私達が日々飲んでいるコーヒーは、野菜と同じ農作物の一種です。コーヒー豆として私達のもとへ届くまでに、様々な自然の病害と戦っています。今回は、そんな病害のひとつ「コーヒー炭そ病」についてお話ししていきます。
コーヒーだって病気にかかる?
私たちが目にするコーヒー豆は“焙煎されている豆”です。そのため病気とは無縁と思いがちですが、コーヒーも野菜や果物と同じ農作物。病気に感染してしまえば、コーヒー畑一帯が全滅…なんてケースももちろんあります。
特にサビ病は有名で、1968年にセイロン島で発生し、コーヒーの樹木が全滅してしまった…なんてお話も。また、インドネシアでは1976年に発生したことで“病気に弱いアラビカ種から病気に強いロブスタ種に植え替えた”という歴史もあります。
コーヒー炭そ病とは?
Coffee炭そ病は、1920年頃にアフリカケニア西部で初めて記録されたもので、コーヒーの実や根に深刻な被害をもたらすといわれている病害のひとつです。コレクトトリクム属という伝染力の強い菌が原因といわれており、コーヒーノキの樹皮内で胞子を増殖させ、あらゆる部位に広がり、コーヒーチェリーの表面に“暗褐色の丸い斑点”が浮かびあがってきます。
研究では、湿度や霧の濃い環境下で拡大すると言われています。
コーヒー炭そ病にかかるとどうなる?
コーヒーノキがコーヒー炭そ病にかかると、実が熟す前にコーヒーチェリーが落下してしまい、“コーヒーチェリーを収穫することが不可能”になってしまいます。実際にアフリカケニア西部では、最大75%もの損失をもたらしたことがあるそうです。
コーヒー炭そ病にかかる原因
コーヒー炭そ病はアラビカ種・ロブスタ種・リベリカ種のコーヒーの全ての品種にかかる恐れがある病気とのこと。また、コーヒー炭そ病は、高所で相対湿度の高いアフリカ地域でのみで発生しており、水はけの悪い土壌で多湿という環境条件が揃った場合に発生しやすいとされています。
コーヒー炭そ病は対策できる
コーヒー炭そ病は菌が原因の病気のため、被害を拡大させないためには連鎖を防ぐ必要があります。水はけを良くし、風通しを良くすること。そして、水をやる時は感染している部分にかからないように根から水を与えるなどで対策をとっているようです。
コーヒー炭そ病とは まとめ
コーヒー炭そ病とは、感染力の強い“菌”を原因としたコーヒー病害のひとつです。コーヒー炭そ病にかかってしまうと、コーヒーチェリーが熟す前に落下したり、コーヒーノキそのものを枯らしてしまうなど、コーヒー農家にとっては頭が痛い病害です。植物病害で失われる食糧の約8割がカビによるものではないかといわれている昨今、菌との戦いは今度も続いていくのかもしれませんね。