今回ご紹介するコーヒーは、スマトラ島北部で生産されたガヨマウンテンです。
マンデリンと産地は隣り合っていますが、精製方法は、マンデリンに多いスマトラ式に対して、ガヨマウンテンはウォッシュドです。そのため地域的な違いに加えて、精製方法による違いから、マンデリンに近いようで近くない味を持つコーヒーです。
「ガヨマウンテン」は、こんなコーヒー。
- 今回の焙煎:シティロースト
香り
- フレグランス(豆の香り)
スパイシーさと、煮詰めたトマトソースのような香り - アロマ(コーヒーの香り)
カカオ豆のような深さに、甘くスパイシーな香りがある
風味
- 深みと甘味が主体で、スパイシーさもある
- マンデリンに比べると穏やかで艶やかさがある
こんな時にオススメ
- 夜に飲みたいコーヒー
- 夕食後のひと時に
- 落ち着きたいときに
ペーパードリップ:艶やかな味わい
インドネシアらしく、コクとスパイシーさが目立っている風味です。
しかしマンデリンとは異なり、しっとり艶やかな風味です。その象徴たるものが赤ワインのような豊かさです。
口当たりで酸味が程よく感じられ、そこから甘口の赤ワインのような、穏やかな甘味・コクと酸味の香り高さが感じられます。さらにスパイシーさが絶妙に刺激を与えていて、飽きの来ないコーヒーです。
余韻はスパイシーさが消えることで、香り高さがホワホワと残ります。舌にベッタリ残るわけでもなく、ミストのような爽やかな余韻がまた良い感触です。
中温~高温で淹れよう
ガヨマウンテンは同じスマトラ島のマンデリンと同様に、深めの焙煎で提供されている場合がほとんどです。そしてガヨマウンテンは、比較的高めの温度で抽出すると美味しく戴くことができます。
温度は好みに合わせて頂いて構いませんが、オススメは82~90℃あたりの温度です。90度以上だと過剰に風味が出てしまうためお気を付けください。
オススメの抽出方法(HARIO V60ドリッパー)
- 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
- 挽き具合:中挽き
- 抽出温度:82~90℃
ネルドリップ:落ち着いた味わい
落ち着きのある味わいで、ペーパードリップのような豊かさは抑えられています。そのため相対的にスパイシーさが感じやすく、落ち着きと対をなす形で感じられます。
落ち着いた口当たりの直後に、酸味とともにスパイシーさが感じられます。コクは脇役のように、ひっそりと佇んでいます。余韻はコクが弱まるにつれて、酸味が持つ爽やかさが感じられ、比較的スッキリしています。
スマトラらしさを持ちつつも、余韻の爽やかさには驚かされるコーヒーです。
オススメの抽出方法
- 豆の分量:一杯当たり12g(一杯120mlで計算)
- 挽き具合:中挽き
- 抽出温度:82~90℃
フレンチプレス:面白いバランス
フレンチプレスで抽出すると、飲み応えとスッキリさのバランスが非常に優れています。
コクの深さとフレンチプレス特有のスッキリさは調和していて、コーヒーが持つ穏やかな甘みから爽やかな余韻が広がります。双方の味が個性を持ちながらも、程よく調和しているコーヒーです。
特に余韻の爽やかさは印象的です。イエメンモカのような、しかしスマトラらしい深さもあって、このコーヒー最大の醍醐味かもしれません。
若干長めの時間でも良いかも
ガヨマウンテンの味の深さと特徴を引き出すには、若干長めの時間で抽出するのもオススメです。
浅煎りで提供する場合が少ない銘柄のため、若干長くてもエグ味は出づらいです。反対に時間が短いと、ガヨマウンテンらしさのない曖昧なコーヒーになりがちです。
オススメの抽出方法
- 豆の分量:18g(容量350mlのプレスを使用)
- 挽き具合:粗挽き
- 抽出時間:沸騰したお湯で4分00秒~20秒
モカエキスプレス:意外と飲みやすい
モカエキスプレスにスマトラの豆というと、濃厚で苦味の強いコーヒーを想像しがちですが、そこまでではありません。落ち着いた味わいに、若干甘味も感じられます。余韻も強さがなく、ふんわりしたコクの余韻が印象的なコーヒーです。
またミルクを混ぜても重みがあまりなく、飲みやすさを感じるカフェラテになります。ブラックでもカフェラテでも、想像より飲みやすいところが面白いなと感じるコーヒーです。
「ガヨマウンテン」の美味しい飲み方
ミルク・砂糖との相性
- ミルク:とても良い
- 砂糖 :良い
お酒と合うコーヒー
このコーヒーの持つコクと甘味、そして何といっても艶やかな風味は、ウィスキーやブランデーとの相性に優れています。これらのお酒の香りが艶やかさとマッチして、艶やかさをより引き立たせています。
例えば冬場は体の温まるアイリッシュコーヒーにしたり、夏場はブランデーとアイスコーヒーでサルマを作ったりすると良いかもしれません。
ゆったり飲みたい「ガヨマウンテン」
艶やかで落ち着いた味わいの「ガヨマウンテン」は、マンデリンに似ているようで似ていない味わいです。マンデリンらしさを持ちつつも、落ち着いていて控えめなスパイシーさを持つ部分は、エキゾチックさを想起させられるコーヒーです。
休憩や食後の一息を、どこか優雅なひと時にしてくれます。ゆったりしたい時にオススメのコーヒーです。
コーヒー豆の情報
- 名称:ガヨマウンテン
- 産地:アチェ州、インドネシア
- 精製:ウォッシュド
- 今回の焙煎:シティロースト