地中海の東に位置している島国、キプロス。特殊な国内事情を抱えており、北と南が分断されている国です。今回は、そんなキプロスのコーヒー事情とその特徴を紹介します。
ギリシャ系の南部とトルコ系の北部
1960年に独立したキプロスですが、クーデター発生後から国内の状況は不安定となりました。
元々トルコとギリシャからの移民により構成されていたキプロスは、1974年のトルコ軍介入によって南の「キプロス共和国」と北の「北キプロス・トルコ共和国」に分断されてしまったのです。
南北では言語や宗教だけでなく、食事やコーヒー文化にいたるまで全てが異なっています。
南ではネスカフェと呼ばれるメニューがある
南キプロスのカフェに行くと、「ネスカフェ」というメニューがしばしば見られます。これは、文字通りネスカフェのインスタントコーヒーのこと。
ネスカフェを注文すると、ネスカフェのコーヒー粉、砂糖、粉ミルクをお湯で溶かしたコーヒーが提供されるのです。
“ギリシャコーヒー”と呼ばれるコーヒー
ネスカフェの他に飲まれているのが、ギリシャコーヒー。ギリシャコーヒーは、細かく挽いたコーヒー豆と砂糖を鍋に入れ、水に溶かし、直接沸かして作られます。カップに注いでから粉が沈殿するまで待ち、上澄みだけを飲むスタイルのコーヒーです。
実はこのギリシャコーヒー、名称は違えどトルココーヒーと同じものなのです。
北ではトルココーヒー、南ではギリシャコーヒー
南ではギリシャコーヒーが飲まれている一方で、北ではトルココーヒーが飲まれています。これは、呼び方が異なるだけであって、コーヒーの中身は同じ。
北を統治しているトルコと、ギリシャ系民族が多い南で同じ飲み物が飲まれているのにも関わらず、呼び方が違うのです。
昔からギリシャはとトルコは敵対関係にありましたが、コーヒーの呼び名ひとつをとってみてもその軋轢が伺えます。
コーヒー占い
トルココーヒーは、飲み終わった後カップに残っているコーヒー粉の模様をみて運勢を占う「コーヒー占い」を行うことで有名ですが、実はギリシャコーヒーでも同じように占いを行います。こういったことからも、同じコーヒー文化を共有していると考えられる両国。
しかしながら、北で「ギリシャコーヒー」南で「トルココーヒー」と呼ぶことはありません。
キプロスのコーヒー文化と特徴 まとめ
ネスカフェと呼ばれるインスタントコーヒーをカフェで提供している点に驚いた方も多いのではないでしょうか。
また、キプロスは北と南で全く異なる文化的事情がありながらも、同じようなコーヒーが飲まれていることがわかりました。北ではトルココーヒー、南ではギリシャコーヒーと言われているこのコーヒーの本質はほとんど同じものであり、呼び名が異なるだけなのです。