「シェードグロウン」というコーヒーの栽培方法をご存知ですか。コーヒーノキに花が咲き、コーヒーチェリーが実るという、コーヒーの成長の過程をご存知の方も多いかと思います。今回は栽培方法の名がついた「シェードグロウンコーヒー」についてお伝えします。
シェードグロウンコーヒーについて
シェードグロウンコーヒーとは、英訳するとShade(日陰)・grow(育つ)・coffee(コーヒー)という意味で、日陰で栽培するコーヒーのことを指し、シェードツリーコーヒー、木陰樹、日陰樹とも呼ばれます。シェードグロウンによる木陰での栽培方法で育てられたコーヒーは、少ない水分で栽培することができます。
また、シェードツリーコーヒーはスペシャルティコーヒーのひとつとして分類され、森林栽培及び渡り鳥の保全など、自然環境の保護を目的としたコーヒー農園があてはまります。
シェードツリーコーヒーのほか、オーガニックコーヒーやフェアトレードコーヒーもスペシャルティコーヒーの分類のひとつです。
木陰(日陰)で栽培する理由
コーヒーノキを日陰で栽培するのには、理由があります。コーヒーの生産地では熱帯林の下で食物を栽培することが伝統的な農法であること。そして、世界中で需要が高いアラビカ種は、直射日光が苦手な品種であるためです。
環境にやさしい
日陰でコーヒーを栽培するということは、熱帯林を守る、つまり環境を守ることに繋がります。熱帯林は土壌の流出を防ぎ、生態系の保全にも役立っています。直射日光を避けることで葉が焼けてしまうのを防ぎ、かつ自然保護の一環としても機能している、ということになります。
シェードツリーコーヒーは手間がかかる
シェードグロウンコーヒーは、日光や風などから熱帯林によって守られ栽培されたコーヒーです。熱帯林の木陰でコーヒーノキを育てるには、収穫用の機械が踏み入ることのできない、密林を栽培地としなくてはなりません。
つまり、マシンでの収穫ができず、人の手による収穫を行わなければならないということになります。とても手間のかかる収穫方法ではありますが、コーヒーチェリーを傷めることなく丁寧な収穫を行うことができるため、より美味しいコーヒーを出荷することができるとのことです。
認証団体について
シェイドグロウンコーヒーには、認証団体が存在します。団体により認証の基準は様々ですが、全て自然保護に配慮し、未来の子孫の利益を損なわないことを目的としています。
スミソニアンミグレトリーバードアソシエーション
スミソニアン協会の研究機関である、スミソニアン渡り鳥センターにより創設された認証団体で、熱帯の森林を利用したシェードグロウンかつ有機栽培で生産されたコーヒーを査定します。プレミアム価格でコーヒーを買い取ることで、生産農家、森林保護も行い、その森林で休む渡り鳥を守るプログラムです。
レインフォレスト・アライアンス
レインフォレスト・アライアンスは、農園と地域社会のサポート・土壌と水路の保護・生産者の収入の改善という3つの軸を基本に、コーヒーの生産性の向上と生産者の立場を強化しながら、自然環境を保護し、未来の世代へと引き継ぐための活動を行っている団体です。
シェードグロウンコーヒーとは まとめ
シェードグロウンコーヒーとは、森林(密林)の木陰で栽培するコーヒーのことです。サスティナブルコーヒーのひとつでもあり、認証団体も積極的に活動しています。シェードグロウンコーヒーは、ありのままの自然環境の中でコーヒーノキを育てるため手間もかかりますが、自然の生態系を守りながら、丁寧に育てられた美味しいコーヒーを私達に届けてくれます。