コーヒーの歴史を追っていく当コラム。今回は、コーヒー豆の焙煎について紹介します。焙煎の歴史は、現在私達が楽しむコーヒーの形に大きな関わり合いがあります。インスタントコーヒーの発明に至るまで、焙煎に関するエピソードについて見ていきましょう。
焙煎機の発達
コーヒー発達の経緯は世界各国で様々でした。フランス国内では、コーヒーの風味を追及することに重きが置かれたため、味わいが強く表に出るパーコレータなどの新型コーヒーポットが開発されました。
一方、国土が広く人口も多いアメリカでは「どれだけ大量生産できるか」が重要なポイントとなっていました。そのため、焙煎機や包装技術の改良が何度も行われ、1864年には「ジェイベズ・バーンズ」によって、煎りムラの起きない焙煎機が開発されました。
焙煎コーヒーの普及
また、便利なコーヒーの形も追求され始めました。今まで、コーヒーを楽しむために消費者それぞれが自宅で焙煎を行っていましたが、1865年頃にピッツバーグで焙煎済の豆が販売されるようになりました。焙煎済の豆を売るというアイディアはすぐに広がり、商品の必要数を揃えるために大型の焙煎機が発明されました。
この時期にはコーヒーの鮮度を保つための方法として包装方法も発達し、真空パック、バルブといった方法で、風味劣化の原因となりえる豆の酸化を抑える工夫がされるようになったのです。
インスタントコーヒーの発明
1901年、ニューヨークのバッファローで開催された「パンアメリカン博覧会」において、日本人の科学者「加藤サトリ」の手によって世界最初のインスタントコーヒーが出展されています。当時は“水に溶けるコーヒー”という意味でソリュブル・コーヒーと言われていました。
インスタントコーヒーは、北極点を目指し探検に出たチーグラー極地遠征隊によって買い取られ、遠征の助けとなりましたが、この時点ではまだコーヒー消費者たちにはあまり受け入れられませんでした。
インスタントコーヒーの普及
インスタントコーヒーは二度に渡る世界大戦の際、アメリカ軍が愛飲したことで戦後世界中に一気に広がりました。1960年代になると、家庭で飲まれるコーヒーの1/3をインスタントコーヒーが占めるまでになっています。質の良いコーヒーの入手が困難なことから、ロシアでは一般的なコーヒーよりもインスタントコーヒーが好まれていたそうです。
焙煎技術の進化からインスタント普及まで
コーヒーが世界に広がっていく上で、器具だけではなく焙煎の方法まで新しくなっていきました。インスタントコーヒーの普及にもつながり、私達が現在楽しんでいるコーヒーに大きく影響を与えたのです。