コーヒーの歴史に関して紹介する当コラム。今回は、コーヒー豆の品種の1つである「ロブスタ種」に関してです。現在でもメジャーな品種として世界中に流通しているロブスタ種ですが、味や風味に関しては賛否両論のあるコーヒー豆です。このコーヒー豆が、どのようにして世界に広まっていったのか歴史背景と合わせて見ていきましょう。
ロブスタ種の発見
ロブスタ種の原産国は、アフリカのウガンダやコンゴだと言われています。ウガンダに住んでいた民族の間には、昔からコーヒー豆を噛むという習慣があり、その豆はロブスタ種のものであったそうです。
1862年、ウガンダを訪れた探検家が初めてロブスタ種の豆を発見したと言われています。
栽培のスタート
ロブスタ種のコーヒー豆が正式に栽培され始めたのは、19世紀の終わり頃だと言われています。当時ベルギー領だったコンゴにおいてロブスタ種のコーヒー豆が発見されたことによって、オランダ人主導のもと栽培がスタートしたそうです。最初の発見から、およそ30年後の出来事でした。
風味に対する批判
当初、ロブスタ種は「風味が悪い」と市場での評価は今ひとつでした。しかしながら当時発売されていたコーヒー豆の中でも抜きん出て安かった価格も影響して、次第に世界中へと広まっていったのです。
オランダでの大流行
第一次世界大戦中、オランダ国内ではロブスタ種のコーヒー豆が大流行しました。オランダが持っていた植民地(ジャワ島)ではもともとアラビカ種の豆を栽培していましたが、1920年代にはおよそ80%の豆がロブスタ種となったそうです。
オランダでの流行が起きた後に、ジャワ島だけでなくセイロン島、アフリカ、インドなど各地でロブスタ種の生産が始まりました。
1956年には世界で取り引きされるコーヒーの2割がロブスタ種になるという、一大マーケットとなり、1960 年にはニューヨークコーヒー取引所が公認を出したのです。
病気に強いロブスタ種
ロブスタ種は、栽培において「病気に強い」という大きなメリットを持っています。1980年代におきたインドネシアでの“さび病”の蔓延により、アラビカ種を育てていたコーヒー農園は壊滅的な被害を受けました。
そこで登場したのがこのロブスタ種。さび病の流行以降、インドネシアで育てられる90%以上のコーヒー豆が、ロブスタ種になったと言われています。
栽培しやすく交雑種も多いロブスタ種
ロブスタ種は、病気に強いだけではなく低地でも栽培できるなど環境に依存しない品種のため、現在でも世界のコーヒー生産量の2〜3割をしめる大量生産品種です。
また、この特徴を活かすためにアラビカ種との交雑種も作られています。アラブスタ、カティモール、バリエダ・コロンビアなど実に様々な交雑種があることからもロブスタ種は栽培に優れた品種であることが分かりますよね。
このように、ロブスタ種は大量生産可能な品種として一躍世界に広まっていったのです。