コーヒーの香りや味わいの決め手となる焙煎。おいしいコーヒーを楽しむためには、どのようなことに注意すればいいのでしょうか。今回は、美味しいコーヒーの極意「焙煎編」をお送りします。
コーヒーの焙煎について
焙煎とは、コーヒー生豆を加熱し水分を飛ばす作業のことです。8段階ある焙煎度合いにより、酸味、苦味、甘味など様々な風味を化学変化によって引き出すことができます。この風味の変化は、焙煎にかける時間や、焙煎度合い、使用する豆の品種や状態により大きく変化します。
焙煎方法にも種類があり、直接火をあてて加熱する直火式焙煎や、熱風のみで加熱していく熱風焙煎など、様々な焙煎方法が存在します。また、一種類の銘柄に合わせて焙煎する単品焙煎や、“焙煎を2回行う”ダブル焙煎などもあります。
焙煎度合いの違いを知ろう
美味しいコーヒーを楽しむために、焙煎度合いによる“風味の違い”を知っておくことはとても大切です。大きくは浅煎り・中煎り・深煎りに区別することができますが、産地や銘柄によって、美味しく風味を引き出すことのできる焙煎度合は異なってくるのです。
焙煎の違いを知ることで、風味の違いをよりはっきりと知ることができますし、新たな自分好みの焙煎度合いも見つけらかもしれません。
コーヒーの焙煎度合の違いについてはコチラ
一番美味しいのは「焙煎したて」ではない?
焙煎したてのコーヒーは、ドリップした時によく膨らみ、その見た目から美味しそうなイメージがあります。確かに香りも良く“できたて”なので美味しいのは間違いないのですが、焙煎したばかりのコーヒー豆は炭酸ガスを放出しているため、味わいが安定しないとも言われています。
そのため、炭酸ガスがある程度抜けて安定した“2〜3日後”が美味しいと言われています。正確には、“美味しいコーヒーを淹れやすい”状態とのこと。焙煎したての風味と、焙煎から2〜3日経った豆の風味、ぜひ飲み比べてみてください。
焙煎に挑戦してみよう
焙煎と聞くと、職人が行う難しい作業とイメージする方もいるかもしれませんが、家庭でも簡単に行うことができます。必要なものは、コーヒー生豆100g程度、手網、金属製のざる、うちわ、ガスコンロ、新聞紙です。手網はデザインによっては持ち手が熱くなるので、軍手などを使って火傷に気をつけて行ってください。
焙煎のすすめ方①中火で“色付け”をする
手網にコーヒー生豆を入れ、中火にかけます。手網の蓋が、簡単に開いてしまうものは、針金やクリップで止めて使用すると火傷防止になりますよ。手網はガスコンロから20cmほど上に離した状態で、常にゆすり、まんべんなく生豆が加熱されるようにしてください。炒り始めから3分から5分ほどで生豆が茶色へと色づいていきます。
焙煎のすすめ方②1ハゼ・2ハゼ
10分ほどで、パチっという1回目のハゼ音が聞こえ、15分ほどで2回目のハゼ音が聞こえます。このハゼは、コーヒー豆が加熱により膨張して起こる音で、十分に焙煎されてきたお知らせの音でもあります。
お好みの焙煎度合いになるまで見た目判断で加熱してみましょう。1回目のハゼあたりが浅煎りから中煎りくらいだと言われています。
焙煎のすすめ方③短時間で一気に冷まそう!
コーヒー豆がお好みの色合いになったら、火からおろし、ざるにあけ、うちわなどで豆を冷やしてください。手網のままで置いておくと、手網の熱で加熱が進んでしまいます。別のざるにあけた場合でも、豆の熱によって加熱が進む恐れがあるので、短時間でコーヒー豆を冷ますようにしましょう。
焙煎時の薄皮に注意しよう
加熱が進むにつれ香ばしい香りが楽しめます。それと同時に、コーヒー豆の薄皮も舞い始めますので、室内で焙煎を行う場合は、汚れ防止のために足元に新聞紙などを敷いておくと、後でお掃除が楽です。火の近くに燃えやすいものを置かないよう、十分に注意してくださいね。
冷めたコーヒーは袋などに入れ、2日ほど寝かせてから飲むのがおすすめです。
美味しいコーヒーの基礎学【焙煎編】
自分で焙煎したコーヒーは、想像しているよりも美味しいものです。焙煎中の“香り”が美味しさのイメージを引き上げてくれる、というものひとつの要因かもしれませんが、なにより「いつでも焙煎したての味と香りを楽しめる」というのが大きいです。
まずはコーヒー豆販売店で焙煎度の違いを学び、「焙煎」の重要さを知るようにしてみましょう。8段階ある焙煎度の違いを理解していくころには、よりコーヒー好きになっているかもしれませんよ。