焙煎店では、大きな音とともにコーヒー豆を煎っている光景を目にすることがあります。豆が焙煎機の中で踊っている様子に、ワクワクする方もいるのでは。今回は、焙煎をする時に大事な「煎り止め」についてご紹介します。
コーヒーの香味について
そもそもコーヒーとは、コーヒーの木に成る実を指します。完熟した実は赤く、レッドチェリーと呼ばれています。ここから精製(種を取り出し)してコーヒー豆となっていくのですが、生豆の状態では、香りも生臭く味も美味しくありません。
生豆焙煎の過程を経ることで、香味は生成されます。つまり、焙煎によって初めて、コーヒーの香味が生まれるのです。
焙煎とは
焙煎とは、容器に食品を入れて、水分は加えずに容器の外から高い温度に加熱することです。水分を飛ばす、あるいは消化しやすい性質に変えたり、香ばしい風味を付けるために行われます。
コーヒー豆の場合は、焙煎によって起こる熱反応・熱分解という化学反応によって、味が生成されていくのです。
コーヒー豆の変化
熱を加えられたコーヒー豆の内部では、繊維質が壊れて、豆内部に多孔質と呼ばれる蜂の巣のような部屋が出来ます。多孔質の小さな部屋の中に、熱反応や熱分解によって生成された香味成分が格納されていきます。抽出とは、この香味成分を取り出すことなのです。
コーヒーの焙煎段階と味の違い
また、焙煎の度合いによってコーヒーの風味は変わっていきます。焙煎の度合いは全部で8段階に分かれています。一般的に、浅く炒ったのものほど“酸味”が強く、深く炒るほど“苦み”が強く感じられるようになりますが、微妙な煎り方の違いで風味にも微妙な差が出てきます。焙煎は、コーヒーの味を決定づける大切な過程なのです。
ムラなく煎ることで美味しさを
コーヒー焙煎の原則は『無駄な時間をかけずにムラ無く焼き上げる』ことだと言われています。豆によって焙煎具合にムラが生じると、コーヒーの美味しさを損ねることになるため、焙煎にムラがないことが美味しいコーヒーの条件のひとつとなっているのです。
煎り止めとは
コーヒーの味を決定づける大切な過程が焙煎ですが、コーヒー豆の焙煎を終了するタイミングを「煎り止め」と言います。 コーヒー豆の焙煎では、色・香り・味が秒単位で変化しているので「煎り止め」のタイミングが非常に重要になります。
煎り止めのポイントとなるのが 「コーヒー豆の色」です。色の変化から煎り止めのタイミングを見極めることは非常に難しく、多くの経験を積まなくてはなりません。
焙煎時によく聞く「煎り止め」まとめ
コーヒーを煎る作業にも、熟練した技術と経験が必要となります。よく見かける焙煎店では、店員さんが焙煎機に付きっきりで豆の様子を見ている光景を目にすることができ、煎り止めのタイミングの難しさがうかがえます。
こういった店員さんや過去の長年の研究の結果、美味しいコーヒーになるんだと思うことで、普段飲んでいるコーヒーにも奥深さを感じるのではないでしょうか。