中国といえば、やはりお茶のイメージが強いですよね。しかし、現在ではコーヒー生産の利益率がお茶を上回るほど、中国のコーヒー産業は盛んになりつつあります。
ここでは、あまり知られていない中国のコーヒー産業とその歴史について見ていきましょう。
タバコ栽培からコーヒーへの転作
中国でコーヒーの栽培が始まったのは、雲南省が始まりだと言われています。雲南省といえば、お茶の銘柄としても有名なプーアール市があるため、古くからお茶の栽培に力を入れてきた土地。お茶の栽培に加え、タバコの栽培を行なっていた農家も多かったそうです。
このタバコ農家がコーヒー栽培へと転作していったのが、中国コーヒー産業の一大転換期だったと言われています。
雲南省の環境
プーアール茶を栽培してきた雲南省。実はコーヒー栽培にもうってつけの環境を有した地域でもあるのです。高原は900〜1,200mと標高が高い場所に位置し、昼夜の温度差も激しいことから、中米のコーヒー栽培と同じような環境が揃っているためです。
唯一の欠点は降雨量が少ないこと。中国雲南省の降雨量は、コーヒー栽培に必要とされている「1,800〜2,500mm」に対し、多くて年間1,700mm程度とコーヒー栽培を行なうには少し雨の量が少ないと言われています。
現在においても中国コーヒー栽培の95%がここ雲南省で行われているそうです。
政府主導から民間主導へ
コーヒー産業を行うに際して、当初は政府が主導して栽培を行なってきました。しかしこれが上手く進まず、次第に民間企業の手へと移っていくこととなったのです。
中国のコーヒー産業を大きく成長させたのが、「ネスレ」のバックアップ。1988年頃から実験的に栽培を行うようになったネスレは、雲南省でのコーヒー栽培成功を確信し、すぐに正式な栽培を始めました。
ネスレ・プーアール市の協力体制
2009年には、ネスレはプーアール市との協力体制を結ぶことで合意し、人材育成・技術開発・ブランドの立ち上げなどあらゆる側面からプーアール市でのコーヒー産業を支えることとなりました。
現在では、世界の有名コーヒーメーカーがこぞって雲南に進出するまでとなっています。
生産性の高さによる弊害
まだ歴史の浅い中国のコーヒー産業ですが、コロンビア豆のようなマーケット需要の高い良質な小粒豆を作ることで、評価が高まってきています。樹齢の若い若木がほとんどのため、生産性も高く大量生産できる環境が整っているのです。
そんな中国のコーヒー産業が抱える一番の問題は、コーヒー豆の値下がり。大量生産できる地盤が固まってきたものの、あまりにも多くの豆を生産してしまうことで、コーヒー豆の市場価格は暴落しているようなのです。
昔ブラジルで起きたコーヒーバブルのような状況にならないよう、各社が計画性をもって栽培することが求められています。
急発展した中国のコーヒー産業
このように、中国のコーヒー産業は急速に発展してきています。「雲南省産のコーヒー」と意識してはいないかもしれませんが、皆さんの飲んでいるコーヒーの中にも中国産のコーヒーがあるかもしれませんね。