コーヒーチェリーがコーヒー豆になるまでには、水洗式や非水洗式など国によって違う“精製方法”が採用されています。精製方法はもちろん、その工程によって味に影響があることをご存知でしょうか。今回はアクアパルプメソッドについてご紹介します。
アクアパルプメソッドについて
アクアパルプメソッドとは、主に水洗式の精製工程の過程で行われる作業です。コーヒーチェリーの果肉や皮の部分を取り除いた後に、取りきれていない果肉や”ミューシレージ”と呼ばれる粘着液を水の力で取る作業のことです。
水洗式(ウォッシュド)について
水洗式(ウォッシュド)と呼ばれるコーヒーの精製方法を、工程順に紹介します。
- 外皮と果肉の除去
収穫したコーヒーチェリーを水槽に入れ、水に浮くチェリーと沈む砂や石などを取り除き、果肉除去機で外皮と果肉をはがす。その後、水槽に入れて水に浮いた外皮や果肉を水流によって除去。 - 内果皮を柔らかくする
コンクリート製の発酵槽に移し、半日から一昼夜浸け、豆に残る粘着質を酵素で分解して溶かして取り、内果皮をやわらかくする。 - 水洗い・天日乾燥
水洗いし、浮く豆と沈む豆(完熟豆)をわけ、天日乾燥する。 - 一旦保存する
内果皮がついた精製豆の状態で、出荷まで保存される。 - 生豆のチェック・出荷
出荷前に、内果皮を脱穀し生豆の欠点豆をチェック。スクリーンサイズや、輸出規格に基づく格付けをし、生豆として出荷される。
粘着液は味に影響する
「アクアパルプメソッド」は、最も味に影響する大切な工程です。コーヒーチェリーからコーヒー生豆になるまでの間に、何度も水による処理が組み込まれている水洗式。これは、コーヒー豆に粘液質が残ったまま乾燥工程に進むと、粘液質が発酵し、欠点豆の原因となるためです。
欠点豆が一粒でもカップの中に含まれている状態では雑味が生まれてしまい、コーヒーの味に悪い影響を与えてしまうため、粘着液を取り去る工程はとても大切だと言えます。
コーヒーはデリケートな農作物
美味しいコーヒーを作るには、正しい方法での収穫に適切な精製処理、焙煎や抽出が重要ですが、一番コーヒーの味に影響を与えるのが精製処理の段階です。コーヒーの精製処理には、水洗式・非水洗式・半水洗式がありますが、選ぶ処理法によりコーヒーの風味が変わります。
工程の違いでコーヒーの風味は変化する
さらに、精製処理の工程の中でもコーヒー豆にどの程度粘着質を残すのか、どのタイミングで乾燥させるのかなど、工程の違いがコーヒーの風味特性を変化させます。水洗処理を行う上で粘着液を取り去る「アクアパルプメソッド」がどれほど重要なのか、おわかりいただけると思います。
わずかなことで味が変化してしまうなんて、コーヒー豆って本当にデリケートな農作物ですよね。
水洗式(ウォッシュド)コーヒーの特徴
水洗式の豆は緑色で美しく、すっきりとしたクリアな酸味が特徴です。ウォッシュドは、コーヒーの品質を一定に保つという利点があり、的確に処理されたコーヒー豆は、産地の特徴として素晴らしい香味があらわれると言われています。
水洗式を採用している国
水洗式は、コロンビア・メキシコ・グアテマラ・ペルー・ジャマイカ・キューバ・ケニア・タンザニアなど、7割の生産国で採用されている最もポピュラーな処理方法です。
精製方法「アクアパルプメソッド」まとめ
「アクアパルプメソッド」とは、水洗式の精製方法で行われる工程のひとつです。
コーヒー豆に粘着液や果肉などが残ったまま乾燥工程に入ってしまうと、乾燥が不十分になったり、水分含有量が違ってしまい、欠点の原因になる可能性があるため、水洗式の工程ではアクアパルプメソッドが重要な工程となります。
わずかな違いがコーヒー豆の美味しさに影響してしまうので、コーヒーという飲み物はとてもデリケートだと感じざるを得ません。美味しいコーヒーが飲めるのは、適切な精製処理がされているおかげですね。