トアルコトラジャコーヒーとは、インドネシアのスラウェシ島のトラジャ地方のみで産出されるコーヒー豆のことです。希少価値の高いコーヒー豆として知られています。
トアルコトラジャコーヒーの特徴
世界で生産されているコーヒー豆には、大きく分けて2種類のコーヒー豆があります。コンゴ原産のロブスタ種とエチオピア原産のアラビカ種です。ロブスタ種は低地栽培され、丈夫で収穫量も多いのが特徴です。
しかし、アラビカ種は乾燥・低温・高温多湿や病害虫にも弱く、栽培に非常にきめ細かな配慮が必要になります。その中でも最高峰と言われているのがインドネシア・トラジャ地方で栽培されているトラジャアラビカ、通称トラジャコーヒーとよばれるコーヒーなのです。
インドネシア スラウェシ島
インドネシアは17,500もの島々からなる赤道直下の島国です。その中で第4位の面積を誇るのがスラウェシ島です。
トラジャコーヒーが実るのは、島の中でも山岳地帯で、昼夜の寒暖差が大きく、日中は強い日差しが降り注ぎ、年間降水量3,000㎜・平均気温20~22℃と、アラビカ種コーヒーの生産に非常に適した土地となっています。
トアルコトラジャコーヒーの歴史
インドネシアのコーヒー栽培は、17世紀末に開始されました。中でも戦前栽培されていたトラジャコーヒーは、ヨーロッパの王侯貴族用で、その希少性と上品な風味がごく一部の人に珍重されるだけでした。
しかし、第二次世界大戦がはじまると、栽培どころではなく、農場は荒れ果て、トラジャコーヒーは死滅したと思われていました。いつしか“幻のコーヒー”となった豆を再び本格的に生産しようと、昭和40年代半ばにキーコーヒーがトラジャの農場開拓に乗り出しました。
ジャングルの開拓・道路造りから、コーヒー苗の植え付けなど、様々過程を経て、復活を遂げます。そして1978年3月、日本国内で販売が開始されました。現在もキーコーヒーが、厳しい品質管理で厳選した豆をトアルコトラジャコーヒーとして販売しています。
徹底した品質管理
- まず、コーヒー豆の収穫は手摘みで完熟した実だけを摘みます。翌年の収穫に影響が出ないように積み方を工夫するだけでなく、木を植える間隔等も何年もかけ、実がよく育つように調整したそうです。
- そして、摘んだコーヒーの実は機械で実をはがした後、ぬめりがなくなるまで水でよく洗います。水洗いした豆は天日または日本から導入した大型乾燥機で乾燥させ、含水率を最適とされる10.57%に統一されます。
- 次に乾燥後に脱穀し、焙煎できる状態にした生豆を、一粒一粒手で選別し、虫食いや割れ、変色など9項目でチェックされます。その後チェックを通った豆は、さらに専門の検査員がチェックします。
- 最後に、実際に焙煎して淹れたコーヒーの味をチェックする「カップテスト」が行われます。最低3人でチェックし、同じ袋のものでも、味にばらつきがあれば不合格となり、輸出されないそうです。
- インドネシアから日本への輸送には、一定温度に設定されたリーファコンテナを使用しています。このリーファコンテナは、高級ワインの輸送などにも使用される特殊なコンテナです。
トアルコトラジャコーヒーの歴史まとめ
高級豆として知られている、トアルコトラジャコーヒー。日本人の活躍なくしてはこの豆の復活はなかったのです。キーコーヒーの方は地元のトラジャ族とインフラの整備から始め、栽培の指導まで行いました。現在よく言われているフェアトレードも、当初から行っていたそうです。
当たり前のように飲んでいるコーヒーですが、そのコーヒー1杯になるまでには、たくさんの人の努力と労力、時間が使われています。またコーヒー豆にも、簡単には語れない歴史や思いがありました。