通常のコーヒーと言えば、「酸味やコクなど際立った個性を持っているか」「バランスが良いか」というものが多いですよね。
今回のアグアブランカは、そこが違います。風味の密度が高く、酸味・コク両方とも面白い個性を持っています。しかし互いに拮抗していて、絶妙な均衡を保っています。個性と均衡の不思議なコーヒーを、これからご紹介していきます。
「アグアブランカ」は、こんなコーヒー。
- 今回の焙煎:シティロースト
香り
- フレグランス(豆の香り)
カカオらしさに少しスパイシーさやモカらしさ加わった香り - アロマ(コーヒーの香り)風味
スイートチョコレートのような柔らかく華やかさを持った香り
こんな時にオススメ
- 普段飲むコーヒーに面白みを感じられない時に
- 様々な風味が詰まったコーヒーを飲みたい時に
- 一杯で充足感を得たい時に
隠れた名産地、フライハーネス
グアテマラの有名産地は、アンティグアとウェウェティナンゴだけではありません。フライハーネスも知名度こそ低いものの、美味しいコーヒーの産地です。身近な所ではBOSSのレインボーマウンテンにも使用されるなど、意外と身近に存在しているのです。
今回はそのフライハーネスの中でも有名な、アグアブランカ(白い水)という名前のコーヒー豆です。
ペーパードリップ:各々の個性の勢力均衡
アグアブランカはチョコレートのような深く円やかなコクに、ピリッと来る酸味、そしてフワフワ漂う甘味が絶妙です。そして余韻は酸味が効いた、芳醇なカカオ豆のような風味が強く感じられます。
このコーヒー、一つの個性がとび抜けているわけではありません。しかし平々凡々なわけでもありません。各々の個性が程良く並び立っていて、均整が取れつつも特徴的な味わいを見せるという面白みがあります。
そのため飲んでいても飽きが来ず、毎日個性を楽しめるコーヒーです。ここが「アグアブランカのすごい所だな。」と感じさせてくれます。
ベースは中温
コクも酸味も特徴的ということもあり、どのようなコーヒーを淹れたいかによって、温度や豆の量は人それぞれになると思います。
とりあえず最初は、中温(80~85℃)で抽出してみてください。この温度では酸味・コク・円やかさ各々がバランス良く抽出されます。そこから個人の好みに応じて調整してみてください。
オススメの抽出方法(HARIO V60ドリッパー)
- 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
- 挽き具合:中挽き
ネルドリップ:少しだけ柔らかめ
柔らかさが一口目に感じられる一方、独特さを持った酸味・深いコクとビターさが非常に印象的です。これらが織りなす風味は、煮詰めたレーズンというような落ち着きとパンチも併せ持つ、とてもおもしろい個性です。
ただペーパードリップ同様に、奇抜なものではなく毎日飲んでも飽きの来ない個性です。そこはやはりアグアブランカです。
そして余韻は比較的コクが強く、そこに酸味がほのかに香り立つイメージです。モカとは全く異なる風味ですが、何とも言えないどっちつかずの雰囲気は、どこか似ているように感じられます。
オススメの抽出方法
- 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
- 挽き具合:中挽き
フレンチプレス:意外と来るコクの強さ
柔らかみが強く、そしてそれとコントラストを為すように深いコクが感じられます。フレンチプレスにしては驚くくらい深みが感じられます。酸味は弱めです。そして余韻は飲み込んだ後、喉から立ち昇るかのように、コクで充満していきます。
初めは柔らかいと思ったのもつかの間、一息置いてから来るコクに、口の中は全面的に支配されます。ドリップやサイフォンよりコクの深みが強く、その点に驚かされる一杯です。
今回の抽出方法
- 豆の分量:18g(容量350mlのプレスを使用)
- 挽き具合:粗挽き
- 抽出時間:沸騰したお湯で4分00秒
サイフォン:一体感があって素直
基本的にスッキリしています。またペーパードリップとは異なり、酸味とコクの境目は明確ではなく曖昧です。そのため、風味の一体感があって調和しているように感じられる反面、風味の変化には乏しいです。
味わいはローストの浅いカカオといった感触で、深いコクに酸味がキュンと上手く効いています。余韻もそのカカオ感を引き摺っている辺りは、心地よさを与えてくれます。
素直で・ビターで・複雑で・甘酸っぱい。物思いに耽りたい時に飲みたい一杯です。
今回の抽出方法
- 豆の分量:1杯あたり15g
- 挽き具合:中挽き
「アグアブランカ」の美味しい飲み方
ミルク・砂糖との相性
- ミルク:良い(ただし個性は弱まります。)
- 砂糖 :良い
ビターチョコレートとの相性が良い!
近年は空前のチョコレートブームで、カカオにこだわった芳醇なテイストのチョコレートが各社から発売されています。そういったチョコレートと、このアグアグアブランカは相性抜群です。
どちらも個性を持っていて、互いに引き立て合ってくれます。またどちらかというと、甘いものよりビターなものが相性は優れているように感じられます。
毎日個性を楽しめるアグアブランカ
アグアブランカは風味各々が個性を持っています。そのため毎日淹れ方を変えていけば、毎日異なる個性を楽しむことができます。その反面、個性のバランスが崩れることで失敗するリスクもあります。
このような風味の強いコーヒーは扱うのが難しいですが、それだけ楽しみ方や面白みも多いものです。
いつものコーヒーに飽き飽きしている方、一度試してみてはいかがでしょうか?
コーヒー豆の情報
- 名称:アグアブランカ
- 産地:グアテマラ・フラーハーネス地方
- 精製:ウォッシュト
- 今回の焙煎:シティロースト