世界で最も流通しているコモディティコーヒー。私たち消費者にとっても一番身近なコーヒーです。その価格はどのように決められているのかご存知でしょうか。今回はコーヒーの価格を決めるものについてご紹介します。
コーヒー豆はなぜ先物取引で売買されるのか
コーヒー豆の生産地は世界規模で、気候の影響を受ける自然資源です、。そのため、通常の取引をしようとすると価格変動が大きく不安定な取引となってしまいます。このため、価格と供給の安定を計るため“前もって売買の価格を決めておく”先物取引市場で取引されています。
コーヒー豆の価格には為替相場も影響する
コーヒー豆の先物取引はニューヨーク市場で行われます。コーヒー豆を海外から日本に輸入する時に米ドルを円に換算する必要があるため、円・ドル為替相場も大きく影響してきます。
コーヒーの値付けと品質
世界で最も流通量の多いコモディティコーヒーは、ニューヨークの定期市場の価格をベースに取り引きが行われ、需要と供給によって価格が決まります。コモディティコーヒーは、スペシャルティ、プレミアムに続く3番目のグレードですが、品質が低いということではありません。
コモディティコーヒーの品質は、各産地の等級付けで判断することができます。スペシャルティコーヒーは、品質本位の価格交渉が行われており、市場価格の影響をほとんど受けません。先物取引を行うコモディティコーヒーとは違い、品質に対して適正な価格で取引が行われます。
コーヒーの価格は生産者と品質に影響する
過去にコーヒー価格の暴落を繰り返し引き起こしてきたのは、コーヒー豆の供給過剰(生産量の一方的な増加)が原因でした。供給過剰になると世界的に値崩れを起こすため、中間業者はもちろん生産者の収入も減ることになります。
コモディティコーヒーのほとんどが小規模農家によって生産されているため、収入が圧迫されると生産者は貧困や破産に追い込まれてしまいます。それでもコーヒーを作り続けることしか選択できない生産者は、栽培コストを削ることで支出を減らそうとするため、品質の悪いコーヒーが市場に出回ることになります。
コーヒーの品質を高め市場価格を安定させる試み
生産者の生活向上のための試み「フェアトレード(公平な貿易)」では、生産者が生産と生活に必要な給料を得るため、コーヒーの価格が下落した場合であっても最低買い取り価格が定められています。
この最低買い取り価格が実際に生産者側に支払われていない等の様々な問題はありますが、農家、つまり生産者の収入を守り支援することが、コーヒーの品質を高め市場価格の安定につながります。
変動的なコーヒーの価格は定められた規定によって変化する
コーヒーの価格は、需要と供給・世界経済などの社会的要因や栽培環境、為替相場、品質などによって決められます。
コモディティコーヒーは、需要と供給によって価格が決まり、スペシャルティコーヒーは品質に対して適正な価格で取引が行われます。コーヒーの価格はコーヒー生産者やコーヒーの品質にも影響を与え、価格が暴落すると生産者が貧困に陥り、コーヒー生産に必要なコストをカットせざるをえなくなり、結果、コーヒーの品質低下につながります。
品質の低いコーヒーが市場に出回ると、コーヒーの価値が下がり、コーヒー離れが起こるなど負のスパイラルを引き起こす可能性があります。
この先もおいしいコーヒーを飲み続けるためには、私達消費者も生産者支援についても真剣に考えていかなければなりませんね。まずは、コーヒー取引価格を知るところから、始めてみませんか。