コーヒー好きな人の中には、コーヒー生豆を購入して自家焙煎をする人もいます。自家焙煎の器具も様々なものがありますが、その中でも手網焙煎は、2,000〜3,000円前後で買える専用のロースターだけではなく、ぎんなん炒り網や100円均一の網も使え、初期投資を少なくできます。
今回は器具を準備しやすいコーヒー生豆の手網焙煎のやり方をご紹介いたします。
焙煎を始める前に
焙煎をする前に焙煎度とハンドピックについてご説明します。
焙煎度について
コーヒー豆の焙煎度にはライト・ロースト(浅煎り)からイタリアン・ロースト(極深煎り)まで8段階あります。
基本的に、焙煎が浅いほど酸味が強く苦味は弱くなり、焙煎が深くなるほど酸味が無くなり苦味が強くなります。コーヒーの甘い香りは中煎りのあたりがもっとも高くなります。
しかし、コーヒー豆の種類(産地の違いなど)で風味の特徴は異なるので、一概には言えません。
ハンドピックについて
生豆を焙煎する前に、欠点豆や異物を取り除くことを「ハンドピック」と言います。この工程を行うことで、コーヒーに嫌な臭みや雑味が出るのを防ぐことができます。取り除くのは石などの異物、欠けたり割れたりしている豆、未成熟豆、発酵豆などです。
手網焙煎の準備
- ハンドピックした生豆(100g)
- 手網
- ガスコンロ
- タイマー
- 煎り豆を入れるザルなどの容器
- うちわやドライヤー扇風機など、熱を冷ますもの
焙煎が進むと豆から薄皮(チャフ)がはがれて飛び散るので、コンロの周りにアルミホイルなどを敷いて行うと、多少片付けが楽になります。
手網焙煎の手順
- 火力
ガスコンロの火力を強火にします。(焙煎中は火力の調整は行わず、手網とガスの火との距離で調整します) - 蒸らし
火の通りを良くするため、蒸らしを行います。火から約25cm離し、手網はゆっくり左右に振り続け、時々あおって上下を返します。初めは重く豆も動きにくいですが、数分続けると軽くなり動きも良くなります。豆が白っぽくなってきたら完了です。 - 水切り
蒸らしが完了したら、豆の水分をしっかり抜いていきます。これくらいからチャフが出始めます。豆の色が黄色味を帯び、やがて薄茶色に変わる頃がライト・ロースト(浅煎り)です。
さらに揺すり続けると、生臭いにおいから香ばしい香りに変わり、全体がシナモンスティックのような色になれば水抜きは完了です。
この時点がシナモン・ロースト(浅煎り)となります。ここまでの経過時間は約10分。 - 本焙煎
火から約15cmの距離に網を下げ、早いスピードで激しく網を揺すります。焼きムラができないよう、手は止めずに揺すり続けてください。豆の色が濃くなり、小さく縮めば1ハゼの手前となります。 - 1ハゼ(生豆から焙煎豆になる一番初めの合図)
火にかけてから約15分経過すると、「バチ、バチ」と大きい音が出始めます。これが1ハゼで約2分間続きます。網は左右に激しく揺すり、細かくあおって上下を返してください。 - 網を火から少し離す
ハゼが全体に広まってきたら豆自体が高い温度になり、焙煎速度もとても速くなるため、網を火から離し約25cmの距離にします。離しても手は止めずに動かし続けてください。1ハゼが終了した時点が大体ミディアム・ロースト(やや中煎り)からハイ・ロースト(中煎り)です。 - 2ハゼ(深煎りの始まりの合図)
「ピチピチピチ」という1ハゼよりも高く小さな音が出始めます。これが2ハゼで約2~3分続きます。2ハゼが起こり始めた時点がシティ・ロースト(中深煎り)となり、最も一般的な焙煎度です。
2ハゼが進み煙も出始めた時点がフルシティ・ロースト(やや深煎り)となります。2ハゼが終了するとフレンチ・ロースト(深煎り)、更に焙煎を進めるとイタリアン・ロースト(極深煎り)になります。 - 煎り止め
好みの焙煎度になった時点ですぐに火から外し、ザルなどに入れ替えてうちわや扇風機、ドライヤーの冷風で一気に冷まします。火から外した後も焙煎は進んでいくので素早く行いましょう。一気に冷ますことで、風味も良く保存も効く焙煎豆になります。 - 豆の剪定
豆に触れるようになったら、焼きムラのある豆や欠けた豆を取り除き、ザルのまま1日置いてガス抜きをします。その後、保存容器に入れて完了です。
手網焙煎でおいしく飲める期間
焙煎してすぐよりも、3日ほど経過した方が香りは豊かになり、コクも出ておいしく飲むことができます。3~10日目くらいは日々変化する味わいを楽しめます。
2週間くらいから香り成分よりコクや苦味の成分が多くなり、3週間を超えると香りはなくなり、苦いだけのコーヒーになってしまいます。
コーヒー生豆の手網焙煎のやり方まとめ
手網焙煎の焙煎時間は約20分と短いですが、慣れるまでは火との距離感や焙煎度の見極めに苦労するでしょう。しかし、試行錯誤を繰り返しながら極めて行くのも自家焙煎の魅力ではないでしょうか。