収穫されたコーヒーチェリーが生豆へと生まれ変わる‘精製’という工程は、選ぶ方法によってコーヒー豆の風味を変える力があります。今回は、水をあまり使わない精製方法「アンウォッシュド」についてご紹介します。
アンウォッシュドについて
アンウォッシュドは、ブラジル、エチオピア、イエメンなどで行われる伝統的な精製方法でナチュラル製法とも呼ばれています。コーヒーを収穫後、ハンドピックで欠点や異物を取り除き、コーヒーチェリーをそのまま天日乾燥させます。そして最後に果肉とパーチメントを一度に除去し生豆にする方法です。
果肉を残したまま乾燥させることで、生豆に糖分が伝わりアンウォッシュド独特の香りと自然な甘みが楽しめるコーヒーになります。
アンウォッシュドの利点
アンウォッシュドの利点は、大量の水を使用しないので環境に優しく、工程がシンプルであること。果肉を残したまま乾燥させることで、産地の特徴そのままの風味を持ったコーヒーができます。
アンウォッシュドの欠点
アンウォッシュドの欠点は、天候に左右されやすい点です。天日干しの最中に雨に襲われ、コーヒーチェリーが湿ってしまい、均等な乾燥が難しくなってしまいます。異物が混入しやすく、雑味のもとになるという欠点もあります。
セミウォッシュドについて
セミウォッシュドはブラジルなどの中米各国で多く採用されている精製方法で、パルプドナチュラルとも呼ばれています。コーヒーを収穫後、パルパーで皮をむき果肉や粘液質を残したまま乾燥させ、最後に脱穀する方法です。
パルパーで皮がむけるのは完熟チェリーだけなので、未熟なチェリーや欠点チェリーの選別がアンウォッシュドに比べて簡単で、品質の高いコーヒーができます。アンウォッシュドとウォッシュドの“いいとこどり”の精製方法とも言われています。コーヒー豆に残された粘着液が独特なアロマを生み、甘みの強いコーヒーになります。
セミウォッシュドの利点
ほとんど水を使わないのでウォッシュドの利点“環境に優しい”特性に加え、パルパーでの果肉選別が可能な“欠点豆が少ない”利点も持っています。水資源の乏しい地域や小規模農家でも可能な精製方法です。
セミウォッシュドの欠点
ウォッシュドに比べると、味や風味などの均一性に欠けます。粘着液がダマになることもあり、欠点豆になるものもあります。
もうひとつのセミウォッシュド
通常のセミウォッシュドと同じ工程ですが、パルパーでチェリーの皮をむいたあと、遠心力を使ってパーチメントに残った粘液質を強制的に除去する「パルプドナチュラル・デスムシラージ」と呼ばれる方法があります。この方法はパルプドナチュラルよりクリアで、ウォッシュドに近い風味のコーヒーができると言われています
おいしいコーヒーになるポイント
精製方法の中でも、乾燥の工程が最もコーヒーの風味を左右します。乾燥が均一に行われなければ、どの精製方法を用いても欠点のないクリーンな生豆はできません。アンウォッシュドやセミウォッシュド、ウォッシュドについても、いかに均一に乾燥させるかがおいしいコーヒーになるためのポイントです。
精製方法「アンウォッシュド」と「セミウォッシュド」まとめ
精製工程や、方法を変えるだけで、新たな風味が生まれるコーヒー。アンウォッシュドの魅力的な甘味に、思わず魅了される愛飲家も多いことでしょう。コーヒー豆を購入する時は、精製方法が表示されているものもありますので、是非アンウォッシュドのコーヒーをお試しいただけたらと思います。