コーヒー豆を焙煎、抽出して飲むものがコーヒーかと思いきや…サルタナコーヒーはそういった一般的なコーヒーとは少し異なります。サルタナコーヒーは、コーヒー史の中でも初期のコーヒーと言っても過言ではありません。今回はサルタナコーヒーについてご紹介します。
サルタナコーヒーについて
サルタナコーヒーとは、収穫したコーヒーチェリーを煮出した飲み物のことです。つまり、果肉・外皮のまま煮出したコーヒー豆、ということになります。まだコーヒー豆を焙煎する概念がなかった時代、コーヒーを煎ったりはせず、天日干しで乾燥させた果実をまるごと使用したり、砕いたものを使用したといわれています。
サルタナの由来
サルタナコーヒー、サルタンコーヒーと呼ばれる由来は、諸説ありますが、トルコ語でsultanと呼ばれる“権力者”しか手にすることができなかったため、「サルタナ」という名がついたと言われています。
サルタナコーヒーは薬だった
そもそもコーヒーは、ヤギ使いの少年がコーヒー果実を食べて興奮しているヤギを見つけた…という伝説から歴史が始まります。コーヒーは当時、一部の僧侶だけに許された薬として、葉や果実を煮出した汁が飲まれていましたが、その後、種子の焙煎によって嗜好品として世界中に広がることになります。
イエメンではギシルコーヒー?
「ギシル」とは、イエメン語で“果肉”をさします。ギシルコーヒーはコーヒーの果肉を煮出したコーヒーのことで、イエメンでは現在も飲まれています。サルタナコーヒーとギシルコーヒーは似た飲み方ではあるものの、ギシルは「果肉のみを使用する」ため、サルタナコーヒーとは少し異なります。
チェリーの皮も広く飲まれている
コーヒーチェリーからコーヒー豆となる種子を分離した「ハスク」と呼ばれる皮の部分を煮出し、お茶として利用したり、粉砕してグルテンフリーの粉として使用するなど、コーヒー豆ではない部分も広く利用されています。ちなみに、コーヒー豆でない部分にもカフェインやクロロゲン酸が含まれています。
サルタナコーヒー まとめ
サルタナコーヒーとは、収穫したコーヒーチェリーを煮出した飲み物のことです。コーヒーを煎ることはせず、煮た汁を飲んでコーヒーの薬効を得ていたといわれています。現在もイエメンでは、ギシルコーヒーというコーヒーの果肉とスパイスを使ったコーヒーが飲まれていますが、地域によってはハスクと呼ばれる皮をお茶のように煮だして飲むところもあるようです。