにつれ水分をたっぷり含んでいた生豆の水分が抜け、縮み、いびつな形になります。これがマンデリンの独特な形と、香味のもとになっています。
インドネシアのコーヒーの歴史
1969年にオランダ軍がアラビカ種の苗木をジャワ島に持ち込んだことが、インドネシアのコーヒーの歴史のはじまりだと言われています。
ジャカルタの農園に植えられたコーヒーノキは、天災の被害により一度は枯れたものの、再びインドから苗木が持ち込まれ、ジャワ島での栽培に成功しました。
しかし、1908年にコーヒーの天敵である‘さび病’が流行したため、アラビカコーヒーを栽培していた農園は壊滅的な被害を受けてしまいました。
その後は、病害に強いロブスタ種の栽培へと切り替える農園が増え、インドネシアで生産されるコーヒーの90%以上がロブスタ種になったのです。
マンデリンコーヒーが希少な理由
マンデリンコーヒーの生産量は、インドネシア全体の5%と少なく、稀少価値の高いコーヒーとして有名ですが、生産量だけが希少の理由ではありません。
マンデリンコーヒーは、1908年に壊滅的な被害をもたらした‘さび病’から生き残ったアラビカ種をもとに栽培されたものなのです。
もし、マンデリン族がこのアラビカ種を栽培していなかったら、マンデリンというコーヒーは存在していなかったかもしれません。
特別なマンデリンコーヒー
マンデリンコーヒーは産地によりブランド化されていて、スマトラ島北部のリントン・ニ・フタ地区で栽培されるものは「リントンマンデリン」、トバ湖の湖畔で栽培されているものは「マンデリントバコ」というように、名前に地名が含まれています。
この2つのマンデリンは高原地帯の肥沃な土壌で栽培され、小農家による丁寧な手作業で欠点豆の除去を行うなど、厳しく品質管理が行われています。生産量が少ないため、稀少価値が高く高値で取引されています。
「マンデリン」とは?まとめ
マンデリリンとは、インドネシアスマトラ島で栽培されるアラビカ種のコーヒーです。酸味が少なく強い苦味成分が特徴で、深煎りで楽しまれることが多いコーヒーのひとつで、独特な生豆の形と、香味は「スマトラ式」という精製方法によって引き出されます。
ストレートでも、ブレンドでも人気があり、ミルクと合わせてもコーヒー感が楽しめるおいしいコーヒーです。
インドネシアコーヒーを襲った‘さび病’から生き残ったアラビカ種をもとに栽培された品種なので、稀少価値が高く、高値で取引されています。