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貿易用語「イーエックスドック」「イーエックスウエアーハウス」

貿易用語「イーエックスドック」「イーエックスウエアーハウス」

世界の国別コーヒー消費量で4番目に位置する日本。消費されるコーヒーのほとんどを輸入に頼っていることをご存知でしょうか。今回は、コーヒーの貿易用語イーエックスドックとイーエックスウエアーハウスについてご紹介します。

コーヒーの輸出にはリスクがつきもの

倉庫などに保存されているコーヒー生豆は、輸出が決まり次第、麻袋に詰められ船に積み込み目的地へと出港します。

港が近い生産地なら輸送に関するリスクは低いといえますが、内陸に位置する国や、生産地によっては港までの長距離輸送が必要になり、費用の他に輸送中の温度などの環境によるリスクも発生します。

船積みの前後もリスクだらけ

港に無事コーヒー生豆が到着しても、まだまだリスクがあります。

船積みされるまでの間、コーヒー生豆は港ならではの高温多湿の環境にさらされます。そこから船積みされ、目的地に着くまでの間も、海上での温度変化にさらされるのです。目的地まで1カ月ほどかかる場合が多いので、目的地までずっとリスクだらけだとも言えます。

イーエックスドックとイーエックスウエアーハウス

コーヒー豆_貿易_麻袋_倉庫

「イーエックスドック」と「イーエックスウエアーハウス」は、インコタームズが策定した貿易条件のひとつです。

イーエックスドック(EX Dock)とは、特定の港(Dock)でコーヒー豆がおろされるまでは売主が危険負担し、それ以後の危険負担は買主がするという条件のことです。

イーエックスウエアーハウス(EX Warehouse)とは、売り手の倉庫(Warehouse)でコーヒー豆を引き渡す条件のことです。

つまり、2つを簡単に述べると以下のような解釈で概ね合っています。

  • イーエックスドック
    売り主「あの港にコーヒー豆を降ろすまでは、何かあったら私たちの負担にしますよ」
  • イーエックスウェアハウス
    売り主「うちの倉庫で買い取ってください。輸送中に何かあっても私たちは負担しませんよ」

インコタームズについて

インコタームズ(Incoterms)とは、国際商業会議所が策定した貿易条件の定義のことです。貿易取引における売主と買主の合意内容について統一的な定義を取り決めたもので、主に運賃や保険料、リスク負担の条件に関するものが定められています。

このインコタームズは任意規則のため、強制力はありませんが、貿易取引の契約書に約款として入れることが一般的になっています。

貿易条件がないと大変なことに…

農作物であるコーヒー豆の輸出にはたくさんのリスクが潜んでいるので、イーエックスドックや、イーエックスウエアーハウスなどの貿易条件の取り決めがとても重要なのです。

コーヒーの劣化について

コーヒーの輸出の流れや環境について知ると、生豆の劣化が気になるところですが、コーヒー生豆は、輸出の時の環境よりも輸入された国での倉庫保管が良ければとくに問題がないことが確認されています。

また、輸出入国の季節に合わせて輸送のタイミングも計算しているそうなので、輸出によるコーヒーの劣化については安心といえそうです。

貿易用語「イーエックスドック」「イーエックスウエアーハウス」 まとめ

「イーエックスドック」「イーエックスウエアーハウス」は、インコタームズが定める貿易条件の定義です。

定義といっても強制ではなく、その国に合った内容で運賃・保険料・リスク負担について、貿易取引の契約が交わされます。コーヒーの輸出や輸入の費用やリスクについては、なかなか知る機会が少ないですが、この全てが私達の消費しているコーヒーの価格に繁栄されていると思うととても興味深いですよね。

About the Author

AMIAMI

愛知県生まれ。親族がコーヒー卸売業を営み、幼少より喫茶店とコーヒーに親しみがある。ブラジルコーヒー鑑定士・SCAAカッピングジャッジなどの受講経験、焙煎経験あり。コーヒーは焙煎したてより、寝かせてから飲みたい派。猫と、物作りが好き。