「コーヒーを淹れる」と言っても、そのために使われる器具は多くの種類があり、器具によって抽出方法も変わってきます。コーヒーの抽出器具にはどのようなものがあるのか、代表的なものをまとめてみました。
抽出器具1:ドリッパー
ドリッパーにペーパーフィルターをセットし、そこにコーヒーの粉を入れ、湯を注いで抽出するペーパードリップが一般的です。ドリッパーは穴の数や形状でカリタ式、メリタ式、ハリオ式などがあります。
また、材質もプラスチックや陶器、金属など様々です。器具の扱い方などは簡単ですが、常に一定の味わいを出すには、練習が必要です。
抽出器具2:ネルドリップ(ネルフィルター)
抽出の仕組みはペーパードリップと同じですが、ドリッパーが布製のフィルターに変わります。ネルは「フランネル」の略語で、起毛した織物のことを指します。香りも良く引き出され、まろやかでコクのある味わいと滑らかな舌触りになります。
使用後のネルの洗浄や保存に手がかかるのが難点です。
抽出器具3:ウォータードリッパー
上のボールに水をセットし、一滴ずつ水を落としてコーヒー粉にしみ込ませフィルターを通し抽出します。時間はかかりますが、味はほどよく苦味が抑えられマイルドです。
また、深煎りの豆を使うと酸味が出にくく飲みやすいコーヒーになります。
抽出器具4:サイフォン
ガラス製のフラスコとロートを使い、蒸気圧を利用して湯を移動させ抽出します。抽出の際の演出効果の高さが魅力です。ドリップコーヒーに比べ味わいは濃く、苦味が出やすくなります。
手順を正しく覚えれば、安定した味わいのコーヒーを淹れられると言われています。
抽出器具5:フレンチプレス
プレス容器にコーヒー粉を入れ熱湯を注ぎ、プランジャーと呼ばれる金属製のフィルターが付いた軸を押し下げプレスすることで抽出します。コーヒーの油分が多く抽出され、コクのある味わいになります。器具は持ち運びでき、アウトドアにも適しています。
抽出器具6:エアロプレス
注射器のような器具です。チャンバーと呼ばれる筒の中に湯とコーヒー粉を入れ浸し、プランジャーと呼ばれるピストンで空気の圧力をかけることでフィルターに通し、抽出します。
フィルターは専用のペーパーや金属性のものがあり、フレンチプレスよりもなめらかな舌触りのコーヒーになります。
抽出器具7:パーコレーター
アウトドアに最適な、直火で使う循環式の抽出器具です。本体にはストレーナーと呼ばれる濾過器が付いており、火にかけ温められた湯が濾過器のパイプを循環することで抽出され、その繰り返しでコーヒーを濃くしていきます。
濃さは好みに調節できますが、高い温度で抽出され、加熱され続けるので、味わいは強くなりがちです。
抽出器具8:イブリック
銅や真鍮製のひしゃく型の抽出器具です。極細挽きにしたコーヒー粉を煮出して、上澄みをカップに注いで飲むトルコ式コーヒーで使われます。
弱火でゆっくり煮出し、フィルターを通さないので、味は濃厚でコクと香りも強く出ます。
抽出器具9:コーヒーメーカー
ペーパードリップと同じ抽出法を用い、ボタンを押せば自動で簡単に抽出できます。いつも一定の味わいにできる反面、面白みに欠けるとも言えます。
抽出器具10:エスプレッソメーカー
高い温度と圧力で一気に抽出する電気式と、マキネッタとも呼ばれる飽和水蒸気を使用して抽出する直火式とがあります。電気式は濃厚なエスプレッソが抽出でき、甘さの素と言われるクレマ(泡)も作れます。形態は全自動~手動式まで様々です。
直火式は安価で携行しやすく、アウトドアにも適しています。しかし、電気式ほど濃厚にはならず、クレマ(泡)も発生しません。また、イタリアでは直火式で淹れたものは「モカ」と呼びエスプレッソとは区別しているそうです。
コーヒー抽出器具まとめ
馴染みのない抽出器具もあったことと思います。それぞれ、違った手順や味わいが楽しめますので、新たな器具に挑戦すれば、自身の意外な好みも発見できるかもしれません。