コーヒー栽培における重要な役割を担う「シェードツリー(shade tree)」をご存知でしょうか。コーヒーノキは品種の数以上に様々な環境の地域で育てられています。今回は、美味しいコーヒーを育てるための大切な脇役「シェードツリー」について見ていきましょう。
シェードツリーについて
より美味しいコーヒー豆を栽培するには、温度や降雨量、栽培する高度など様々な条件があります。その条件のうちのひとつが“直射日光はなるべく避ける”こと。コーヒーノキは直射日光を浴び続けると葉が日焼けしてしまいます。その結果、充分な栄養がコーヒー豆に行き渡らず、コーヒー豆の大きさにバラツキがでてしまいます。
シェードツリー=日陰用の樹木
コーヒー豆の大きさは均一であればあるほど、風味も安定し雑味も少なくなります。そこでより美味しいコーヒー豆を栽培するために考えられたのがシェードツリーです。
「シェードツリー(shade tree)」とは、直訳すると「日陰木」。その名の通り日陰を作るための背の高い樹木のことを指し、コーヒーノキへの直射日光を避けるため一緒に植えて栽培します。
シェードツリーに向いている木
シェードツリーの役割は、コーヒーノキへの直射日光を避けるだけではありません。強風や霜害から守る役割も担い、かつシェードツリーの落ち葉は良質な肥料でもあり、土壌そのものを栽培に適したものにしてくれます。
シェードツリーに向いているとされる樹木は、少ない水分で育つマメ科の高木が良いとされています。また、食べられるという点から、バナナやマンゴーを植える農家もあるそうです。
シェードツリーのメリットとデメリット
シェードツリーのデメリットとして大きいのが、コーヒーノキ以外の樹木を一緒に植える“手間”と、それによる“収穫のしづらさ”、そして、単位面積当たりの”収穫量の少なさ”です。シェードツリーと一緒に栽培しているため、機械での収穫ができず、手摘みで収穫しなくてはならないのです。
一方で、市場に出回っている多くのコーヒー豆は、大規模なプランテーションで単一栽培されているため収穫量が多いです。その反面、単一栽培をするには、“森林伐採”による広大な土地を用意しなくてはならず、また、単一栽培の場合はコーヒーノキが弱いため、農薬や化学肥料も大量に使用しなくてはなりません。
シェードツリーとは まとめ
シェードツリーとは、コーヒーノキを直射日光から守る日陰をつくるための樹木です。シェードツリーに守られて育ったコーヒーノキは、コーヒーチェリーが大きく、熟成の度合いも均一だといわれています。また、木も長持ちで収穫量も安定しているというデータもあるとのこと。
シェードツリーを植えている農園は、自然環境に配慮し、丁寧にコーヒーを育てているところが多いといえるかもしれませんね。