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コーヒーの果実茶「カスカラティー」「キシル」とは?

コーヒーの果実茶「カスカラティー」「キシル」とは?

「カスカラティー」あるいは「キシル」をご存知でしょうか?これはタイトルにあるようにコーヒーの果肉を使った飲み物なのです。

普段からコーヒーを飲んでいる方でも、コーヒーの果肉を飲むというのは、初めて聞いたかもしれません。もしくは「コーヒーの果肉って何?」という方もいらっしゃるでしょう。その果肉を使ったお茶について、これからお話ししていきます。

果実のお茶とは?

普段から目にする機会の多いコーヒー豆、実は豆ではなく種子なのです。そしてその種子(コーヒー豆)の周囲は、果肉で包まれています。それがいわゆる「コーヒーチェリー」です。

ちなみにコーヒー豆を買う時に、「ナチュラル」や「ウォッシュト」という言葉を目にすることがあるかと思います。これは精製という過程で、簡単に言うとコーヒーの果実から種子(コーヒー豆)を取り出すものです。

その精製で種子(コーヒー豆)を取り出した後の、果肉を乾燥させてハーブティーのようにお湯で煮出したものが、「カスカラティー」や「キシル」なのです。

コーヒーの歴史とキシル

まずは、キシルの意味を見ていきましょう。キシルとはアラビア語(文語)で「قش (Qishr)」と言います。ちなみに同じ文字ですが読み方を変えて“Qashar”と読むと、「ピール・殻」と言う意味になります。コーヒー豆を包んでいる果肉をピールや殻として呼んでいるのです。

実はこのキシル、歴史が深いのです。少なくとも1100年前には原産地エチオピアのお隣イエメンにコーヒーが伝わり、イスラーム教徒がこのキシルを飲んでいたという記述があります。また、歴史的には焙煎されたコーヒー豆より果肉の利用の方が古かったようです。

キシルの飲み方とは?

キシルは現在も、イエメンで飲まれています。コーヒーより安く、またコーヒーは商品作物として輸出するので、キシルは手に入りやすいということだそうです。

飲み方は果肉だけでなく、ジンジャーやシナモンなどのスパイスを入れて作るようで、スパイスを加える辺りはアラブ式コーヒー「カフワ・アラビーヤ」と似ていますね。

ラテンアメリカとカスカラ

さて、キシルについてお話しましたが、もう一つ有名なものがカスカラティーです。カスカラというのはスペイン語の辞書によると、「cáscara;(卵や乾果の)殻」と書かれてあります。

ただこの「カスカラティー」、キシルとは一転して歴史の浅い飲み物なのです。

元々この果肉で作る飲み物は、ボリビアで“saltana(サルタナ)”という名前で知られていました。イエメンと同様、ボリビアでは、コーヒーより価格が安いという理由から飲まれていたようです。

ではいつから「カスカラティー」と呼ばれるようになったのでしょうか?それにはある人物が関わっています。それはAida Batlleという、エルサルバドルのコーヒー生産者です。彼女が現在飲まれているカスカラティーの発案者と言われています。

そして、それがアメリカなど欧米を中心に、スーパーフルーツの飲み物として拡散したようです。

※以降は便宜上、コーヒーチェリーおよびその飲み物を「カスカラ(ティー)」と表記します。

なぜ、あまり売られていないの?

さて、ここで素朴な疑問です。

コーヒー豆が生産されれば、それだけ大量の果肉が余ります。なのにお店を見ていてもカスカラを見かける機会はほぼないですよね。なぜ大量にあるはずなのに売られていないのでしょうか?その理由には幾つかあります。

  • 理由①:一部地域で飲まれている

まずこのカスカラを用いた飲み物は、一部地域で飲まれているものであって、生産国全てにおいて飲まれているわけではありません。そのため、飲む習慣がない地域では、カスカラを生産する習慣がありません。

そういった地域では、果肉は堆肥にされるか廃棄してしまうことが多いのです。

  • 理由②:農薬と安全性

二つ目は「農薬」です。

コーヒーの害虫には強いものが存在し、農家によっては強力な農薬を用いることがあります。しかし農薬を散布すると果肉にも付着します。そういった農園のカスカラティーは、食品安全の観点から出荷することができないのです。

  • 理由③:国内消費の安い飲み物

ボリビアやイエメンなどの国々では、コーヒー豆は高価なだけでなく貴重な輸出品です。そこで代用品として安価なカスカラを飲用しています。そのため彼らの間では、カスカラは専ら国内消費するものだったのです。

日本国内で見かけることがないのは、そもそも国内消費の品物を輸出なんてしないからです。

ただ近年注目が集まっている中で、次第に店頭で見かける機会が増えるかもしれません。

カスカラとスーパーフルーツ

カスカラティーが注目されるきっかけともなったのが、そのカスカラが持つポリフェノールです。スウェーデン農業科学大学の調査では、100g中に0.8~1.22gのポリフェノール、その他カフェインが1g程度含まれているとのことです。

このポリフェノールはご存知の通り、アンチエイジング・美肌効果・血行改善などの効果が注目されています。それが人気の火種となったのです。

カスカラティーを飲んでみよう

さてここまでカスカラについてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか?一度飲んでみたいけど、どんな飲み物なのだろう……という方、実際にカスカラティーを飲んでみました。

気になる方は続けて、こちらのカスカラティーのレビューもご覧ください。

カスカラティーの飲み方と風味【淹れ方~アレンジ】

About the Author

汐井有

モットーは専門化したコーヒーについて、詳細を伝えつつ噛み砕いた説明で興味を持ってもらうこと。 専門的な記事と解りやすい記事の両方を書こうと思っています。