私達が毎日おいしいコーヒーを飲めるのは、その裏でコーヒーの交易を支えている方々がいるからです。今回はコーヒー生産国の経済活動を支援・協力している団体、アジア太平洋資料センター(PARC)について、その活動の概要と仕入れ販売を行っているコーヒーについてご紹介します。
アジア太平洋資料センター(PARC)設立の背景
現在の世界のコーヒーの産地は、赤道を中心とした北緯25度、南緯25度の間の国がほとんどであり、これらの国はいわゆる発展途上国です。彼らがコーヒーを作るのはコーヒーを輸出して外資を稼ぎ、豊かな暮らしを目指しているからです。
しかし、コーヒーを作れば作るほど国際市場でのコーヒー価格は下がり、農民の生活はさらに苦しくなっていきます。これは、多国籍食品産業にとっては、原料が安く入手できるということを意味します。つまり、生産者と消費者の関係は対等ではないのです。
「作るひと」「飲むひと」の立場を対等に
コーヒーを「作る人」と「飲む人」が対等につきあっていくためにはどうしたらよいか?農民がコーヒーに支配されない、自立的な経済を獲得するにはどうしたらよいか?という課題を掲げ、立ち上げられたのがアジア太平洋資料センター(PARC)です。
アジア太平洋資料センター(PARC)とは
アジア太平洋資料センター(PARC)は、すべての人びとが対等・平等に暮らせる世界の実現を目指すNGO団体です。PARCでは、人と人とを信頼でつなぐ交易を「フェアトレード」と呼び、民際協力事業を通じて東ティモールでの有機栽培コーヒーと無農薬ハーブティーづくり、スリランカでの紅茶有機転換を支援しています。
PARCでは、主に東ティモールで有機栽培したコーヒー豆を仕入れています。生豆の他に、焙煎豆、粉、ドリップコーヒー、リキッドコーヒーも仕入れ、日本国内での販売もしています。
カフェ・ティモールについて
カフェ・ティモールは、PARCの活動を通じて東ティモールで生産されたコーヒーです。東ティモールのコーヒー農民たちが、赤く完熟したチェリーだけをひと粒ずつ丁寧に手摘みで収穫した、有機栽培のフェアトレードコーヒーになります。
2007年に有機JAS認証も取得しています。苦味、甘み、酸味のほど良いバランスで、どなたでも飲みやすい味が特徴です。
カフェ・ティモールの製法の特徴
シェードツリー栽培で自然環境に配慮
カフェ・ティモールのコーヒーの木は、木の根元に日光が当たらないよう、シェードツリー(日陰樹)と一緒に植えています。
収穫は、ひと粒ひと粒、完熟チェリーだけを大切に収穫
6月頃になると、コーヒー農民たちは赤く完熟したコーヒーの実だけを、ひと粒ずつ手で丁寧に収穫していきます。収穫に機械を使わないのが特徴です。
山水を使ったフルウォッシュド製法
山から引いた新鮮な水を使い、収穫した豆を洗います。果肉と種を分離させたら発酵させ、24時間じっくりと熟成させます。
さんさんと降り注ぐ陽の下で天日干し
約2週間、天日干しをします。
ひと粒ひと粒、ハンドピック
袋に入れる前に改めて、虫食い豆などの欠陥豆を丁寧に手で選別しています。こうした丁寧な作業を経ることで、良質の豆を日本へ届けることができています。
アジア太平洋資料センター(PARC)まとめ
PARCでは2002年より、機材を提供したり、コーヒー加工の技術指導を行ったりしてコーヒー生産者の支援を行ってきました。その結果、国際市場に通用する品質のコーヒーを作ることができました。さらに、老朽化したコーヒーを植替えたり、技術指導や苗木の育成、機材の提供などを協力しています。
また、女性たちの生計向上に向けて、食品加工支援も行っています。コーヒー作りを支えながらも、コーヒーだけに依存しないで良いような農業の多角化を目指しているのです。同じ日本人としてPARCの活動を誇りに思いますよね。彼らの活動を応援するためにも、ティモール・カフェを一度試してみてはいかがでしょうか。