歴史ある築地の朝を、一歩引いた目線で楽しむ
活気溢れる朝を迎える、築地市場。
豊洲市場に移転が決まった今、その情景を焼き付けておこうと訪れる人は後を絶たない。2017年6月現時点では、築地市場は5年後を目処に再開発を行うそう。
築地の朝を、築地の歴史と共にずっと支えてきた店がここにはたくさんある。
その中でも、毎日ここで働く人たちを見守ってきた店のひとつが、珈琲の店・愛養だ。
築地らしい、海鮮を取り扱う店に紛れて、喫茶店があるとは驚いた。こういった場所は、観光客向けの店とは違った落ち着いた雰囲気を満喫することが出来る。
細長い店舗の形を活かして、店全体がカウンター席になっている。
築地の一般的な店舗は、表がお客さん用で裏はスタッフ専用の出入り口になっているが、この店ではどちらからでもお客さんが入れるようになっている。そのお陰で光が通り、窓がないのに店内は明るかった。
カウンターの中では、狭い空間を上手く利用して、店主が手際よく働いている。様々な器具や材料が所狭しと置かれて、まるでコックピットの様。
ロゴ入りのレトロなコーヒーカップが歴史を感じさせる。
熱いコーヒーが、早朝でも目を覚まさせてくれそう。
外国人の観光客も多く、店内の国籍は様々。
訪れた時には、半分以上が外国人だった。入りやすい雰囲気なので、この日本っぽさを体感しようと入店する人が多いのかも知れない。
また、メニューも英語版があり、親切。
一仕事終えた築地のおじさんとはじめての築地を珍しがる外国人との楽しげなコミュニケーションがうかがえる。砂糖をまわすだけでも、会話が生まれる。
トーストは、たっぷりのバターとジャムの2つの味が嬉しい。
一口サイズにカットしてくれてあるので食べやすい。
フードのメニューはトーストのみだが、この空間の憩いの場としての活躍は、築地の人々にとって大きな存在だそう。
ミルに麦藁帽子がかぶせてあり、マネキンのようだった。パフォーマンスかと思ったら、常連さんの持ち物だった。狭い店内で、置くところが無く、帽子と新聞を預けていたらしい。
「今日は○○さん、もう来た?」「いや、今日はまだだよ。」と、あたりまえのように店主との会話が弾む。
他県から来たと伝えると、築地の場内マップをくれて、「楽しんで!」と声をかけてくれた。
多くの人を毎朝ここで支えてきたこの店の、ほっとする心地よさを感じる。
この活気を、この息づかいを、この場所で体感できるまで、残すところあと数ヶ月となった。
もう一度行きたいあなたも、一度は行っておきたいあなたも、きっと今が築地に出会うチャンスだ。
愛養(アイヨウ) 店舗情報
住所:東京都中央区築地5-2-1 築地市場 6号館
移動時間:都営地下鉄大江戸線築地市場駅より徒歩4分
営業時間:月〜土3:30~12:30
定休日:日曜・祝日・休市日
wifi:なし
電源:なし
喫煙:全面喫煙可
HP: なし