コーヒーの味は、豆の性質に加え焙煎方法や煎りの強さによって大きく変化します。今回は、焙煎の際に生じる“ハゼ”にフォーカスして紹介していきたいと思います。そもそも“ハゼ”とはどういうものなのか、ご存知ですか?
焙煎における2つの工程
焙煎は、ただ単にコーヒー生豆に対して熱を加えるだけの作業ではありません。そこにはいくつかの工程があり、熱を加えたあとの処理まできっちりと行わなくてはなりません。熱を加える段階である“蒸らし”と“ロースティング”について見てみましょう。
豆内の水分を蒸発させる”蒸らし”
まず最初に必要な工程が“蒸らし”と呼ばれる作業。コーヒー生豆の成分は、11〜13%ほどが水分です。豆内に水分が多く含まれた状態では、いくら加熱したところで豆全体に熱は行き届きません。そのため、まずは豆内に含まれる水分を飛ばす作業を行う必要があります。これが“蒸らし”と呼ばれる工程です。
低温でじっくり豆を熱することにより、徐々に水分を飛ばしていきます。蒸らしが完了するまでには、おおよそ6分〜8分ほどの時間を要します。白色っぽかった生豆は、蒸らしが完了する時点で茶色みを帯びた色に変化し、湿り気のない乾燥した状態になります。
本格的に熱を加える作業”ロースティング”
蒸らしが終わると、本格的に熱を加える作業に入ります。この工程を“ロースティング”と呼び、長い時間行なうほど豆は深煎りに近づきます。火力や時間によって焙煎度合いは大きく異なってきますが、この焙煎度合いを測るための基準となるのが“ハゼ”と呼ばれる現象です。
“ハゼ”とは?
ハゼとは、焙煎中(ロースティング中)のコーヒー豆に見られる現象です。焙煎を進めていくことで、コーヒー豆の内部の水分が蒸発していき、「カラメル化」という現象が発生します。
カラメル化は、豆に含まれる糖類が熱を加えたことによる酸化により、香ばしい焦げの風味になる現象です。コーヒー豆の香ばしい香りは、このカラメル化が起きることによって得られます。
また、焙煎によってコーヒー豆からは炭酸ガスが発生します。これらの化学反応によって豆が耐えられなくなり“裂ける”現象が「ハゼ」と呼ばれているものです。ハゼが発生すると、ポップコーンを作っているときのような爆発音が聞こえます。
1ハゼの目安とされる焙煎具合
ハゼは焙煎を進めることで2回発生する現象です。ハゼが発生するタイミングによって、ある程度の焙煎具合が分かると言われています。
1回目のハゼである「1ハゼ」が起きるタイミングは、浅煎りから中煎りに差し掛かったタイミング。「シナモンロースト」くらいの焙煎度の時に発生します。
1ハゼが発生する前に焙煎を止めれば「ライトロースト」程度、1ハゼが終わったくらいで焙煎を止めれば「ミディアムロースト」という具合にハゼのタイミングで焙煎具合を見極めることができます。
- ライトロースト
- シナモンロースト
- ミディアムロースト
- ハイロースト
- シティロースト
- フルシティロースト
- フレンチロースト
- イタリアンロースト
焙煎における「1ハゼ」とはまとめ
ハゼとは、焙煎を進めることにより発生する化学変化で生じる“豆の裂け”による爆発音のことでした。1ハゼの音を聞いて浅煎り〜中煎りの焙煎具合を見極めるため、聴き逃してはいけない非常に重要な現象なのです。普段見慣れているコーヒー豆の割れ目が、“ハゼ”によるものだということを知らなかった方も多いのではないでしょうか。