ラオスのコーヒーと聞いてピンと来る方は、かなりのコーヒー通かもしれません。なぜならラオス産のコーヒーは、シングルで出回る量が少なく、また知名度が圧倒的に低いです。
そもそもラオスでコーヒーが生産されているのかと、驚いている方もいるでしょう。しかし考えてみると、コーヒー大国ベトナムの隣で、森の都ヴィエンチャンを抱える国ですから、コーヒー生産には適しているのです。
そんな国のコーヒーを、今回はご紹介します。
「ランサン」は、こんなコーヒー。
- 今回の焙煎:ハイロースト
香り
- フレグランス(豆の香り)
ヘーゼルナッツのような甘く華やかな香り - アロマ(コーヒーの香り)
ナッツとライムが混ざった柔らかく明るい香り
風味
- 透明感のあるコーヒー
- 程よい甘みと酸味
- 強い個性はなく飲みやすい
こんな時にお勧め
- 普段飲みのコーヒーに
- スッキリしたい時に
- 朝・昼に飲みたいコーヒー
ランサンは、どこから来たの?
今回のランサンは、ラオス南部のコーヒーの名産地、ボーラウェン高原で生産されています。ラオス産のコーヒーを見かけるようになったのは、ここ最近のことかもしれません。しかし実はフランス植民地時代から長らく生産されてきた地域でもあります。
ところでランサン(ラオ語:ລ້ານຊ້າງ)とは何でしょうか?実は、ラオ語で「百万頭の像」の意味です。これは昔のラオスの王朝名であり、そしてラオスの美称なのです。
どうやって飲む?
ランサンの最大の特徴は、穏やかながらも明るいことと、誰でも飲める汎用性の高さです。その点を考慮して淹れてみると、思い通りのコーヒーに仕上がるかもしれません。
- 透明感を堪能する:ペーパードリップ
- 穏やかさを楽しむ:フレンチプレス・水出しコーヒー
- 面白さを求めたい:エスプレッソ(浅めの焙煎)
ペーパードリップ:透明で爽やかなコーヒー
滑らかな舌触りと甘さはカシューナッツのような雰囲気を思っています。しかしそれ以上に印象的なものが、甘夏やライムのような爽やかな柑橘系の風味です。酸味さほど強くありません。ですが、その程よい酸味と透明感が生み出す軽やかさは、注目してもらいたい部分です。
とりわけ、この柑橘らしさは余韻の時にピークを迎えます。キュンと来る酸味と透明さは、心地よい爽やかさを醸し出してくれるのです。
ペーパードリップで淹れると、クリアで軽いテイストに仕上がります。ですので夏場の普段飲みにお勧めできます。
今回の抽出方法
- ドリッパー:HARIO V60ドリッパー
- 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
- 挽き具合:中挽き
- 抽出温度:83℃
フレンチプレス:甘く朧げ
穏やかさと甘みが前面に出てくるので、飲みやすいコーヒーに仕上がります。
ただ平々凡々というわけではなく、ほのかな酸味と透明感が程よいアクセントになるので、飲み飽きるコーヒーではありません。また甘み・コク・ほのかな酸味が、カカオやジャンドゥーヤに似た余韻を感じさせてくれます。
穏やかさと軽さが、どこか朧げで宙に浮いた感覚に誘ってくれるコーヒーです。コーヒー粉を多くしてもよいのですが、敢えて薄めに抽出すると、透明感や軽やかさが良く感じられます。
今回の抽出方法
- 豆の分量:18g(容量350mlのプレスを使用)
- 挽き具合:粗挽き
- 抽出時間:沸騰したお湯で4分00秒
エスプレッソ:強弱のギャップ
一瞬だけ凝縮された酸味が襲い掛かりますが、それも束の間、すぐに霧散して消えていきます。そこが非常に興味深いエスプレッソに仕上がります。ランサンの透明感が面白い形で現れてくれます。
その強い酸味の中には甘みもあり、よく味わうと果汁シロップのような風合いも持ち合わせています。その甘みは、酸味が霧散した後も柔らかい余韻として漂い、直前の強さとのそのギャップもまた面白いところです。
この傾向は、ハイ~シティロースト程度の(エスプレッソとしては)浅めの焙煎が、最も感じられるでしょう。
水出しコーヒー:果実感ある“飲み物”
甘みが強く滑らかな舌触りながらも、透明感と酸味のフレッシュさの鮮烈さが印象的です。また苦みが弱いため、砂糖なしでも十分に甘く、飲みやすさを感じられます。
そういう意味では、コーヒーという感触がなく、果実感あふれる“飲み物”と言っても良いかもしれません。
ハイローストなど浅めの焙煎ではこの果実感が出る一方、やや深めになると完熟感やコーヒーらしさが出てきます。ただランサンらしさという点では、やや浅め程度の焙煎が、水出しコーヒーには向いているのかもしれません。
今回の抽出方法
- 豆の分量:120ml当たり10g
- 挽き具合:中細挽き
- 抽出方法:水に浸して6時間
ミルク・砂糖との相性
- ミルク:あまり向かない
- 砂糖 :ほどほど
コーヒーが目立たない
透明感が災いして、カフェオレにするとコーヒーの風味が目立たなくなってしまいます。また普通の牛乳を使っても、低脂肪乳で作ったようなサッパリしたテイストになります。
そういう意味では向いていないかもしれません。しかしコーヒーが苦手な方や、夏場のアイスカフェオレには、そのサッパリさが向いているかもしれません。
ラオスコーヒー代表、ボーラウェン
今回ご紹介したランサンの産地であるボーラウェン高原は、ラオスのコーヒーの最も有名で、そして最も見かける機会の多いコーヒーです。もしラオスのコーヒーを味わってみたいという方は、この産地のコーヒーを基準にすると良いかもしれません。
また価格帯も安さと飲みやすさ、いつもと違う普段飲みのコーヒーにも良いでしょう。もう一つ付け加えると、ブレンドのベースにもお勧めです。
コーヒー豆の情報
- 名称:ランサン
- 産地:ラオス、ボーラウェン高原
- 精製:ウォッシュト
- 今回の焙煎:ハイロースト