現在我々が飲んでいるコーヒーは、長い歴史の中で変化を遂げてきた物です。コーヒーが世に広まった当初は全く違う飲み方をしていたのだとか。ここでは、コーヒーが焙煎飲料として広まるまでの歴史について紹介していきます。
コーヒーの起源は?
コーヒーの起源は諸説あり、正確なことはわかっていません。
エチオピアのヤギ飼いが牧草地に生えている実を食べて興奮したヤギを見つけ、茹でて呑んだら眠気が無くなったという説や、イスラム教徒が山の中で見つけた小鳥の鳴き声に感動して、そのとまり木に実っていた果実でスープを作ったという“伝説”のような言い伝えが多いのです。
実を食べることから始まった
コーヒーが世に広まった当初は、飲み物としてではなく熟した実を煮て食べるというものでした。エチオピアの一部地域では、現在でもコーヒーを煮て食べたり、炒めたりして食べる習慣が残っているのだとか。
イスラム世界で広まるコーヒー
アラビア半島に伝わったコーヒー豆は“バン”と呼ばれ、バンを潰して煮だした飲料が“バンカム”という名で広く知れ渡ることとなりました。しかし、当時バンカムはイスラムの世界では“秘薬”として扱われており、一般層の人々が口にすることはほとんどなかったそうです。
“覚醒作用”を持つ秘薬として
修道者たちが夜通し行なう瞑想の際に眠気覚ましとしてバンカムが使われていたことを考えると、知らず知らずのうちにコーヒーの効能である「覚醒作用」に気づいていたということなのでしょう。
トルココーヒーとして世界へ
アラビアの世界からイスラムに伝わったコーヒー。中でもトルコではコーヒー豆を挽いて直接煮出す飲み方が広まり、現在でもトルココーヒーとして愛されています。
カップに入れた直後豆の粉が浮いていることから沈殿するのを待ち、上澄みだけを飲む飲料品として愛されたコーヒー。その後イスラムが勢力を広めるのと共に、ヨーロッパへと伝わっていったのです。
上澄みから焙煎への推移
コーヒー豆を焙煎して飲むようになったのは、13世紀に入ってからだと言われています。
なぜ焙煎が始まったかという正確な経緯は不明ですが、兵士がイスラムの僧侶からコーヒー豆を奪われそうになった際、とっさに投げた豆が暖炉の中に入り、いい香りが立ったという説や、山火事の際に焦げたコーヒー豆からいい香りがしたという説もあります。
どれが本当かはわかりませんが、どのエピソードも偶発的な事故であり、焙煎は“たまたま”発見された技術なのではないかと言われているのです。
コーヒーの歴史〜上澄み飲料から焙煎飲料へ〜まとめ
コーヒーが世に広まった当初は“実を食べる”という全く違う楽しみ方がされていました。その後、焙煎という技術が偶然発見され現在のような飲料品としてのコーヒーが生まれました。
上澄みだけを飲むトルココーヒーから、ヨーロッパに伝わったのは17世紀に入ってからのこと。布で濾すドリップコーヒーが開発されるまでは、ヨーロッパでも上澄みを飲むのがコーヒーの一般的な楽しみ方だったのです。